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クラスメイトの美少女と無人島に流された件  作者: 桜井正宗
第七部:日本脱出

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ホテルはいつだって危険地帯

 体が(なまり)のように重い。

 最近いろいろあったから疲れているのかな。――いや、まてよ。

 自分の体が動かせないほど重いってヤバすぎだろう。


 (まぶた)を開け、状況を確認すると……(ルナ)(ヒカリ)が俺の腕にくっついていた。その胸に挟むようにして。



「うぉッ!?」



 妙に柔らかいと思ったら、そういうことか。

 二人ともぐっすり眠っている。これでは身動きができないな。せめて時間を確認したい。

 そういえば、スマートウォッチをしていたのを忘れていた。

 ほんの少しだけ腕を動かすと時刻が表示された。


 えっと今は【19:34】となっていた。

 あれから結構寝ちまったようだ。

 通知も入っていて、天音や北上さんからメッセージが入っているようだった。確認したいが、これでは難しい。


 二人を起こすのも悪い。

 もう少しだけ待ってみるか。



 ◆



 博多の美しい夜景をぼうっと眺める俺。

 あれから月も星も目を覚まし、部屋に備え付けられている風呂へ行ってしまった。二人だと狭いような気もするが、大丈夫と言うので止めなかった。


 あと一時間もすれば“貸切バス”が来てくれる。それに乗り、京都へ向かい秘密結社『八咫烏』のことを調べる予定だ。

 安全に日本を脱出するには、まずは敵を知らねば。


 それまではのんびり過ごそう。



『……コンコン』



 扉をノックする音がして、俺は振り向いた。天音か北上さんかな。それか他のメンバーか。

 警戒することなく俺は扉を開け――やっべッ!


 突然『ドゥン』と音がして俺は回避した。直後、扉の向こうから弾丸が貫通し、右頬をかすめた。

 サイレンサー付きの銃で撃たれたようだった。これは“敵”だ。



「どうしたのですか、兄様」

「騒がしいですね~」



 なにも知らない月と星がバスタオル姿で現れた。



「こっちに来るな! 敵だ。敵が襲ってきた!」


「「え……」」



 俺は身を低くして敵の銃撃をやり過ごす。その間にも銃弾が何発も撃たれた。

 途中で撃ち終わったのか沈黙が続いた。今がチャンスか。

 護身用に持っていた『閃光手榴弾(スタングレネード)』のピンを抜き、扉をほんの少しあけてブン投げた。


 ズドンと閃光が上がり、瞬間に俺は突撃。

 廊下に出てその人物を取り押さえた。



「暗殺者か!!」


「…………ぐッ」



 そこにいたのは痩せ細った男だった。なんだ、この黒装束の見るからに怪しいヤツ。その昔、白装束の宗教団体が話題になったが……その類か。



「何者だ、お前」


「……、………………かは」



 しかし男は、白目を剥き泡を吹いて倒れた。……死んだ、のか。


 間違いない。このアーモンドのような臭いは『青酸カリ』か。コイツ、自らの命を絶ったのかよ。なんて野郎だ。


 男の体を少し調べてみると左腕には『八咫烏』のタトゥーがあった。……おい、まさか。この男は関係者なのか。黒装束もカラスをイメージしているということか。


 どちらにせよ、遺体をこのままにしておけない。


 俺の部屋に引きずっていく。



「……その方は?」



 星が青い顔をしながらも聞いてきた。



「分からんが、タトゥーから察するに八咫烏に雇われた暗殺者かもしれんな」

「そんな……」


 俺たちを常に監視しているようだからな。ちまちまと追い詰めるつもりか。回りくどいというか――いや、組織が世間に露呈するわけにはいかないから、こんな風なやり方なのかもしれない。



 すぐに北上さんたちに連絡を取った。


 みんな俺の部屋に集合した。



「……敵がこんなところまで」



 暗殺者を徹底的に調べる北上さん。その動作に迷いがない。さすがプロだな。



「どう思う?」

「服毒による死亡。……青酸カリですか」

「さすがだな」

「いえ。しかし、所持品がなにもないとは。気になる点としてはタトゥーだけですね」

「やっぱり、八咫烏かな」

「恐らく。このままホテルに滞在していると危険でしょう。そろそろ出発ですよね」

「ああ、間もなくだ」


 ちと早いが出発することにした。このままホテルにいれば狙われるだろう。


「そういえば、早坂くん」

「どうした、天音」

「以前にもこんなことがあったね」

「そうだな。あの時はロシア人でヴァレンティンだったけどね」


 やはり、こういう場所は襲われやすいのかもしれん。無人島にいる方がいいのかな。そっちのプランも考えておくか。


 すぐにホテルを出る準備を進めた。


 荷物を持ち、一階のフロアで集合。みんな集まった。



「全員そろっています」



 千年世に確認してもらった。もうホテルに用はない。博多駅まで歩いて向かい、バスに乗り込む。そして京都へ向かう。


 ホテルを出て夜の街中を歩く。

 この辺りはかなり発展しているので、人の往来が激しい。

 周囲に警戒しつつ駅へ。



「…………」

「どうした、北上さん」


「つけられているようですね」

「マジか」

「あの男以外にも暗殺者がいたということでしょう」



 背後に二つの気配。こんな場所で銃撃はしてこないだろうが、危険なことに変わりはない。対処せねば。



「分かった。俺と北上さんで戦う。他のみんなは先に駅へ向かってもらう」

「え……でも」

「大丈夫だ、天音。千年世とリコが守ってくれる」

「必ず来てね」

「了解」



 天音たちを先に行かせた。


 ……さて、相手は八咫烏の暗殺者なのか……?

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