プランZ 殲滅作戦 ◆Side:ヴァレンティン
いよいよだ……。
私の計画は今夜、速やかに遂行される。
秘密警察の復活偽装まで進め、ようやく戦力を整えた。
表向きは秘密警察だが、実はそうではない。
名も無き組織なのだ。
あくまで便宜上、秘密警察であるということだけだ。
我々の目的はただひとつ。
宝島で発見されたという財宝だ。
それを入手できれば……国の為に。
いや、違う。
私の“出世”の為に使えるわけだ。
ロシアの大統領になる為には莫大な資金が必要だ。私の真の目的はそっちだ。だが、組織は国によって秘密裏に監視されている。
下手に動けば私が処刑されるだろう。
しかし、政府は思ったよりも私に関心が薄い。
おかげで動きやすくて助かっていた。
武器の供給、戦闘機、潜水艦に至るまで準備が整っていた。だが、あまり大胆に動かせば、日本と問題になりかねない
すでに戦闘機を一度動かしてしまっている。
あんな派手なことをしでかしたというのに、日本政府は知らぬ存ぜぬ。特殊な演習があったとだけ報告がされていた。
やはり大国ロシアを相手には出来ないということだ。
今夜のことも、なかったことにされるだろう。
「――さて」
「ヴァレンティン大佐。こちらの準備も完了しました」
「ふむ。ところでヴァーシリーのヤツは?」
「殺害されました。死体が海に浮かんでいましたからね」
「やはりそうか。では、あの“神造島”で間違いないということだな」
「はい。彼等の拠点はそこまで間違いないかと」
場所も特定できた。
これで今夜、強襲を仕掛けて迅速に終わらせるだけ。
こちらは鍛え抜かれた軍人上がりの猛者たちが集っている。
とはいえ、ヴァーシリーが殺られている。相手があの少年少女だとするならば……多少の苦戦は強いられるだろうな。
だが、所詮は子供のお遊びだ。
日本という銃規制の厳しい国では、まともな装備はあるまい。
こちらの勝ちだ。
「よろしい。では戦争を始めようか」
「それでは『プランZ』で進めて参ります」
プランZ。
殲滅作戦である。
敵を全員抹殺し、証拠も残らず消滅させる徹底的な軍事作戦。
「頼んだぞ、チェロメイ」
作戦は数十分も掛からず完了するであろう。
深夜の午前二時。
もう間もなく戦いは始まる。