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契約の日、出発の朝

 プランは大体固まった。

 幸い、櫛家にいくつかキャンピングカーがあった。千国爺さんが好きなのを使っていいということで、貸して貰うことに。



「では、わたしたちはお先に」



 月と星は財宝の売却を進めるべく、いったん沖縄に戻ることに。あの二人に動いて貰わねば、俺たちは資金は確保できない。


「……さて、今度は私だね」

「大塚さんも達者で」

「うん、向こうでみんなのメンタルケアをしてくるよ」


 どうやら、大塚さんはメンタルケアカウンセラーになるべく猛勉強中らしい。そういう存在がメンバーにいるのはありがたいことだ。

 軍医でもそういう存在はいるからな。


「よろしく頼む。いずれ全員集合しよう」

「その時は海外移住だね」

「ああ、そうだ。必ず連絡する」

「信用しているよ、早坂くん」


 握手を交わし、大塚さんと別れた。


 一時的にメンバーが減ってしまったが、今は各々の仕事に注力するしかない。


 とにかく生き延びて、財宝を全部売って金持ちになる。それが目標だ。



 本格的な移住準備を進め、日用品や必要な道具をそろえまくった。かなり金を使ってしまったが、資産運用も順調だし、なんとかなるさ。



 そして、ついに本契約が果たされる七日目を迎えた。



「……ようやくこの日か」



 俺は窓辺から朝陽が昇る様子を眺めていた。

 すると部屋に千年世がやってきた。



「おはようございます、早坂くん」

「待っていたぞ、千年世。状況は?」

「神造島は無事に我々のものになりました! これで上陸しても問題ありません!」

「おぉ……! やっとか!」



 これで問題はクリアされた。

 みんなの健康状態も問題なし。

 このまま移住を開始する。


 最後に千国の爺さんに挨拶しいく。きっといつもの和室にいるはずだ。

 部屋を出て向かうと、やっぱりキセルを吹かしていた。


「なんだ、啓」

「今日、旅立ちます。今までお世話になりました」

「うむ。そうだったな。ここまでロシア人の奇襲はなかった。だからといって油断するでないぞ」

「ご忠告感謝します。でも、俺たちは大量の武器を手に入れたし、家も手に入れた。当面の間は神造島で耐え抜きます」


「無事に生きて、ワシに富を与えてくれ」

「約束は守りますよ。もう少し待って下さい」


 俺は挨拶を済ませ、部屋を出ていこうとしたが――。


「まて、啓」

「どうしました?」

「土産にこれを持っていけ」


 なにかを投げて渡す爺さん。

 俺はそれを受け取った。


「こ、これは……なんです?」


 謎のスイッチを貰った。

 なんだろう、自爆スイッチのような形をしているんだが。


「自爆スイッチだ」

「うあああああああああ! なんてもんを!!」

「ワッハッハ……! 冗談だ。それは非常時用の緊急ボタンよ」

「緊急ボタン?」

「うむ。お前達に万が一があった場合、それを押してみよ。きっと助けになる」

「なるほど……なにが起こるかピンチになった時のお楽しみか」

「そういうことだ」


 一応もらっておくか。

 緊急ボタンをポケットに入れ、俺は立ち去った。


 それから、みんなを地下駐車場に集めた。


 俺、天音、北上さん、千年世、リコ、艾、桃枝、万由里……八名全員そろった。



「みんな、よくぞ集まってくれた。本日、契約は果たされ、神造島は俺たちのものとなった。島は自由に使っていい。ただ、未だに脅威は去っていない。そう、ロシア人の脅威だ。これからきっと戦争になるだろう。覚悟してくれ」



「「「「「「「おおおおおおお!!!!!!!」」」」」」」



 みんな声高らかに賛同してくれた。


 さっそくキャンピングカーに乗り込み、出発へ。



「北上さん、運転を頼む」

「お任せあれ」



 いざ、神造島へ……!

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