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大移動開始! 熊本城にも寄ってみた

 キャンピングカーは、鹿児島の霧島市を目指して進む。


「今のところ尾行はなさそうだ」


 ミラー越しに確認するが、特に不審な車がついてくる気配はない。


「大丈夫そうですね。では、このまま向かいます」


 北上さんの運転は、とても安全で快適だった。これほどの人数、荷物を載せた車を安定させながら進めていた。



「後部座席の方はどうだ? 天音と千年世」


「こっちは大丈夫だよ~」

「問題なしです」



 大きな揺れもなく、酔う心配はなさそうだ。

 万由里さんの運転する車もこちらについて来てくれてるし、このままなら問題なく辿りつけそうだ。


「北上さん、このまま頼む」

「一応、休憩を入れながら向かいます」

「そうしてくれ」



 博多を出て、久留米。さらに熊本へ向かう。

 自動車道をひたすら走れば、一時間で到着。



「もう熊本に到着なんだ」



 さっきまでぐっすり眠っていた天音が、熊本に到着したと同時に起き上がってきた。



「おはよ、天音。よだれ」

「……はうっ!」


 口元を拭く天音は、なんだか子供みたいで可愛かった。千年世は……まだ寝てるな。車の移動はなぜこうも眠くなるんだろうな。

 俺は北上さんに悪いと思って、ずっと睡魔と戦っていたが。


「啓くんも寝れば良かったのに」

「北上さんばかりに負担を強いられないよ」

「それは嬉しいですね。さて、そろそろ休憩しましょう」



 車はどんどん駅の方へ向かっていく。

 あれ、ナビのルートを外れているぞ。



「どこへ向かう気だ? ……って、まさか」

「せっかく熊本に来たのです。やはり、あそこへ寄っておきたいでしょう」



 ……あぁ、見えてきた。


 あのお城は間違いなく――。



「あれ~、熊本城じゃん!」



 俺の代わりに天音がその城の名を口にした。そう、熊本城である。少し前に震災で被害を受けたが、現在は復興しつつある。



「天守閣が立派ですねえ」


 千年世も感嘆を漏らす。

 確かになぁ、生の熊本城なんて初めて見たかもしれない。こんなに大きいとはな。


 休憩の場所がまさかお城とは思わなかった。


 けど、島へ行く前の息抜きにいっか!


 熊本城でいったん休憩とした。


 あっちこっちを観光し、満足したところでキャンピングカーへ戻った。



「楽しかったね~、早坂くん」

「久しぶりに満喫したな」

「うん。博多ではあんまり出掛けられなかった、リフレッシュできたよ~!」


 そうだな、櫛家では外出がほとんど出来なかった。

 だから今このタイミングで観光は良い息抜きになった。



 熊本城を去り、更に二時間走行。



 もちろん、休憩をしつつの移動だ。やがて、目的地である『霧島市』が見えてきた。

 ここまで長かったぁ……!


 休憩を挟みつつだったので、お昼を過ぎてようやく到着。



 霧島市内にある『隼人港』へ向かう。

 そこに移動用の船があるようだ。



「隼人港にキャンピングカーを乗せられるほどの船が停泊しているようです」



 櫛家が用意してくれた特別船だ。

 大体の荷物も先にその船に積載済み。


 半年は余裕で暮らせるほどの物資を積み込んである。


 ついに隼人港に到着。

 漁船がずらりと並ぶ、漁港。釣り人などが滞在している。のどかな場所だ。


 俺たちの船は……あった。



「あの場所かい」

「はい、あの貸し切りフェリーです」


「あ、ああ……」



 って、まてまて!


 あの船は見覚えがあるぞ!!



「気づきましたか、啓くん。天音さんも千年世も」



 俺たちはとんでもない船を目の当たりにしていた。


 あれはかつて、俺たちが乗って沈んで……無人島に流された船と同一ものだった。



「ちょ、不吉すぎない!?」

「天音さん、その通りです」

「へ!?」

「あの船は、あの事件以来……良いイメージがなく、乗る方が極端に減ってしまったそうです。なので、中古に売り出されたところを櫛家が買い取ったのだとか」



 そんな経緯が!!

 うわぁ、ちょっと乗りたくないな。


 当時は爆破で沈んだとはいえなぁ……。


 けど、あのフェリーで行くしかないらしい。頼むから、沈まないでくれよ!

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