深夜の戦い
一発の弾丸が頬をかすめた。
狙撃手の狙撃だ。
深夜二時――神造島の港。
予想通り、ロシア人による奇襲攻撃が始まった。間違いなく秘密警察だ。
すでにこの島に入り込んでいるらしい。
しかし、地雷をかなり埋めているので、そう簡単には近づけないでいた。
至るところで爆発が起き続けていた。
こちらも反撃をはじめ、上陸してきた敵に対して反撃していく。だが、向こうは特殊部隊。ガチの訓練された人間たちなので、そう簡単には倒せないでいた。
それでも多少なりとも排除が進んだ。
「こちら二人を射殺しました」
冷静に戦果を報告する北上さん。
どこで手に入れたのかドイツ製のボルトアクションライフル『DSR-1』を巧みに使い、狙撃していた
いつのまに入手していたのやら。
恐らくは櫛家のおかげだろうけど。
「ナイス。こっちはドローンによる爆弾投下を行っている」
「引き続きお願いしますね、啓くん」
それぞれ役割があった。
俺はドローンで索敵および爆弾投下。
天音は援護射撃と通信。
山奥に建てた小屋に武装したリコと万由里さん。後方支援組だ。
艾、桃枝の二人は地下壕で敵の位置を監視。こちらに情報を送っている。桃枝に関しては外部と暗号通信を行い、櫛家からの援軍を要請中。
そして、千年世。
彼女には単独で動いてもらっている。
潜水艦を撃沈する為に――。
「ね、ねえ……本当に大丈夫なのかな」
不安を漏らす天音さん。
そうだな、相手はプロ中のプロ。こっちは北上さんから訓練を受けているとはいえ、高校生だ。
だが、射撃の訓練は死ぬほどやった。
軍人にも負けない程の腕前を手に入れていた。
「大丈夫だ。もう少し敵を引きつけたら、仕掛けたC4で吹っ飛ばす」
櫛家の支援で貰ったプラスチック爆薬10kgを各所に配置してある。部隊が踏み込んでこれば確実に一掃できるわけだ。
その時は直ぐにやってきた。
ロシア人部隊は、十人規模で神造島に上陸。
徒歩でこちらの方までかなり接近してきた。
C4を起爆する瞬間が来た。
ので、俺は起爆装置のボタンを押した。
直後。
『ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォ…………!!!!!』
物凄い爆発が起き、十人ほどいた敵が一瞬で消し飛んだ。
凄まじい威力と爆風だ。
これで生きている者はいないだろう。
引き続き、隠れて発砲してくる敵に対して迎撃していく。
すると通信が入った。
「早坂くん、桃枝から通信が入ったよ!」
「なんだって?」
「潜水艦が浮上したって」
「きたか!!」
この時を待っていたぜ。
俺はすぐに天音に指示を出し、千年世に連絡を繋いでもらった。
千年世は海側にいるのだ。
潜水艦を迎え撃つべく、かなり危険なミッションに挑んでもらっていた。しかし、これで最高だ。
彼女には『RPG-7』を持たせている。潜水艦を爆破する為だ。
天音に指示を出し、千年世へ“合図”を送ってもらった。
すると千年世は、浮上してきた潜水艦にたいしてRPG-7の弾頭を発射。直ぐに潜水艦に命中して、大炎上を引き起こした。
よくやった……!!




