表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
187/284

月と星を守るために

 釣りは終わった。

 特に大物は釣れず、結局リコの独擅場だった。不思議なくらいリコばかりヒットしていた。どうしてだろうなぁ……。

 しかし、おかげで新鮮な食材が手に入った。


 メバルにアジなどが釣れた。十分すぎる。


「さて、そろそろ夜営の準備だな」

「そだね。私もそろそろ情報収集に戻るかな――って」


 なぜか固まる桃枝。

 鳩が豆鉄砲を食ったような、そんな顔をしている。


「どうした?」

「……スマホに連絡が入ってさ」

「ふぅん? 友達か」

「友達っていうか、てっちゃん……アベリアちゃんだよ」

「え……アベリアって、あのアベリアか!?」

「そそ。前に北センチネル島で会った子」


 懐かしいな。あの事件後、アベリアは無事にアメリカに帰した。実家に帰り、平和に暮らしているとは聞いていた。まさか桃枝と連絡を取っていたとは。


「で、なんでアベリア?」

「実はさ、アメリカの状況とかを逐一報告してもらっているんだよね。もちろん、報酬を支払ってだけど」


「そうだったのか。で、向こうはなんだって?」

「ロシア人のことを調べてもらっていたんだけどね、まずいかも」

「マジか。そこまで調べられるのか」

「うん、アベリアちゃん、中央情報局(CIA)の知り合いがいるってさ」


 CIAの知り合いがいたのかよ。桃枝から詳しく聞くと、ここ半月ほどはアベリアと連絡を取り合っていたようだ。

 アベリアの情報によれば、ロシア人……存在しないはずの秘密警察(NKVD)が非公認で復活し、世界の各地で暗躍しているということだった。最近では日本を標的にし、特に宝島の財宝を狙って活動していると。

 まさに俺たちが標的になっていた。


「なるほどね。けど、最近は大人しいよな」

「それなんだけどね、近い内に動きがあるかもだって」

「なっ……。いよいよ神造島が戦場になるのか?」

「ううん。沖縄で目撃されてるって」

「沖縄で?」


 ……まさか、月と星か。まずいな、あの二人に財宝の管理を任せているんだぞ。もちろん、訓練は受けているが……心配だ。


 俺は気になってスマホを確認した。

 するとメッセージが複数入っていた。


 あった。月と星からのメッセージだ。



 月:大変です、兄様

 星:ロシア人に拠点を特定されました

 月:移動を開始したのでご安心を

 星:沖縄から移しますね



 なんてこった。最近、ロシア人の動きが見られないと思ったら、沖縄に潜伏していたか。確かに、最近までは沖縄にあるオーハ島で生活していたからな。周辺を念入りに捜索していたんだろうな。


 だが、月と星は上手く対処したようだ。今は移動もしている。任せるしかない。



「大丈夫かな、月ちゃんと星ちゃん」


 桃枝が心配そうにする。



「大丈夫だろ。残っている財宝ももうそれほど多くはない。ほとんど金にしちゃったからな」

「こうなったら、二人を守る為にも偽情報を流すしかないかもね」

「アベリアのCIAの知り合いに頼んでそうしてもらうか……」

「うん、それがいいんじゃない? 月ちゃんと星ちゃんが心配だよ」

「分かった。そろそろ、宝島(・・)の地下情報をリークしてやってくれ」

「ああ~、私たちが見つけた地下洞窟だよね。あそこをバラしていいの?」

「もうお宝はないからな。だけど、集結している民間軍事会社が躍起になる。ロシア人も当然宝島へ向かうだろう」


 そう、あの地下洞窟はほとんど俺たちが調べ尽くしている。あっても金のカケラくらいだろう。となれば、しばらくは時間が稼げるはずだ。

 神造島のことを漏らすよりはリスクが低い。


「了解。じゃあ、いよいよ宝島の地下洞窟のことを流すよ」

「頼む」


 これで月と星は少しの間だけ狙われない。わずかな時間を耐えてもらい、別の場所へ移動してもらう。これでいく!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ