表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
159/284

謎の無人島

 今夜は最高の日になるだろう――そう勝手に思っていた。

 そう、それは俺の思い込み(・・・・)だった。


 運命とは実に残酷だ。

 ああ……そうか、日本はもう安全ではなかったのだ。



『ドドドドドドドドドドドドドド……!!!』



 ロシアのヘリ『Mi-24』による機銃掃射が襲い掛かってきた。窓は全て破損し、俺は天音を庇って身を潜めた。


「そんな馬鹿な……なぜココが!!」

「わ、わたしが有名人だから?」

「ああ……そうだった。天音がアイドルだってこと忘れていたよ。もしかして、ロシア人共は天音のことを調べ上げたのか……?」


 やがてヘリから人影が。

 ロープを伝って複数人がマンションに乗り込んできた。……クソっ、こっちは武器をひとつも持っていないぞ。

 さすがに、リスクを考えると地元に持ってくるわけにはいかなかったからな。


 逃げようとするが、複数の人影が迫ってきた。



「……お前たちは逃げられない」



 む……日本語だと?

 いや、少し訛りがある。



「何者だ……」

「死にたくなければ我々について来てもらう」


 俺と天音は目隠しをされた。

 そのままヘリに押し込められ――どこかへ連れていかれた。



 ◆ ◆ ◆



 ヘリはどこへ向かっている……?

 随分と飛行を続けているように思える。


「ねえ、早坂くん。わたしたち、どうなるの?」

「分からん。コイツ等の目的も不明だ。でも、きっと財宝狙いだろう。ロシア人共は、ずっと俺たちを追ってきていたからな」

「だよね。せっかく高校生活に戻れると思ったのに……」


 どうやら、俺たちは普通の高校生活は送れないらしい。

 こういう運命にあるんだな。


 だけど諦めたわけじゃない。

 まだ命を取られたわけでもない。


 生きている限り、希望を失うわけにはいかない。

 まだ財宝だって全て換金できていないからな。


 しばらくしてヘリはどこに降りたようだ。いったい、どこなんだ……?


 降りろと指示があって、俺たちは目隠しされたままヘリを降りた。連行され、どこかへ向かう。


 それにしても潮の香りがするな。……海が近いのか。



「よし、目隠しを取れ」



 何者かが部下に命令し、俺と天音の目隠しを剥ぎ取った。すると自分たちのいる場所に驚かされた。


 な、なんだこの廃墟は!!



「…………こ、ここは」

「ようこそ、我が『端島(はしま)』へ!」



 仮面をした男は、そう場所を明かした。端島……? 端島だって!? 馬鹿な!!



「ぐ、軍艦島……」

「ほう。さすがに日本人、詳しいようだな。そう、端島といえば軍艦島。今や無人島(・・・)である」

「ふざけんな。勝手に所有物にしてんじゃねえよ!」

「なぁに、こんな夜の時間帯では誰も来やしない」



 まさか軍艦島に連れて来られるとは思わなかった。しかし、なぜここなんだ。なにもないぞ。あるとすれば歴史の痕跡くらいだ。


「軍艦島に連れてきてどうする気だ」

「慌てるな少年。話はこれからだ」

「話だと?」

「我々と君なら協力できると思うだがな」

「協力だって? 財宝狙いだろうが」

「話が早くて助かる。そうだ、宝島に残っている財宝がどこに眠っているか教えてもらおうか」

「悪いが、宝島にはもう何も残っちゃいない」


 俺がそう明かすと仮面の男は天音に銃を向けた。コイツ!


「この少女の命がどうなってもいいのか?」

「本当だ! 行ったところで無駄だ。それに、世界中から人間が殺到している。あったとしても、もうとっくに持って行かれているさ」


「なるほど。ならば、お前達が手に入れた財宝を貰うしかないようだな」


 最初からそのつもりのクセに。

 しかしどうしたものか……。

 天音を人質に取られ、しかも仮面をかぶった男達が複数人。多分、五人はいる。こんな孤島では逃げる場所もほとんどないぞ。


 どうするべきか……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ