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オッサンの錬金魔術  作者: 梅雨川
6/16

転移

魔王城の広間。

そこで、魔族の者たちの悲鳴が挙がる。


それでも、悲鳴を聞いて外から来た軍勢がその二人を倒さんと、突撃する。

その数およそ三千。


そんな軍勢を前に、おっさんはため息を吐いていた。


「はぁ、こんな数を良く用意できてるな。この城の近くだからか?」


おっさんは、敵の股や、足を的確に、槍や剣を、空間魔法でつないで貫いていく。


そんな折、無機質な声が頭の中に響いた。


『敵の数、千以上を確認、スキル『軍師』の『軍勢の召喚』が解放されました』


ふむ、軍勢の召喚か。

っていうか、何でこのタイミング?もしかして、千を超える敵を相手にすると解放されるとか、条件をクリアしなければならないのか?

まるでゲームだな。


そう思うおっさんだった。


まあ、一人ひとり倒すのも時間がかかるし、召喚してみるか。


「ええっと。リーネ私から離れないように」


一応、ね。


「ん?わかったが…」


ええっと、これも創造するやつなのか?


思い描くのは、アニメや漫画みたいに屈強な戦士、戦車とヘリ、それと歩兵か?


少しづつ具体的に思い描く。

そうしていると、後ろには、目の前にいる敵を上回るほどの、何やら剣や槍、銃を持つ歩兵と、戦車がずらりと並んでいた。戦車がドイツ軍制なのは、俺がそうイメージしたからだろう。

そして、さらに後ろには、アメリカの爆撃機から、C-5まで、様々だ。


「これは、本当に、チートだな。やはり、この体の元の持ち主がそうとうチートだったんだろうなあ」


おっさんは、目を遠くしながらつぶやく。

ぼおっとしていると、召喚した歩兵の中から、遠くからでもわかる女性の兵士だ。

その格好は、緑色の軍服で、自身のイメージが多分に入っていた。


「おいおい、その格好は恥ずかしすぎだろう」


自分で想像しておきながら、人が着ているのを笑う、いやなおっさんだった。


「閣下、指示を」


軍人にそう言われ、ぽかんとする。


「閣下?それに指示?俺、軍を率いたことがないのだが?」


「ご安心を、ここにいる軍はすべて、閣下に従います。ところで、現在の状況を鑑みるに、ここは、数と火力にて、殲滅戦を行うべきだと提案します」


目の前の光景を指してそう言う。

おっさんも、それにつれられて、めのまえを見ると、今さっき現れた軍勢に驚き、落ち着いた一部の敵は、鬼のような形相でこちらを見ている。 


「ああ、そうね。まあ、任せるは」

「かしこまりました」


きれいな敬礼をすると、何やら無線機で伝えていた。

「閣下は、これより殲滅戦を始めるとのことだ。早急にそうとうせよ」

『それは、閣下のお言葉か?』

「ああ、閣下に誓って、そうである」

『了解した。これより、殲滅戦を行う』


と言う声が聞こえた。

うん。これ過剰暴力だよね?

せめて、なるべく殺さないようにしないと。


焦ったおっさんは、急いでそのあたりのことを話す。

曰く、これは戦争じゃないから、殺すのはどうかと等々。


「わかりました。では捕縛が主な作戦であるということですね」

「ああ、分かってもらえて何よりだよ」


ため息を漏らす。


「わかりました。では至急、その様に伝えます」


と言う具合で、固まって突っ立っていたものから順に捕縛、暴れた者は多少けがをさせて、鎮圧。

その動きは洗練させたような兵士の動きだった。


数時間ほどを経て、見えるところの全ての敵は、捕縛されていた。


「これで、任務は完了しました」


おっさんの下に、先ほどの軍人が来る。


「ああ、ご苦労だった」


そう言うと、全ての軍隊が消えた。


「さて、元の場所に戻してくれる奴はいないのか?」


俺が、声を張り、そう聞くと、ビクンんと、目のまえにいる銀髪の少女の方が震える。


「なあ、頼むよ。元の場所に戻してくれたら、傷も治すし、開放もする」

「蒼汰殿!?」


なぜか隣のリーネが驚いているが、今は少し黙っていただこう。


「で、銅なんだ?元に戻してくれるのか?」


俺は、少女の近くでそう聞くと、コクリ、と頷いた。


「わかった。じゃあ、頼む」


彼女だけを開放し、立ち上がらせる。


「いいだろう。代わりに、貴様が戦争に参加しない、と言うならば、引き受ける」


銀髪少女は、たくましいことに、解放された後、すぐに距離を置き、臨戦態勢に入ってそう言ってくる。

ああ、面戸くせ。


「わかった、分かった。そうしよう」

「…」


「ふん、人間の言葉が信じられるか!」


「ではどうする?このまま皆殺しにして、出て行ってもいいんだぞ?」


本当はできないけど。


「ウグ」


そうしないだけであって、できないわけじゃない。


しばらく見つめあい、相手側が折れた。


「いいだろう。今はその言葉を信じよう」


そうして、少女は両手をかざす。

すると、自身の下に魔方陣が出来上がる。

そこでおっさんは、自分の体が浮いていくことに気が付く。


「今度はこのようなへまはしない」


そう言って、魔法を発動させる。

そして、気が付けば、どこかの城壁の前だった。


「ここは…」


おっさんが現在地をわからないでいると、リーネが驚いていた。


「そんな!ここはデューチェだぞ!」


デューチェ?この町の名前か?


「デューチェとは?」

「ああ、我々が目指していた、一番辺境の町だ」


ああ、ってことは、空間魔法か。


「そんなに驚くことか?」

「当たり前だ!本来、転移は距離に応じ、そのぶんの魔力が取られる。まして、魔都から、デューチェまでだと?人間技ではない…」


と、戦線苦境しているが、まあいいや。

何やら過ぎようだが、俺は田舎に引っ込む。

そんな俺には関係ないことだ。


「ま、今サラ驚いても仕方がない。とりあえず中に入ろう」


そう言って俺は、門を指さす。





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