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クラスメイトの美少女と無人島に流された件  作者: 桜井正宗
第八部:最後の無人島

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行方不明者100名以上

 観光客の大塚さんのおかげで、なんとか種子島を脱出できそうだ。

 JAXA種子島宇宙センターを見守りながら、種子島と鹿児島をつなぐフェリー乗り場へ向かった。


 バスに乗り、港まで向かう。

 当然、バス代も大塚さんに出してもらうことに。

 あとで礼をせねばな。


 それにしても『大塚』か――。


 この苗字には覚えがある。

 俺の仲間にも大塚がいる。


 大塚(おおつか) (あんず)は、宝島で一緒になった女子。ツインテールの可愛い子だ。今は、当時の後遺症が残って入院中。だから身動きができない状況だった。

 こっちの件が片付けば合流して海外へ移住する。そういう計画だった。


 もしかして、今俺たちを助けてくれている大塚さんは……姉か妹か。多分、姉かな。


 バスの中で俺は、天音に耳打ちした。


「なあ、天音」

「どうしたの?」


「大塚さんって……杏の」


「あ! そういえば、同じ苗字だよね」

「そうだろ。偶然かもしれんが」


「わたしが確かめようか」

「本当か。助かる」


 港に到着後、天音が聞いてくれることに。



 そうして一時間以上はバスに乗り――フェリー乗り場に到着。



 バスを降り、料金を精算。そして、天音は大塚さんに聞いてくれた。杏のことを。

 しばらくして大塚さんが驚きの声をあげていた。


「え、杏のことを知っているんだ」

「はい。彼女とは同じ高校だったんです」


「もしかして君たち、宝島事件の……?」


「そうなんです。杏さんは、今入院中で……」

「そっか。こんなところで会うなんてね」


 どうやら、この大塚さんは杏の『姉』のようだった。まさか、こんなところにいるとはな。天音が続けて聞くと、どうやら種子島には観光目的で来たらしい。そりゃ、そうか。

 宇宙分野に興味があるらしく、JAXAを見て回っていたと。

 いつかNASAにも行ってみたいと話した。


「あの、大塚さん」

「なにかな、早坂くん」


「杏のことなんですが……」


「ああ、大丈夫。病院の場所も知っているし、この前会ってきた」

「そうでしたか」


「気にしないで。あの宝島でのことは事故だったのだから。それに、無事に帰ってきてくれた。それだけでも嬉しいから」


 大塚さんは、ありがとうと感謝を述べた。よかった、誤解があったらどうしようかと思ったが、理解を示してくれた。


 さらに事情を話すと、つい最近に俺たちが乗った船のことが事件になっていると教えてくれた。



「――行方不明者100名以上。大きなニュースになっているね」

「そんなに……俺たちは奇跡的に助かったわけか」


「そうみたいね。よく泳いできたね」

「過去の経験が活かされました」


「それにしても凄いわ」


「で、その……救助された人たちは、俺たち以外にはいないんです?」

「当時は物凄い嵐だったからね。救助は困難を極めたそうよ。でも、それでも数名は助かったみたいだけど」


 と、大塚さんはスマホの画面を見せてくれた。そこはネットニュースが。



【沖縄に向かう船、沈没。行方不明者100名以上……救助困難か。生存者4名】



 ウソだろ。今のところ四名しか見つかっていないのか。

 なんてこった。



 北上さんたち、無事だといいんだが。

 心配していると古森さんが俺の肩を軽く叩いた。


「ねえ、早坂くん」

「ど、どうしました、古森さん」


「大塚さんにスマホを借りて警察に連絡するわ」


「え」


「大丈夫。君たちにはもう関与しない。それよりも行方不明者をなんとかしないとね……」


 古森さんは、どうやら今回のことを警察に知らせるつもりらしい。俺たちのことは伏せて。今の感じなら……信用はしても大丈夫だろうけどね。


 そうだな、これ以上は一緒にいてもお互いにメリットはないだろう。



「解った。鹿児島港に着いたら別れよう」

「ええ。もう少しだけ一緒になるけど、それまでは味方よ」


「ありがとう、古森さん」

「いいの。命の恩人だからね」



 会った当初とはまるで違う、柔らかい表情をする古森さん。こうしていれば、普通の女性にしか見えないんだけど、本当は刑事なんだよな。

 俺たちを捕まえるために仕事をしていたはずだった。


 けど、俺たちも捕まるわけにはいかない。


 無事にみんなと合流しなければ――!

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