表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
250/284

天音さん、大ピンチ!

 翌朝――無人島での生活はまだ続いている。

 そうか、夢ではなかったか。


 今回のことが夢であったのなら、どんなに良かったか。しかし、(なげ)いていても先へは進まない。


 やるべきことをやろう。


 ――しかし。



 天音も古森刑事も姿がなかった。

 俺を置いてどこへ……?


 いや、探すのはよそう。

 昨晩は、天音のトイレシーンを不可抗力ながら覗いてしまったのだから。

 これ以上は蹴り殺されても文句は言えないぞ。



「仕方ない。火でも起こすか」



 早朝は結構寒い。早く暖を取れるようにしておかないと風邪を引きそうだ。

 昨日と同じ手順で火起こしを完了。


 天の恵みファフロツキーズで入手した小魚を焼いていく。



 朝食を作っていると天音が帰ってきた。



「あ、おはよ~。早坂くん」

「おはよう、天音。どこへ行っていたんだ?」


「海で水浴び。だってお風呂ないから……」

「そうだったのか」


「それでね、海を泳いでいたら――ホラ」


 天音の手には八腕形目(はちわんけいもく)、軟体動物が握られていた。


 つまり『タコ』である。


 ほぉ、まさか食材を入手してくるとはね!



「凄いじゃないか! てか、触るの平気なんだな」

「うん。もう慣れたし」


 虫も無限に沸くからな。いちいちビビっていたら無人島生活などできぬ。

 うんうん、天音の成長が見れて俺は嬉しいね。



「タコは焼いても()でても美味いからな」

「たこ焼きに出来たらよかったのにね」


「さすがに材料がなさ過ぎて無理だな」



 さっそく調理しようとしたが、タコが突然天音の腕に(から)みついていた。



 ……え?



「きゃ……!」



 驚く天音は、右手をブンブンと動かすが――タコは吸盤で強力に張り付き、絡みついている。無理だな、ありゃ。



「俺が取ってやる」

「お願い!!」



 取ろうとしたものの、タコは更に移動して天音の胸あたりに。



「へ」


「ひゃんっ……」



 妙な声を出す天音は、頬を赤く染めていた。


 ちょ、え……ええッ!?


 こ、こ、これは……ま、まさか。

 このタコ野郎、なんてヘンタイプレイを――!!


 いわゆる触手プレイ!


 タコは更に天音の引き締まったお腹の辺りに接近していく。



「ちょ、天音!」


「…………っっ。は、早坂くん……早く取って……」



 なにかを我慢している天音は、ぷるぷる震えながら言った。なんだろう、声が妙にいやらしいぞ。


 じゃなくて、ぼうっと突っ立っている場合ではない!


 天音を助けねば、これ以上は危険だ!!



 いよいよタコは天音の神秘に近づこうとしていた。



 そこだけは許さん!!



「このタコォ!!!」



 ついに俺はタコを確保。

 天音から引きはがすことに成功した。



「…………ぅ」

「大丈夫か、天音!」


「お洋服がべとべとになっちゃった」


「……そ、そうだな。洗って乾かすしかないな」

「そんな~…」



 しかし、食材は手に入れた。これでお腹を満たすことができる。


 それにしても古森刑事はどこへ行ったんだ――?



 まあいいか。

 あの人は放っておいても自力で何とかしそうなタイプだし。



 俺はタコを成敗し、ナイフで切り刻んでいく。



 その間に天音は服を脱ぎ、上半身だけ下着姿に。……刺激が強いって。


 俺はシャツを脱ぎ、天音に着せた。


「ほれ」

「え……でも」


「天音に風邪を引いて欲しくないからな」

「早坂くん、優しい。好き」


「お、おう。そうでなくては困る」



 さぁて、タコ食って今日は島の反対側へ行ってみるか。

 まだこの無人島の全てを確認したわけではない。


 もしかしたら、なにか脱出方法があるかもしれない。


 諦めないぞ、俺は――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ