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『傲慢さの効用』 『22時のバーでの友達との会話』 『みんなが参加できる舞踏会』
『傲慢さの効用』
他人に非難されると当たり前だけど腹が立つ。正論だとなおのこと。でも相手が自分より下だと思えば、ああ馬鹿がなんか言ってるなって感じで気にならないよね。ということは、世の中舐めてかかってた方が心穏やかに過ごせるってことだ。傲慢な方が機嫌良く生きていける、そりゃそうか。
『22時のバーでの友達との会話』
「今の仕事全然向いてないってわかっちゃった」
「そうなんだ」
「どうしたらいいかなぁ?」
「他のことやればいいじゃん」
「もっと親身になってよ」
「とりあえず休みなよ」
「そうしようかな」
「マスター、この子にもう一杯」
「ごめん、いつも愚痴ばっかりで」
「お互い様よ」
『みんなが参加できる舞踏会』
新月の夜に街外れの墓地で二体の骸骨が踊る。
一体には右腕が無く、もう一体には下顎が無い。
二体は調子外れの音楽に合わせて懸命にステップを踏む。
急に強い風がびようと吹いて、
二体は倒れてバラバラになり骨の山となり果てた。
音楽はなおも続く。
今度は君と僕が踊る番だ。