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危険な夜の日に③

 敵がトラップを踏んだか、それも解除したのか定かではない。スナイパーの狙撃が続いているところ、まだ敵は諦めていないはず。


 けど、いよいよ千年世が反撃に出る。


「天音さんから位置情報を貰いました。狙撃を開始します」


 ドローンによって敵を捕捉したようだ。これで上手くいくはず。


「頼むぞ、千年世」

「了解です」


 地面に伏せ、千年世はスコープを覗く。

 特注のデジタルナイトスコープを搭載している。あれなら、こんな夜で真っ暗でも敵がハッキリと見えるようだ。


 スコープを調整し、敵を探る千年世。

 俺と北上さんも別途用意したナイトスコープで索敵を始めた。


 う~ん……敵の姿は見えないな。


 探っていると木下さんが俺のナイトスコープを奪ってきた。


「ちょっと君! 早坂くんと言ったよね」

「な、なんでしょうか」

「北上さんが狙われているとはいえ、これはいくらなんでも、おかしすぎるだろう!?」

「おかしいとは?」


「敵は複数いるようだし、さっき地雷らしきものも踏んでいた。さらにスナイパーだって? こんな映画みたいなことがありえるのか!?」


 大混乱の木下さんは、やっぱり信じられないと頭を抱えていた。……まあ、非日常的すぎるのは認めるけど。

 しかし、これは現実だ。

 今反撃しなければ、俺たちは殺される。


 財宝どころか、命さえ奪われるだろう。


 せっかく築き上げてきたものが全て水の泡。そうなる前に敵は排除する。俺たちを阻むものは全て。


「木下さん、悪いのですが今は眠って貰いますよ」


 俺は、彼の首筋に手刀を入れた。

 気を失う木下さんの体を支え、家の中へ。玄関に寝かせた。これでいい。


「啓くん、大胆ですね」

「仕方ないだろ、北上さん。彼を巻き込むわけにはいかない」

「すでに巻き込まれている気が……」

「細かいことは気にするな。それより、敵は――」


 聞き返す前に千年世は狙撃を開始した。

 凄まじい銃声と共に弾丸が林の中へ消えていく。

 これは……どうだ?


「手応えありです!」


 直後、天音の方からも“敵の排除確認”の一報を受けた。よし、これでスナイパーは消えた。


「さすが千年世だ。こんな視認性が悪いのによくやった」

「ありがとうございます。ですが、まだ敵は複数いる模様……」


 トラップも破壊されたりしているようだし、このままでは突破されるか。


「いよいよ俺たちも出る」

「分かりました。援護します」


 ここは俺と北上さんで動くしかない。

 彼女も察したようで猟銃を手にしていた。

 俺はレベデフ・ピストルを。


 設置したコンクリの物陰に隠れ、敵を探る。


 茂みがカサカサと物音を立てている。

 気配はふたつだろうか。


 北上さんが手で合図を送ってくる。どうやら、敵は二人で確定だ。


 身を少し出すと、敵がアサルトライフルらしきものを向け、こちらに銃撃。無数の弾が飛んできた。……くそっ、野郎!


 あれだけ沢山のトラップを仕掛けたのに、ここまで掻い潜ってくるとは……敵はプロで間違いない。


 視線を北上さんに向けると手榴弾を取り出し、ピンを引き抜いていた。



 マジかよ!!



 手榴弾をブン投げて敵の方へ落とした。


 数秒後、噴火のような爆発を起こした。おかげで耳鳴りが酷い。……くぅ、これは効くな。



「北上さん、俺が行く」

「あたしも別方向から向かいます」

「分かった。お互いを守り合おう」

「そうですね、無事に終わったら……キスしていいですよ」

「……ッ! それは嬉しいな」

「ええ。では、トラップに引っ掛からないよう、くれぐれも気を付けて」


 そうだな、自分で仕掛けた罠に掛かったら本末転倒だ。気を付けて向かう。

 幸い、軍用スコップで掘った“塹壕(ざんごう)”がある。

 これを利用する。


 家から十メートル先に作った穴に身を隠し、俺は銃を構えた。


 しかし敵の姿は見当たらない。

 それどころか茂みの奥でドンパチが始まっていた。……ま、まさか北上さんが!?


「ええい、仕方ない!」


 塹壕から飛び出し、俺は茂みの奥へ。

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