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無人島防衛大作戦

 やる気の出た俺は、ひたすら穴を掘った。

 軍用スコップは万能だなぁ。

 面白いほどサクサク掘れるし、なんだかクセになる。


 北上さんも同じように落とし穴を作っていく。



「こんなところでしょうか」

「なんて勢いで作りやがる!?」



 気づけば俺の十倍は落とし穴を作っていた。あんな細腕なのに、一体どこから力が沸いて出て来るんだか。


 でもおかげで周辺に多くの落とし穴を設置できた。


 更に地雷も設置できた。


「対人地雷です。間違って踏まないでくださいね、体が吹き飛びますから」

「踏まないって。てか、地雷とかいいのかよ……」

「向こうは殺しに来るんですよ。仕方ないでしょう」

「そりゃそうだが」


 とはいえ、それほど数があるわけじゃない。しかも向こうはプロだろうし、簡単に回避してしまうだろう。ないよりはマシといったレベルだ。


 その後も防衛力アップの為に様々な罠を仕掛けていった。


 飛び出る丸太と杭、岩が降ってくる罠、捕獲網など数々のブービートラップ。殺傷能力の低いこけおどしの花火トラップまであった。


「これくらいにしておきましょう。やりすぎは返って危険です」

「やりすぎなくらいだけどな。まあいいか」


 そろそろ天音たちの動きも気になる。

 様子を見に行くと、かなり範囲に有刺鉄線が張り巡らされていた。おぉ、順調だな。


 半径五十メートルほどを囲うように設置しているようだ。


「あ、早坂くん。お疲れ様~」

「よう、天音。そっちは結構進んだようだな」

「リコちゃんのおかげでね!」


 どうやら、リコはこういうことに慣れているらしい。視線を向けると彼女は察したようで説明してくれた。


「あたし、親戚の家が田舎でさ。ソーラーパネルの防犯フェンスを作るときに有刺鉄線を張ったことがあるんだ」


 なにそれスゴイ経験だな。

 でもおかげで助かった。

 この分なら作業はかなり進む。


 俺と北上さんも作業に加わり、更に進めていく。



 ――そうして半日が過ぎた。



 気づけば日が沈み始めていた。

 夜がやってくる。


 ヤツ等が来るとしたら今夜だろう。


「お疲れ、天音」

「早坂くんもお疲れ様。はい、冷たいお茶」

「ありがとう」


 麦茶を受け取り、俺は乾ききった喉を潤す。

 う~ん、労働の後の茶は美味い。

 満足しているとノートパソコンを眺めていると桃枝が話しかけてきた。


「ね~、てっちゃん」

「どうした、桃枝」

「姉御がドローンの飛行許可を出してくれたから、飛ばしてみたんだよ~」


 姉御とは北上さんのことだな。

 なるほどドローンで敵の動きを見てみるということかな。


「映像を出せるのか?」

「もちのロンだよ。これがリアルタイムの映像」


 ノートパソコンの画面には、島全体の俯瞰(ふかん)風景(ふうけい)が映っていた。これは凄い映像だな。

 こうして見ると島がかなり広いということが分かった。



「このドローンの飛行時間は?」

「改造してあるから四十分以上は飛べるよ。あとモノを運んだり、落下させたりできる特別仕様だよ」



 そういえば海外ではドローンに荷物を運ばせていると聞いたことがある。あと軍用ドローンは爆弾を装備させて敵陣地に落としているそうな。

 また、ドローン自体を落とす『自爆ドローン』も存在する。そっちは本体を消耗するため、コストがそこそこ掛かるのが難点だ。

 ウチが稼働させているのは荷物運搬ドローン。

 敵に気づかれたら銃で撃墜されるリスクがある。


「じゃあ、しばらくは監視に使ってくれ。異常があったら直ぐに知らせるんだ」

「了解だよ。まあ、AI操作の自動操縦も可能だから」

「AIも対応しているのか!?」

「うん、私がプログラムを仕込んでおいた」


 さすが桃枝。天才だな。

 そうか、今のドローンはAIも搭載しているのか……スゲェ。


「それってどうなるんだ?」

「よくぞ聞いてくれました。侵入者を発見したらアラートを発信してくれるよ。脅威判定が出た場合は爆弾を自動投下してくれる。一機だけ銃を装着しているから、機銃掃射も可能」


「なにそれ、最高かよ。そこまで改造してあったとは……」

「ドローンの魔改造は、愛ちゃんのおかげだよ」

「天音が?」


 俺の近くに座る天音は、恥ずかしそうに顔を赤くしていた。


「ちょっとお金掛かっちゃったけどね」

「マジか。その分は報酬に追加しておく」

「いいよ。みんなを守るためだもん」

「いや、天音も貢献してくれているんだ。当然のことさ」

「分かった。ありがとうね」


 微笑む天音。その表情に俺はドキッとした。もし二人きりだったのなら、この好きという感情を爆発させ、天音を押し倒していたかもしれない。


 ぐっと気持ちを抑えていると、お風呂に行っていた北上さんたちが戻ってきた。


「良いお湯でした」

「それじゃ、俺も行ってくるか」


 立ち上がった瞬間だった。

 桃枝のノートパソコンから、けたたましい音が響いた。こ、これはアラート!


 まさか、侵入者……!

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