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二丁拳銃の北上さん

 あれから数時間が経過して、北上さんたちが帰ってきた。


「ただいまです、啓くん。……おや、なんだか、顔がやつれていますね?」

「……き、気のせいさ」

「とても疲れているようですし、少しは休んでください」

「ありがとう。そうさせてもらうよ」


 ついさっきまで凄いことをしてクタクタだなんて、言えるはずがない。天音と桃枝は風呂に行っちゃったし、俺は休ませて貰うか。


「ご飯が出来たら、また呼びに行きます」

「助かる」


 俺は自室へ戻って体を休めることにした。

 布団に横たわり仮眠をとった。


 一時間後、北上さんが起こしに来てくれた。


「起きて下さい、啓くん」

「……ん、ああ。北上さんか」

「ご飯ができました。食事にしましょう」

「もうそんな時間か」


 鈍った体を解し、一階のリビングへ向かった。その途中で事件は起きた。

 家内に響くけたたましい警報音。

 俺は何事かとビックリした。


「これは敵の侵入を知らせるものです。センサーに掛かったようですね」

「マジか。いつの間にそんな便利なものを設置していたんだよ」

「昨晩のこともありましたからね」


 それで導入したというわけか。

 ていうか、また襲撃かよ。

 もうこれ以上はないと思っていたのにな。


「ホワイトウォーターか?」

「恐らく」

「日本にいるヤツ等は全滅したかと思ったんだが」

「まだいたということでしょう。それとも別の組織か」


 なんにせよ、襲ってくるということだ。また戦闘か……クソ、もう少しゆっくりしたかったが、向こうは待ってくれない。戦わなければ。


 急いで一階へ戻り、天音たちと合流。みんな集まっていた。

 桃枝が俺に気づいて叫ぶ。


「てっちゃん大変だよ! ドローンの映像で確認したけど、また三人来てる。銃を所持しているから敵だね」

「また三人か。昨晩と同じ人数か……なにか関連性がありそうな気がするな」

「どうする? 向こうはトラップを破壊しながらこっちへ向かってきているよ」


 ドローンの映像を見せて貰うと、覆面の男が次々にトラップを破壊していた。……ウソだろ、なんで位置ばバレているんだ?


 というか、この覆面たちはいったいなんだ。


 注視していると、次の主観にはドローンが破壊された。映像が途切れてしまった。



「――なッ」

「あちゃー…撃ち落されちゃった。あのドローン、二十万円もするのにー!」


 どうやら、ドローンは全滅か。

 全て撃墜されたので大損害だ……痛手だな。

 しかも、相手の位置情報を探ることが不可能になった。


「あれは完全にプロのようですね」


 映像を見守っていた北上さんがボソッとつぶやく。その通りだろうな。昨晩のヤツ等と明らかに動きが違い過ぎる。

 これは本物のプロだ。

 ということは……昨晩のヤツ等はいったいなんだったんだ?

 なんであれ対処しないと。


「このままでは危険だ。みんな、武器を持って戦闘態勢を」


 全員頷いた。それぞれの武器を持ち、正面玄関へ向かう。

 玄関前には一応コンクリートのバリケードと数々のトラップが設置されている。それも、かなりの数を。

 周辺よりも過剰にしてあるから、この辺りを破壊するのはかなり難しい。

 けど、そんなのお構いなしに向こうは攻めてくるはず。


 コンクリートの陰に隠れ、俺は周囲を見渡した。北上さんも同様に探る。


「気配を感じます。しかも、敵はうまく分散しているようですね。早くも囲まれているようです」

「よし、ナイトスコープで確認する」


 改めて暗視するが――突然なにか飛来してきた。


「啓くん、RPGです! 危ない!!」

「……え」


 北上さんが俺を庇って地面へ倒れた。


 直後、コンクリートが破壊されるほどの爆発が起きた。



『ドオオオオオオオオオオオオオォォォ……!!』



 な……ヤツ等、ロケットランチャーまで持ち込んでいるのかよ!



「大丈夫ですか、啓くん」

「北上さんのおかげで助かった。命の恩人だよ」

「いえ、無事でなによりです」

「本当にすまん」


 しかし、こんな状況でアレなのだが、押し倒されている状況なんだよな。胸とか当たってるし、これはこれで――いや、非常時だ。忘れろ、俺ッ!


「……どうしたんです? 顔が赤いですよ?」

「そ、そりゃそうだ。こんな密着しているんだから」

「あとでもっと密着しましょう。今は敵を倒せねば」

「ああ、おかげで頑張れそうだ」


 起き上がって別のバリケードへ向かった。

 またRPG-7を撃たれたらヤバいけど、恐らくは大丈夫なはずだ。


 けど、その考えは甘かった。


「啓くん、今度はM203です!」

「げっ、グレネードかよ!」


 M203といえば、M4カービンに装着できるグレネードランチャーだ。つまり、向こうの武器はM4かM16あたりか。


 またもバリケードが破壊され、その寸前で俺たちは回避した。北上さんの判断がなければ、木っ端微塵だったろうな。


「敵はまず、障害物の破壊をしているようです」

「やってくれるな。全て破壊される前に反撃しないと」

「ええ、あたしはこの『コルト・ガバメント』と『S&W M36』を使います」

「ん!? いつの間にそんなハンドガンを!?」


 見覚えのないハンドガンを北上さんは所持していた。まさか、隠し持っていたのか……? てか、その二丁拳銃の組み合わせ、どこかで……。


「これは木下刑事から拝借しました」

「そういうことか。拝借って、それはドロボーでは……」

「大丈夫。きちんと返しますから」


 まあいい、今は非常事態だ。細かいことは後回しだ!

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