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約束のお礼

 ナイトスコープをつけ、前進していく。

 少し歩くと北上さんと大男が銃撃戦を繰り広げていた。まてまて、北上さんのヤツ、銃弾を余裕で回避してるぞ。バケモノかよ!?


 敵のアサルトライフルをあんな映画みたいに(かわ)すとか……人間辞めてるな。


 恐ろしいほどに鮮烈な動きで北上さんは男の背後を取り、そのままナイフで一突きにしてしまった。


「ガハッ!?」


 背中にナイフを突き刺され、男は倒れた。見たところ、アメリカ人っぽいな。ということはホワイトウォーターで間違いなさそうだ。


「そこの男、ホワイトウォーターですか?」


 俺が思っていたことを北上さんが男に聞く。


「|Go fuck yourselfくたばれ!!」


 汚い言葉でののしってくる男。

 直後、北上さんはナイフを容赦なく男の胸に突き刺した。


 情報を引き出したかったが、簡単に口は割らないよな。そう思っていると茂みから、もう一人が現れ、北上さんに銃口を向けて明らかに頭を狙っていた。

 咄嗟(とっさ)の判断で、俺は倒れている男からナイフを抜き取り、それをブン投げた。


 完璧なスローイングナイフで敵の胸に突き刺すことに成功。



「た、助かりました……」

「良いんだ、北上さん。それより、コイツ等は本当にホワイトウォーターか?」

「これだけの武器を持っているから間違いないでしょう」


 腰を下ろし、男の懐をまさぐる北上さん。服の中から身分証らしきものが出てきた。


「それは?」

「偽造パスポートでしょう。名はメイス」


 もう片方も確認するとロスと判明した。

 となると地雷を踏んで木っ端微塵になった者も仲間だろう。


「そうか、ホワイトウォーターで間違いなさそうだな」

「恐らくですね」


 遺体を茂みに隠し、地雷の方へ向かった。

 最後の侵入者が本当に死亡しているかどうか確認しなければ。


 念のため、慎重に歩いていく。


 前進しているとスマホがバイブした。これは天音からの連絡だ。



「どうした、天音」

『ドローンから位置を確認した。敵は排除した?』

「ああ、二人倒した。残るは地雷を踏んだヤツだ。多分、遺体は出てこないだろうけど」『地雷の位置情報を送るね』

「了解」


 天音から地雷の位置情報が送られてきた。マップデータを見ると、見事にマーキングされてる。これを回避しながら向かえばいい。

 発動したのはここより五十メートル先か。


「急ぎましょう」

「分かった」


 北上さんを俺の後ろに歩かせ、俺は銃を構えた。


 やがて目標地点に到達。


 地雷は確かに発動し、周囲が焦げていた。なにか吹き飛んだような跡もあり、恐らくは踏んだ者の肉片なにかっぽいと感じた。


「敵の数は三人。つまり、これで排除完了ということでしょう」


 そう判断する北上さん。

 確かに、もう気配はない。

 状況終了と。


「なんとかホワイトウォーターに勝ったな」

「訓練の賜物でしょうね。昔のあたしたちでは無理でした」

「北上さんのおかげだよ」

「そう言っていただけて嬉しいです」


 ニコッと微笑む北上さんは、俺の手を取って握った。そんな“にぎにぎ”されると嬉しいっていうか。


「お、おう……」

「約束のお礼です」


 北上さんはゆっくりと姿勢を傾けると、俺にキスしてきた。油断していた俺は、突然のことに頭が真っ白になった。


 そうか――そうだったな。

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