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5.死を招く村④ リーク・スポット

「でもさあ。真面目な話、理由ならあたしとだってあるじゃない。協力してマジック・ジャンクを見つけて成果は山分け。あたしはジャンクの金銭的価値に、あんたはジャンクそのものへの興味が強いんだから、うまいことやっていけるはずよ」

「それを言ったら、俺ひとりでだってうまくやっていける」

「誰かが先に使ってくれなきゃ、自分の魔法ひとつ使うこともできないのに?」


 嘲りというよりは単なる事実の確認として、キッカが聞いてくる。


「それなりに腕は立つみたいだけど、あんた別にすご腕の剣士ってわけでもないんでしょ? 誰もが魔法で襲ってくるわけじゃないんだから、かなり不利だと思うけど」

「実際それでやってこれてんだから、それが真実だろ。それに今この瞬間なら、《ユーザー》のお前より横取り屋(スティーラー)の俺の方が圧倒的に有利だね」

「どういう意味です?」


 俺とキッカの間から、ミスティが口を挟んでくる。

 ……そっか、こいつは魔法を使えないんだったな。ってことは魔力の感知がそもそもできねえってことか。


「ここはリーク・スポットなのよ」


 キッカの言葉に、顎に人さし指を当て上を向くミスティ。思い出すように、


「リーク・スポットって……魔力漏出地点、でしたっけ?」

「ええ。魔力は《サーバー》からダウンロードするのだけれど、それが特定の《ユーザー》によってではなく、現象として延々ダウンロードされている場所のことよ。要はこの辺り一帯の魔力利用の優先権を、現象に独り占めされてる状態ってわけ」

「そうなるとお前は魔法が使えない。一方で横取り屋(スティーラー)の俺は、現象から奪った《アクセス権》で魔法を使いたい放題ってわけだ」

「へえすっごい! 無制限なんですか?」

「いやまあ現象から完全に奪うのは無理だから、正確には現象との分け合いになるけどな。それでも普段偉ぶってる《ユーザー》様より優位なことには変わりねえ」

「分っかりやすいわねー」


 と、キッカがそれこそ分かりやすい挑発顔を見せる。


「なにがだよ?」

「だってそうじゃない。普段好きな時に魔法を使えないからって、リーク・スポットに来た途端粋がっちゃって」

「んだと?」


 俺はかちんときて右手の指を鳴らした。


「だったら粋がりついでに現実を見せてやるよ」


 覚悟しろよ。今までお情けで保留にしてやってた、エンド・オブ・ヘアー攻撃を実行してやる。ハート型に短く刈った部分だけ残して、あとはつるっぱげにしてやろうじゃねえか。


「ちなみに最終到達地点は、桃色に染めてハート禿()げだからな!」

「訳分かんないわよ……」


 ずびしと指さす俺に、キッカは一転あきれ顔を見せ、


「あ!」


 とミスティが声を上げる。

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