大胆密着の千年世さん
夜になって周囲は真っ暗になった。
キャンピングカー内部は、ベッド展開をして四人は余裕で寝られる。
メインルームに二名、天井に二名、リアベッドに二名と、がんばれば六名は寝られるスペースがある。ただ、その場合はかなり窮屈なので、実際は四名が理想的だ。
今回俺は天井という最高のポジションを手に入れた。
風通しも良いし、天体観測がしやすい。
なによりも千年世と寝られるという特典つき。
さきほどジャンケンをして勝利を収めたのが千年世だった。
天音も北上さんも敗北し、メインルームとリアベッドでそれぞれ寝ていた。
「千年世と寝るのは初めてかな」
「そ、そうですね……なんだかドキドキします」
千年世は大胆にも俺に抱きついてくる。
や、柔らかい。
いろいろと柔らかいぞ。
「ちょっと早坂くん!」
俺と千年世のやりとりを察したのか、ルーフ下のメインルームで寝ているらしい天音が声を発した。
そうか、この下は天音だったか。
「妬くなって天音」
「や、妬いてなんていないもん!! ていうか、人の上でイチャイチャしないでよっ」
天井に向けて枕をブン投げてきたのか、背後にドスッと音がした。
それに対し、千年世が天音に注意していた。
「お静かにお願いします、愛ちゃん」
「だ、だってぇ……!」
天音のヤツ、そんなに俺と寝たかったのか……。気持ちはもちろん嬉しい。が、こればかりは公平なジャンケン決まったこと。許せ、天音よ。
その後、天音は静かになった。
寝たのか……?
それとも、聞き耳を立てているのだろうか。
「千年世、キャンピングカーって快適で最高だな」
「はい、大容量のバッテリーを積んでいるので、家のように電気を使えますし不便はありませんね」
「ああ、宝島でのサバイバル生活とは大違いだ。あの時は不便ばかりだった」
「文明の利器は素晴らしいですね」
「安全に寝られる場所があるだけで安心感があるな。ここなら虫には刺されないし」
「間違いないですね。野宿はお肌にもよくないので……あの時は苦労しました」
千年世の可愛い声と体温、そして包み込むような体勢のおかげか俺は心地よくなっていた。……眠い。
「すまん、千年世」
「え~、もう少しお話しましょうよ」
俺の耳元でささやく千年世。
……その天然ASMRはトドメだぞ。
だが、千年世とこうして長話するのも悪くない。
たまにはいいだろう。
だが。
ドスッ、ドスッと背中から音が。
天音、まだ起きているんだな。
逆に北上さんはぜんぜん気配がないというか……もう寝ているのだろうか。
気になっていると、やっぱりドスドス音が。枕何回投げるんだよ!?
「おい、天音」
「だって、だってー! えっちなことしたら怒るからねー!」
「するかっ!!」
さすがに出来ないだろ……。たぶん。
そう思っていると、千年世がかなり密着してきた。……うぉっ!
「天音さんのことは気になさらず」
「ち、千年世。胸が……」
「わざとです」
「わざとかよっ。最高だ」
「ちなみにノーブラです」
「んなっ!? マジか」
「マジです。確認します……?」
と、千年世は胸元を開いていく。
彼女の胸のサイズはかなり大きい。俺好みの巨乳だ。
普段は真面目な千年世が、夜になるとこんなに大胆だったとは……。
「ま、まて。いっそ、こうして……寝ていいか」
「は、早坂くん……はい、分かりました。どうぞ、私の胸の中で寝てくださいっ」
赤面してわずかに震える千年世。拒絶はなく、むしろ俺を歓迎して迎えてくれた。……これは寝心地最高だ。というか天国すぎる!
「千年世、ありがとな」
「いいんです。ずっとこうしたかったから……私も幸せです」
ぎゅっと抱きしめてくれる千年世。そこに愛を感じた。こうされると嬉しいな。