7.巡る因果⑫ 想定外の外
まあ確かに俺も正直、想定外の外って感じだ。
神代の選定はある条件の下、無作為に行われる(といわれている)。
その条件とは、宣告の直前に設けられる選定時間帯に、その身を神都に置いていることだ。定住者や一時滞在者の区別なく。
ここは大陸一の都市エリオンテーゼ。前述の条件に当てはまる人間など、数え切れないほどたくさんいる。
たったひとりの神代に選ばれるなんて、普通は本気で考えないだろう。《サーバー》ダウンに遭遇するか、宝石くじに当たる方がまだ確率は高い。
なのにミスティが選ばれるとは……
いやはや当たるもんなんだなー。今度こいつに宝石くじでも買わせてみっか。
……と考えてから、その今度があるかどうかが分からない、という状況にあることを思い出す。
「なりたくもないのに選ばれるってのも、迷惑な話よねー」
頰杖を突いたまま、気だるげにキッカが言う。
「つーか、嫌なら断ればいいんじゃねえか?」
「どうやってです?」
「俺に聞くなよ」
「あんたが言い出しっぺじゃない」
「うっせえ黙れ割り込むな」
犬歯をむいて切り捨てると、キッカはむっと口の端を曲げた。
反論するかと思いきや、こらえるように頭を振り、
「ねえミスティ。やっぱり教会に直接出向いて、断るのが筋じゃない?」
「そうですねぇ……」
悩ましげなミスティに、俺は気楽に提案した。
「なんにしろ、明日の朝また考えればいいだろ。もう遅いんだし今は寝ようぜ」
「……ですね、明日考えましょう。なんか眠くて頭働かないですし」
ぱんと手のひらで太ももを打ち、ミスティはベッドから立ち上がった。
「じゃあウィルさん、私は自分の部屋に戻りますね。キッカさんは……そういえばどこの宿に泊まってるんですか?」
さっきまでは神代のことで手いっぱいだったのだろう。今更のようにミスティが聞く。
「私? 私はすぐそこの宿よ。徒歩ですぐ」
「んじゃあすぐ帰れるよな、さっさと帰れ」
俺は立ち上がってすたすた歩くと、キッカの座っている丸椅子の座面を下から蹴り上げた。
キッカがつんのめりながら罵声を上げる。
「ちょっとなにすんのよ!」
「うるせえ俺は眠てえんだよ。ほら早く出てった出てった」
おとなしく手を振るミスティと、まなじり上げて舌を出すキッカを部屋から出して。
俺はようやく布団の中へと潜り込んだ。
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