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『第二のバベルの塔』 『祈り』 『意地っ張り』
『第二のバベルの塔』
「再び我々は天上を目指す」
人類は雲の上まで達する巨大な塔を建てた。第二のバベルの塔だ。
神は怒り塔を破壊して人々の言葉を互いに通じなくした。
しかし自動翻訳機があったので誰も困らなかった。
「神が我々の邪魔をするなら、神を廃止しよう」
人類は宗教を捨てた。
神は失業した。
『祈り』
科学技術が発達した現代でお祈りとか馬鹿馬鹿しいと思うでしょ。
でも現場では実験がうまくいくようにと祈ることはしょっちゅうです。
矛盾してる?
科学も宗教も元々は「この世の理」を見出す試みです。
この世は不条理で不確実なものなので人は祈り続けるでしょう。
そして「神」も生き続ける。
『意地っ張り』
なんで好きなのに別れたのかって?
嫌いになりたくないからよ
近すぎると相手のイヤなところが見えてくるじゃん
だからお互い好きなうちに別れたの
えっ、おかしい?
そうかな
彼は納得してるかって?
さあ、知らない
私は私、彼は彼
私はわがままだからホッとしてるんじゃないかな