いつの間にかラブホにいた件
各々行きたい場所があるということで、別行動を取ることにした。
俺は天音と北上さんと移動することになった。
「じゃ、夜に京都駅で!」
リコは手をブンブン振って艾、桃枝と共に行ってしまった。
月と星、雷の兄妹組もどこかへ。
「よし、俺たちも行くか」
タクシーへ乗り込み、場所は北上さんが指定した。きっと『清水寺』に違いない。
この時はそう思っていた――のだが。
おかしいと思い始めたのはタクシーが走り始めて十五分ほど経った頃だった。
明らかに観光地から遠ざかり、街中に入っていた。
「……もう直ぐです」
「ちょ、北上さん。いったいどこを目指しているんだい!? 清水寺は過ぎちゃったよ」
「そんなド定番の場所よりも、もっと楽しいところです」
そんな有名観光地あったっけなあ……。
でも、北上さんなら間違いはないよな。
――いや、それは間違いだった。
その場所に到着するや、真っ先に天音が顔を真っ赤にしていた。ていうか、タクシーの運転手である爺さんも気まずい顔をしているぞ。
清算し、タクシーから降りた。
そのデカイ建物を見上げ、俺はため息を吐いた。……なぜ、ここ。
「これは……なんだい?」
「ラブホテルです」
真面目な顔して言い切りやがった。……おい! 北上さん!!
天音なんかついに赤面して卒倒しそうなほど震えていた。
「ちょ、ちょぉ! なんでこんなところにー!」
「天音さん。まさか哲くんとシたくないんですか?」
「そ、それは……わたしはだってケガしてるしー! どうせなら観光地回ろうよぉ」
「京都なんていつでも来れますし」
「無理だよ!? 海外移住だってするんだもん」
天音の言う通りである。近いうちにアメリカに行くし、そこから別の国へ移住する可能性も高い。日本にリターンなんてかなり低い確率になるだろう。
「でも、哲くんと肌を重ね合わせたい」
「……う、ぐ」
そう北上さんからズイズイと問われ、天音は俺を見てきた。こっちを見られてもな……くっそ気まずいだけなんだが。
ああ、でも俺としてはご無沙汰なので……ありっちゃありだ。
「この際ハッキリさせましょう、天音さん」
「なにを……?」
「どちらが哲くんを満足させられるか」
「え! わたし不利じゃん……」
そうだ。天音は腕が動かしづらいのだ。完治していないからなー。無理はさせられない。
「そうでしたね。では……口で」
ナニ言ってんだこの人ぉ! もー北上さん、一度マジになると止められないからなぁ。しかも、いろいろ高等テクをお持ちで。俺はいつも骨抜きにされちゃうんだよね。
「こんなところで口とか言わないでっ! 恥ずかしいってば!」
「こんなところだからこそです!」
静止しようとする天音だったが、北上さんも一筋縄ではいかなかった。てか、性欲溜まりすぎだろう。アメリカ人の血かねぇ。
こうなってしまうと天音はお手上げだった。俺もだけど。
「……降参だわ」
「では、ラブホへ入りましょう」
凄いこと言いながら、俺の手を引っ張る北上さん。やべえ、目がマジだ。しかし、俺は嬉しいけどね!
けどなぁ、天音が可哀想ではあるが。
「なあ、天音。俺と北上さんのプレイを見ていてもいいんだが」
「誰得! てか、切なすぎるから嫌。だったら今、早坂くんを誘惑するもん」
そう言いながら俺の背後から抱き着いてくる天音さん。腕のケガのせいで密着というほどではないが、豊満な胸が背中に当たる。……こ、これは。
いかん、確定で理性が吹き飛んだ。
目の前にラブホあるし、もう行くしかねえッ。
結局俺は、北上さんと天音を連れてラブホへ入った。
そして、三時間に呼ぶフルコースを満喫。
北上さんの前も後ろも激しいスーパープレイ。
天音の丁寧な足使い。
生きていて、良かったぁ…………!




