京都に到着した!!
移動中、俺もみんなも寝ることだけに集中していた。
途中休憩を挟んでいたりもしたが、ほとんど夢の中だった気がする。ただ、北上さんと桃枝だけは何か調べものをしていたが。
京都につく二時間前。北上さんが俺の隣にやってきた時に聞いた。
「北上さん、なにを調べていたんだい?」
「アメリカの知人へ連絡を取ったり、エシュロンのこと……八咫烏のことなど情報収集にあたっていました」
「なるほどね。なにか分かった?」
しかし、北上さんは首を横に振った。やはりダメか。
「残念ですが、これといった情報は……。ですが、京都へ行き簡単な情報収集をした後にアメリカへ飛ぶべきでしょう。向こうならCIAの知り合いを使って情報を得られますから」
「そうだな。それがいいな――って、CIAにも知り合いがいるのかよ」
「ええ、まあ」
すげえなオイ。
ひとまずは京都へ。そのあとは北上さんのツテを使い、在日米軍基地からアメリカへ飛ぶ。もちろん八咫烏のことについて調べてから。
少しでも知っておかねば。
アメリカでも襲われる可能性があるからな。
バスはずっと高速道路を進み続け――ついに『京都』が見えてきた。
なんだかんだ長旅も終わりが近い。
日もすっかり昇り、朝9時を迎えようとしていた。みんな目を覚まし、京都の街並みを堪能。すっかり修学旅行気分だ。
そしてついに京都駅に到着しようとしていた。
「わー、京都ははじめてだなぁ」
「そうなのか桃枝」
最後に俺の隣に桃枝が来ていた。一緒に京都のことについて話していたりしたが、まさか初とは。
俺はガキの頃に連れて来られたことがあった。家族旅行で清水寺や金閣寺へ回ったものだ。
『京都駅に到着いたしました。お忘れ物ないよう、ご確認をお願いいたします』
気づけば京都駅にいた。ここまで何だかんだ早かったような気がする。
荷物をまとめ下車。
みんな京都の地に降り立った。
「おおー、京都タワーじゃん!」
ハイテンションなリコが、スマホでパシャパシャと写真を撮っていた。やはり、京都はいきなり見ごたえがあるな。
京都駅もデカいし、ホテルもたくさんあるし、水族館もあるんだよな。
平日にもかかわらず外国人の観光客も行き交っていた。
「ねえねえ、早坂くん。これから『鴨神社』へ行くんだっけ?」
「そうだよ、艾。路線バスは混雑しているから、タクシーでサクっと向かおう」
車で片道約十五分の場所にあるらしい。
その間には『清水寺』、『平安神宮』、『南禅寺』、『東山慈照寺』などなど有名観光地がある。時間があれば寄っていきたい気もする。
「金閣寺見に行きたいな~」
ウズウズする桃枝。俺に子供みたいな視線を向けてきた。……なぜそんな目で俺を。でも、せっかく来たからな。しばらくは日本を離れることになるだろうし――下手すりゃ一生帰国しないことも考えうる。ならば、少しくらい遊んでも構わないよな。
「俺は華厳寺へ行きたいけどね」
「華厳寺?」
「通称・鈴虫寺とも言われてる場所で『幸福お守り』が有名なんだぜ」
「へー! 知らなかったなぁ」
黄色いお守りを未だに俺は持っていた。返納した方が縁起的にいいらしいが、さすがに二度行く機会はなかなかなかったからな。この際ありかもしれない。財布の中にまだあるしな。
などと桃枝と話していると、大伊さんが俺の服を引っ張った。
「ねえねえ、ちょっと話があるんだよね」
「お、おう。どうした?」
「いやー、私はそろそろ帰ろうかなと。ほら、入院中のメンバーの様子を見なきゃだし」
「ああ、そうか。対馬ではありがとう」
「いいのいいの! ピンチな時はお互い様だよ」
ここで大伊さんとは別れることになった。待機組は後ほど海外移住してもらうので、今は日本にいてもらう。準備が整い次第、俺たちと一緒にその場所へ行く。
大伊さんは、北上さんや天音たちと別れを惜しんだ。
俺も最後に握手を交わした。
「また会えるといいな、大伊さん」
「うん。また駆けつけるよ! じゃあね!」
どうやら、これから北海道にいるらしい『ほっきー』に会いにいくようだった。地元が札幌らしく、会いにいくとか。凄い行動力だな。でも、大伊さんのおかげで入院組が助かっているし、心のケアも進んでいる。きっとみんな復活してくれるだろう。
タクシーを人数分手配し、鴨神社へ向かうことに。
少しでもいい。こっちが有利になる情報が手に入ればいいのだが……!




