新しい住人
まだ未完成です
リーネの屋敷を出て、途中で夕飯を買った俺は、帰路に付いていた。
そして、森の中にある自宅の前に行くと、人影があった。
地面に伏せているところを見ると、倒れているようだ。
「おいおい、大丈夫か?」
残りの距離を走り、倒れているのが二人いることに気が付く。だが、二名には決定的な違いがあった。
両者とも耳が長く、先端は尖っていた。そして、女性なのだ。さらに言うと、両者とも子供を一人づつ抱えていた。
片方は褐色色の肌をし、もう片方は純粋に白かった。
ダークエルフとエルフと言ったところだろうか。
「脈は、あるみたいだな」
腕の血管を触って確かめる。
その後、まず子供を中に入れ、次に大人を入れる。
最近で増えた家具のL字ソファーがが役に立ったようだ。子供は普通に元気なのだが、大人の方が少しばかり昏睡しているように見える。
俺は、予備として作ったハイポーションを口に流し込む。少しばかり強引に入れたため、ポーションの中身がこぼれる。
みるみる体の傷が消えていく。
それでも起きない所を見るに、傷や栄養失調だけではなく、精神的な物だと予想する。
「まあどの道、助けたからには面倒は見るつもりだったし」
記憶をまさぐり、病人食を作るため材料を買い込む。
ついでに大きな鍋を買う。
この世界にも、麦の他に米もあるようなので、なるべく多く買った。子供は、多分?固形物もOKな年頃だと記憶が言っているので、リゴンとパスタ、トマトを買う。
どうやって作るか知らないけど。
四十分程で帰って来ては、食事を作る。
気に入らなかったのか、子供はあまり良い顔はしなかった。
四歳位だろうか?
大人の二人はベッドに。
一段落して、バルコニーに出る。
まあ、何だかんだでこの街の事を知らなかった。
何処に行けば引き取ってくれるか等々、まあ、幸いお金があり部屋数もある。
明日、早々に家具を揃えようと思うのだった。
後、ペトリ草の家庭栽培もやろうと思うのだった。
~~~~~~~~~~
次の日
今日から俺の他に同居人が四人ほど増えたため、朝食をとってからと言う、規則正しいい朝を迎えていた。
そのため、冒険者ギルドに行く時間もいつもより遅く、冒険者が普通に闊歩している状況だった。
そんな中で、受つに向かう。
「すまん、納品と依頼を出したいのだが?」
受付がこちらが羽織ポーションを出すと、革袋を取り出す。
「ハイポーションは預かりました、依頼ですか?」
「ああ、少しばかり薬草が入用になってね。ペトリ草とラムネ草、ドクダミが欲しい」
「わかりました。では依頼主は蒼汰様で、よろしいですか?」
「ああ。採取物はどこで受け取ればいい?」
「当ギルドでも構いませんが、場所を指定すれば、そうできますが?」
「ふむでは、そうしてもらおう」
「かしこまりました。報酬はどれくらいですか?」
ふむ報酬か。
適当でいいか。
「では、銀貨五十枚」
「ご、五十枚ですか?」
何やら慌てているようだが、普通ではなかろうか?
日雇いバイトが銀貨二十から三十、命を懸けるのだからその倍はあってもいいと思うが。
するラスらと、紙に必要事項を書いていく受付。
本来、薬草採取などは駆け出し冒険者が行うものだ。
戦う力のない彼らは、均衡でモンスターを狩る冒険者の後を追って、薬草を採取する。
そのため、危険ではあるが、ある程度安全な依頼である薬草採取は、銅貨三十枚ほどだ。
馬小屋生活であれば、それくらいで三食食べれるからだ。
やがて、書き終わりこちらに見せてくる。
「内容に間違いがないようでしたら、お名前をどうぞ」
俺は、名前の欄に、佐々木蒼汰、と書く。
この体の前の持ち主がきれいだったのが、恐ろしく綺麗な達筆だった。
受付嬢が内容を確認して、二枚目に転写する。
終わると、片方を掲示板に貼る。
「この度は、当ギルドをご利用いただき誠にありがとうございました」
ロープレでのセリフのようなものを聞きながら、ギルドを後にする。
「昼食でも買うか」
俺は大通りの屋台で、串焼きの肉や、野菜を買って家に帰る。
帰れば彼女らの世話をしなければな。
少しばかり、いやかなりめんどくさそうにつぶやく。




