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オッサンの錬金魔術  作者: 梅雨川
14/16

エルフの森

すみません


翌日

王都の外の森に、皆を連れてやって来ていた。


「あの、ササキさん?此処になにかあるんですか?」


「ああ、危険地帯なのだ。意味がないのなら一度帰りたいのだが」


「おじさん?」


「どうしたの?」


四人からの質問を受けながらも黙っているオッサン。


「この辺りで良いか」


オッサンは、少しばかり遠くなった城壁を見ながらそう言った。

オッサンが手をかざすと、いきなり黒い物体が現れる。骨組みのように出た2つの橋の先には、十字型の何かが付いており、目の前に見えるガラス越しには、灰色の服を着た男が座っていた。


その固まりは鉄で出来ているようだった。


「ふむ、なかなか良いな」


オッサンはそいって中に入ると、操縦席にいた男と話している。

暫くして戻ってきて、彼女達に説明する。


「此は、私が召喚したような物で、空を飛ぶことの出来る乗り物だ」


「の、乗り物?」


固まっている四人を押し、ヘリに乗り込む。

全員がちゃんと乗っていることを確認すると、操縦席にいる男に合図を送る。

すると、エンジンかける音が聞こえる。

やがて、テンポの良いエンジン音が聞こえてくる。


「こ、これはいったい…」


「鉄の竜、いや、鉄のドラゴン?」


訳がわからずめを白黒させている四人をよそに、方向を伝える。

その数舜後に、浮遊感が体をおそう。


「な、何が…」


「これは飛行機、空を飛び、陸路を大幅に短縮させる画期的な乗り物だ。初の空旅は少しばかり窮屈だろうが、まあ我慢してくれ。これで、入学式に間に合うからな」


四人は、外を見て小さい悲鳴を出したり、浮遊感に息を飲んだり、うるさいエンジン音に耳を塞いだりと、様々な反応を見せてくれた。


まあ、二日も乗れば慣れるだろう。そう思うオッサンだった。

~~~~~~~~~~

飛行機の浮遊感にもだいぶ慣れてきた時、一度地上に降りる。


地上に降り、外に出ると伸びをする。

ほぼ半日同じ体系でいるのは、体がもたない。

しかし、この具現化能力、現実に現れている間はずっと燃料が減らなかった。

何らかの力によるものなのか、魔法と言う新たなエネルギーの為なのか。

考えても分からないことを、考えても仕方がないと、放置することにした。


「さて、ここいらで昼食にするか」


後ろの三人を見ると、いまだに地上になれないのか、ふらふらした足取りをしていた。


「まあ、もう少しすれば治るさ」


そんなエルフ達を放置し、夕食を作るのに取り掛かる、

この場で、住居を召喚しないのは、本人がキャンプ気分ンを味わいたかったからに過ぎず、ここで野宿と言うことになれば、住居は召喚しないまでも、現代のテントを召喚したに違いないのである。


「凄い、もうこんなところまで」


地上に慣れてきたシャルさんが、周りを見てそうつぶやく。

森しかないように見えるのだが。


「エルフとは、森を見るだけで、場所ががわかるのか?」


「ええ、まあ、ある程度には。我々エルフは先祖代々森戸のつながりがあります。我々はその森に守られ繁栄してきました」


なるほど、加護の様なものだろうか?

この世界には、魔法や魔術の他に加護と言う物が存在する。

これは、神々が人間に付与するもので、それぞれの加護によって、その職業がやたらと得意になったり、常人の何倍も伸びしろがある、らしい。


だが、彼女の言いぐさからするに、これは加護と言うより自然界全般との契約のように聞こえる、


「ふむ、そう言う魔法は記憶にな、い、いやあった」


記憶をまさぐり、錬金術師としての記憶にあった。

契約魔法

互いの魔力により煉られた魔法の契約。

見えないパスでつながっており、期間、範囲は自由に決めることが可能。術によっては、生贄を必要とするものがあり、表立ってやることは禁止されている。また、片方が契約を破った場合、契約時に結んだ罰、又は世界による修正を行われる。

尚、世界に干渉した魔法の為、世界をゆがめかねないような契約はできない。できたとしても、相応の対価を必要とする。


なるほど。

まあ、やることはないだろうが、一応心にとめておこう。


俺は、手を二回たたき、注目を浴びる。


「昼食は、私が用意しよう。昨日、町で勝ってきたものがある」


そう言って、椅子とテーブル、火起こし器を出す。

四人に椅子をすすめて、集めた枝木に火をつける。

鍋を置き、あらかじめ切っていた肉を入れる、

十分火が通ったのを確認し、玉ねぎに似た野菜と、ニンジンに似た野菜をいためる。

水を入れ、沸騰するまで待つ。

沸騰したら、浮いてきた悪を取り、ルーの様な粉を入れる。


はい、カレー度出来上がり。


「では食べようか」


テーブルに並べ、水を入れる。


「これは、なんと言う料理ですか?」


シャルがそう聞いてくる。


「ああ、たぶん、カレーと言う物だ」


残念ながら、お米を炊く時間がなかったため、お米なしのカレーだ。

唯のカレー。


「お、おいしいです」

「これはいいな」

「おじさんグッド」

「いいね!」


四人から料理の感想をいただき、完食する。

暫くして、再び飛行機での移動を開始する。


「里まではもう少しだと思います」


とのことなので、数時間で着くだろう。

乗り込んだ後、俺は睡眠をとることにした。

昼の満腹感も相まって、すぐ寝てしまった。


~~~~~~~~~~

「…さん・・・さん・・・キさん・・・キさんお…ださい!」


暗闇から、誰かの声がする。


「…キさん・・・サキさん・・・ササキさん!!」


「っは、ななんだ?」


体を揺さぶられ、起きると、目の前にはシャルさんの顔。


「前方に十基の飛竜です!いくら鉄の塊でも、焼けてしまいます!」


必死に訴えてくるシャルさんを落ち着かせる。


「わかった。何か対策をしよう。シャルさんはそこで座っていてくれ。ほかのみんなも」


前方の操縦席に行き、見ると、赤や青い色の、ドラゴンの様な見た目で、少し小さい飛竜を見る。

よくみると、背中に人が載っていて、地上にブレスを吐かせたり、地上に着陸したりしている。


こちらが、完全に視認できるようになった時、向こう側も気づいたのか、こちらに魔法を売ってくる。

その衝撃で、ヘリが揺れる。


「ま、マジか、これは、無理だろ」


空軍などの大量の具現化は、まだ条件を満たしていないのか、できなかった。

十基すべてがこちらを敵としたとき、それは起こった。


『空での過剰戦力を確認。『航空部隊』の呼び出しが可能です』


「よし」


俺は、すぐ呼び出す。

ヘリを中心に、現代の日本の武装したヘリが四機現れる。

同時に、目の前のヘッドホンとマイクにも、連絡が来る。


『閣下、指示を』


「目の前の敵を墜落させろ。死なせるな」

『了解』


両サイドにいたヘリが、飛竜に向かって近づき、下についている機関砲を放つ。


見る見るうちに、ケガを負う飛竜たちは、下に降りていく。


「よくやった。これで任務終了だ」

『了解』

「地上に降りて待機、並びに周辺警戒をしていてくれ」


地上が危ないと判断し、そう言う。


「下に降りてくれ」

『了解』


隣の操縦士にそう言い、降りてもらう。


そこには、半分やけた里?があった。皆、木を繰りぬいたような住居だったり、木の上に会ったりしていた。


「そんなっ」


降りてきたシャルは、小さくそう言う。

どうやら、知っているところらしい。


「ここは、シャルさんの知ってる場所かな?」


「え、ええ、ここが目的地です」


「な、なるほど。どれは、気の毒に」


其れしか言えなかった。

俺は、待機していたヘリに乗っていた者たちに、火を消すよう言う。

すると、彼らは、ヘリで上に上がる者や、建物の燃えた部分を壊すものがいた。


暫くして、ここを離れたヘリが、バケツを持って、帰ってきた。

この近くに、水源があったそうだ。


「よし、とにかく、早急にすべての火を消すんだ」


そう指示し、自分も、それに加わる。


クソ、洪水を起こせるような魔法はないのか!


ずっと、その様に思っていると、体の中にある力が少しばかり持っていかれるのと同時に、上に大きな波紋が浮かぶ。

空間魔法、いや、また別の魔法だった。

その波紋は、次第に魔方陣となり、光りだす。

その直後、何かに押されるような感覚を得る。


「な、なんだ!」


先ほどまで、燃える家を呆然と見ていたシャルたちが逃げる。

そうして、ようやく収まったのを感じ、目を開けると、体がずぶ煉れとなり、周りにあった火は、消えていた。


「み、水?そうか、あれは、俺が出した水だったのか」


そうと、分かれば納得も行く。

なんせ、この体は、過去に偉人が使っていた物なのだ。

この様な魔法も仕えて当然であろう。


「ふう、どちらにしろ火が治まってよかった」


周りから、白い煙が出ているのを見ながら、そう思う。



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