学校
王立アカデミー
そこは、国の中でも最先端を行く秀才の集まりである。生徒の半分が一般人からの入学者で、毎年の平均点はほぼ満点に近いとのこと。
また、学内での上位成績を保っていれば、国が学費を負担し、その生徒の多くが国家公務員に就職する、エリート達の学舎であった。
また、貴族階級の人間もおり、女生徒にとっては出会いの場でもある。そして、アカデミーで最も重要にってくるのは幅広い知識、独創的な発想、論理的思考であった。
此は、初代国王が決して譲らなかった教育方針であり、国の最大の投資である。また、アカデミーからは平民でも摂政や大臣、大将等の職に付いている事があり、王国の強固な地盤は此処から来ていると言っても良い程の優秀さである。
アカデミーの中には、魔法、勉学、実技が存在するが、実質勉学一本で入学が決まるようになっていた。これらのシステムにより王国中の秀才を効率よく、余さず集めることに成功したのであった。
無論、余程実技と魔法が秀でていれば、勉学が多少劣っていても入学は可能だが、それらは血統が大いに関わってくるため、貴族階級が殆どであった。力だけの国など所詮は野蛮そのもの、それよりも論理と知識を効率的に活用し、人間性のある、秩序のある徹底した人間を育てる事を校訓としている。
また、国の中枢の多くの人間がこのアカデミーの出身であるため、国内の影響力は並みではない。それ故に何処からの影響も受けることの無い、独立した学舎を運営している。
なお、規則違反、秩序の破壊行為をした場合は即退学となり、国が罰則を決定、執行することになっている。
王国の影響が高いこの国では、王国が決めた罰則は順守とされている。
この国に古くからある由緒正しい学校である。
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結果から言うと、レイラとアリシアは、あっさり合格してしまった。
「非常に簡単だったな」
「そんなことないよ?おじさん」
レイラが笑顔でそう言ってくる。
いやいや、相当難しいって聞いてたんだけど?
「そうそう、そうでもなかった」
アリシアにまでそう言われてはそうだったのだろう。
「あらあらまあまあ、うちの子は本当に頭がいいんだね」
「ふふん、きっと兄さんに似たんだな」
「いやいや、二人に似たんだろう」
「「え?」」
いきなり二人が、こちらを向いて疑問の声を上げた。
「ん?」
何か変なことを言ったか?
「いえいえ、ですから今この子たちが誰に似たと?」
「ええ、君たちに似たのでは?」
そうしていると、レイラの母の、シャルさんがこちらに笑顔で近づいてくる。
「私が、そんなに老けて見えますか?」
ん?
「いえ、普通にきれいだと思いますが・・・」
思ったままの感想を言うと、耳を赤くしていった。
「そ、そんなことを聞いてるわけではありません!第一彼女は私の姉の子です。頭の出来は違うと思いますよ」
「え?」
「それなら私も。この子は兄さんの子供だ。私は独身だぞ?」
「は?え?でも、え?」
な、なんだと?!
は、え?でも、お母さんって。
「ええ、たぶん、姉さんからずっと預かっていたからそうよばれるようになったんですよ」
「まったく、兄さんめ、速く帰ってこそだてをしてほしいものだ」
アリシアの母こと、マリーさんがふんすと、鼻から息を吐く。
「ま、マジかー」
ついつい素で言ってしまう。
「な、なるほど。ということは、そろそろ帰ってくるという事だな?」
「ええ、そうですね。」
「なら、ここにいてはまずいのでは?」
「いえ、このまちにいると伝えているので、でもまさか、来る途中で食料と有り金を全部取られ、うまが逃げるなんて」
「思ってもいなかったからな~」
二人でそう言うところをみるに、そこに丁度行き当たった俺は、運が悪いのだろうか。
「はぁ。わかりました。では、帰るときは言ってください」
「あ、では、明日いちど、里にもどろうかと思ってます」
「わたしもかな。里を出てちょうど半年だからな」
「え!そういうのはやめに言えヤ!」
またもや素で答えてしまう。
「いや~、なんてったっては久しぶりに手紙を書いたら、お爺ちゃんとかがスゴイ怒ってて」
「顔を見せろって」
レイとアリスが引き継いで言う。
「ああ、なるほど、だが、無理だ。入学式は来週だぞ?どのくらいで里に帰れるんだ」
「ええ、大体一週間?」
「いやいやいや、遠すぎるって」
いくらなんでも遠すぎる。
それなら先に言えよ。
まったく。ああ、この世界に飛行機があったら・・・・
いやまて、軍用機ならあるのでは?
「はぁ、分かった。代わりに、私も同行しよう」
「え、いえいえそんな」
「同行させてもらう」
「しかし」
「する」
「わかりました。では、お願いします」
こうして、エルフの里に赴くこととなった。
何やら少女二人が嬉しそうにしているので、まあいいか。
まさか、こうなるように仕組んでないよな?
今回は、かなり薄いです、
すみません。




