#02 妹からのアドバイス その1
一話にまとめようとしたら長くなりすぎると判断したため、二話構成にしました。
こちらは一話目です。
「ん~、困った…どうしよう……」
小鳥遊さんが帰った後、僕は制服から着替え、じいちゃんと一緒に昼食を食べ、明日、CTOの正式サービスが開始したらすぐ始められるようにVRヘッドギアの設定をしておいた。
そして、両親が帰宅するまで時間があったので、CTOについて少しでも調べておこうと思ったのだ。
スキルと職業について、複数人のベータテストプレイヤーによってまとめられたサイトを見たところ、習得方法が判明しているものだけでもスキルが約300個、職業は約30種類もあった。
そして、職業は戦闘系と生産系の2つ、スキルはそれらに補助系を加えた3つに分けられるそうだ。
スキルは、キャラクタークリエイト時に10個習得することができて、その後はスキルポイントというものを消費して習得するらしい。
「武器や魔法を使って戦いたいし、鍛冶もしたいんだよな…そうなると職業は何を選べば良いんだろう…」
う~ん、光輝には慣れるまで内緒にしておきたいし、夕食後にでも緋芽華に相談してみようかな?
「「「ただいま~」」」
っと、ちょうど帰ってきたようだ。
「おかえり、父さん、母さん、緋芽華」
階段を下りたら、玄関には大きな買い物袋を持った父さんと、手ぶらな母さん、小さな買い物袋を持った緋芽華の三人がいた。
「おう、ただいま、熾音」
「ただいま、熾音。今日の晩ご飯はすき焼きよ」
母さんがそう言ったので、父さんが袋の中身を見せてきた。確かに牛肉や豆腐、うどんなど、すき焼きの具材が入っていた。
「ただいま。着替えたいからこれ持って行って」
そう言って、緋芽華は持っていた袋を渡してきた。
「はいよ。あ、そうだ、少し聞きたいことがあるから、夕食後、何時でもいいから部屋に来てくれない?」
「聞きたいこと?まぁ、いいわよ」
緋芽華は一瞬怪訝そうな顔をしたが、すぐに了承してくれた。
◇◇◇
午後9時頃、部屋でCTOについて調べていたら、扉が三回ノックされた。
「はい、どうぞ」
訪問者が誰か分かっているため、すぐに入室の許可を出した。
「ごめん、待たせた?」
「いや、調べものしてたから大丈夫だよ」
訪問者はやはり緋芽華だった。どうやら入浴を済ませてきたようで、淡い赤色の寝間着に身を包んでいて、頬は少し上気しており、腰まである艶やかな黒髪もまだ少し濡れていた。
「それで、私に聞きたいことって何?」
ベッドに腰を掛けてから緋芽華は聞いてきた。
「その、明日、CTOをプレイするんだけど、どのスキルと職業を選べば良いのか分からないから、緋芽華に教えてほしくて…」
「CTOって、クリエイト・テイル・オンラインのこと?買ったの?」
「あ、えっと、実は………」
僕はCTOを貰った経緯と、まとめサイトに書いてあったスキルや職業を見て、どれを選択すれば良いのか悩んでいることを緋芽華に話した。
「はぁ~、まさか、おじいちゃんが関わっていたなんて、驚きだわ」
「本当にね」
「で、どのスキルと職業を選べば良いのか悩んでるんだっけ?なら、熾音のプレイスタイル…というか、CTOでしたいことね、それを教えてくれる?それを聞いてから、どのスキルと職業を選べば良いのかを考えるから」
「ありがとう、緋芽華。とりあえず、戦闘も鍛冶もしたいと思ってるんだけど…」
「戦闘も鍛冶も?戦闘では武器を使うの?それとも魔法?」
「えっと…剣も魔法も使いたいと思ってるんだけど…」
「……鍛冶をしたいってことは、戦闘に使用する武器は自分で作るってことよね?販売はするの?」
「う~ん、今のところ販売する気はないかな」
僕がCTOでしたいことを知った緋芽華は、何かを考えるように、右手を口元に当てながら俯いた。
「…それなら…う~ん、そうね……」
「…やっぱり、やめた方が良いかな?まとめサイトとかにも、戦闘系か生産系か、戦闘系なら物理職か魔法職かのどちらかを主軸にして、他は補助くらいにした方が良いって書いてあったし…」
「………」
「緋芽華?」
やはり、武器や魔法による戦闘と、鍛冶の両立は出来ないのかと思い、緋芽華に声をかけたが返事はなかった。
鍛冶は絶対したいから、剣か魔法のどちらか、あるいは戦闘することそのものを諦めるべきか、緋芽華に聞こうとしたその時、緋芽華は一度頷き、僕に真剣な瞳を向け口を開いた。
「ねぇ、熾音、知ってる?クリエイト・テイル・オンラインのキャッチコピーは、『自分なりの遊び方を創造し、あなただけの物語を紡ごう!』なのよ」
「え?う、うん、そうなんだ?」
なるほど、それでゲームタイトルが、クリエイト・テイル・オンラインなのか。けど、それがどうしたんだろうか?
「えぇ、そうなの。それで、熾音がCTOでしたいことを全てしようと思ったら、ステータスは満遍なく上げる必要があるし、他のプレイヤーと比べてスキルの成長速度は遅くなるわ。それによって、器用貧乏と揶揄されたり、火力不足が原因で、パーティーを組んでもらえず、せっかくのVRMMORPGなのにソロプレイしかできないかもしれないわ」
「うん」
いくつか聞きたいことがあったけど、あとにしておこう。
「それでも熾音は、剣や魔法での戦闘も、鍛冶もしたいと思う?」
「………」
「熾音が本当に、誰に何と言われても、それら全てをしたいと思っているのなら、私は応援も協力もするわ」
「緋芽華……」
…僕はどうしたいんだろう?
「どうする、熾音?」
「僕は……」
「…ねぇ、熾音?難しく考えなくて良いのよ?別に、今回のこの選択で将来の道が決定するわけでもないんだし。ただ熾音が、それら全てをしたいかしたくないか、それだけよ」
僕がしたいかしたくないか、か……。よし!
「決めたよ、緋芽華。誰に何を言われても、パーティー?ってのが組めなくても、僕は、剣や魔法による戦闘も、鍛冶もすることにしたよ。だって、このゲームのキャッチコピーは『あなただけの物語を』なんでしょ?それに、一人で全て出来るなら、ソロプレイでも問題ないと思うし」
僕の答えを聞いた緋芽華は、唖然としたが、すぐに柔らかく微笑んだ。
「ふふっ、それもそうね。なら、スキルと職業を何にするか考えましょうか」
「うん、そうしようか」
さて、スキルと職業は何が良いかな?
次回、妹から色々とアドバイスを貰います
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作者のメンタルはやや弱いので、キツイ言葉での指摘はご遠慮くださいますようお願い致します。




