表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件  作者: 桜井正宗
第八部:最後の無人島

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

255/284

種子島、上陸

 先行して俺は入水。

 幸い、それほど冷たくはない。これなら低体温床は避けられる。


 波も穏やかで流される心配はなさそうだ。

 あとは、天音が心配だが――。


「……こっち見ないでね」


 と、天音は頬を赤らめて恥ずかしそうに言った。けれど、見ないわけにもいかない。気づいたら流されていたとかヤバいからな。


「悪い、天音。定期的に振り向くぞ」

「う、うぅ……仕方ないよね」


「何度か裸の付き合いをしているだろう。気にするなって」

「もぉ~…」


 観念したのか天音は、泳ぎ始めた。さすがに訓練しただけあって上手く前へ進んでいる。

 北上教官によるガチの特殊部隊の技術を学んだからな。


 クロールを続け、種子島を目指していく。


 途中で数秒の休憩も挟みながら前進。

 たまに振り向いて天音や古森刑事……おまけに岩崎の様子も伺う。全員、今のところ流されることなく来れている。


 天候や波に恵まれたな。


 しかも、距離もそれほど離れていないことも幸いした。


 あとは気合と根性で泳ぎ切るだけ。



「よし、天音。種子島が見えてきたぞ」

「あれが……」


「種子島宇宙センターも見えてきた。ここからでも見えるとはな」

「JAXAって言うんだっけ」


「そそ。宇宙航空研究開発機構だ。アメリカのNASAみたいなものさ」

「へえ~! 早坂くん、物知りだね」


「宇宙飛行士に憧れていた子供時代もあった」

「ふぅん、可愛いね」



 純粋なガキの頃、一度くらいは夢見ることがあった。だが、気づけば夢なんて現実に変わっていた。進学か就職という地獄の選択肢が目の前にあった。

 俺程度では、よくて工場の社員ってところかな。


 けど今は違う。

 仲間に恵まれ、使い切れないほどの大金を得た。もう働く必要もないし、こうして冒険している方が数百倍楽しい。いろいろリスクも高いけど。



 必死こいて泳ぐこと一時間。

 ようやく種子島の前に来た。あと少しだ。あと少し踏ん張れば上陸できるッ!



「……つ、疲れた」

「大丈夫か、天音。休むか?」


「ううん。日が暮れちゃうし、急ごう」

「そうだな、暗くなったら大変だ」



 若干だが日が傾き始めていたし、波も強くなっていた。このまま海に留まると流されて、下手すりゃ溺死だ。それだけは回避したい。


 それにしても、古森刑事は凄いな。目隠しした状態の岩崎を抱えながら泳いでいる。俺たちについてきてるし……あの人は本当に刑事なのか?



 いよいよ陸が見えてきた。

 広大な砂浜だ。

 あそこへ上がれば、もう安心だ。



「は、早坂くん…………」



 ぽちゃっと音がして、俺は振り向いた。


 天音が海の中に落ちていたんだ。


 おい、マジかよ!!



 俺は直ぐに潜水して天音を探した。……いた、近くに!


 すぐに向かい、俺は天音の体を支えて引き上げていく。



 危うく海の底に落ちるところだったぞ。

 なんとか海上に出て、俺はそのまま浜へ。


 半裸の天音を引き上げると、水を吐き出していた。よし、なんとか無事のようだな。



「大丈夫か、天音」

「…………うぅ。ごめん、足が()って……」


 それで海の中へ落ちたのか。

 ああ、そうか。ずっと泳ぎっぱなしだったからな。そりゃ、足も攣る。



 天音を浜へ寝かせた。


 さて、古森刑事と岩崎だが……む?



 だいぶ距離が離れているな。たどり着けるか心配だな。

 見守っていると、今度は古森刑事が海の中へ落ちていく。



 お、おい……まさか力尽きたのか!?



 岩崎は目隠しをしたまま、浜に上がっていた。コイツ、運がいいな。――じゃなくて、古森刑事!


 仕方ないな!



「天音、俺は古森刑事を助けにいく!」

「う、うん。気をつけて」



 海へ入る前に、俺は岩崎に忠告した。



「岩崎! 俺の天音に手を出すなよ! なにかしたら、ぶっ殺す!」

「あぁ? 知るかよ。俺は先に向かうぜ。こんな場所に留まっている義理はねェ! 刑事に捕まってたまるかっ」



 と、岩崎は目隠しを外して去っていく。まあいい、勝手にどこかへ行ってくれるなら、それならそれで手間が省ける。

 次に会った時は容赦しないけどな。


 俺は今度こそ、海へ。

 今助けてやるからな!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ