懺悔
どうぞ
「なぁ、ウルド。チェイスドラゴンの死体ってどうするんだ?お前らが捌くのか?業者が来て捌くのか?」
俺はふと思い、ウルドに聞いてみた。
「いやー、俺の村に近づくモンスターなんて初めてで俺達もわからん」
ウルドはフハハっと家中に響くくらいの声で笑いながら、腹をポリポリとかいた。
「あの死体とかって放置しとくと腐ったりして悪臭が村中に漂うと思うんだよ。どうせ明日やる事ないし俺と剥ぎ取りをしに行かないか?」
「おう!そうだな、明日行こうぜ。てか、そんな事よりもっと飲もうぜ」
口臭が酒臭い...飲みすぎだろこのオッサン。早死すんぞ。
俺とウルドはその後バカみたいに酒を飲んだ。
この後の記憶は一切ないがユナが覚えてると踏んで飲みまくることを決意した。
※
そして朝になった。俺は珍しく早朝に起きた。頭がズキズキして痛い...フラフラするし、ゲ○吐きそう。そう思いながら、俺はドラゴンの死体に足を運んだ。
「相変わらず、間抜けな顔してんな。お前」
返事もしないだろうドラゴンに俺は話しかけた。もちろん返事はなかった。
「ごめんな...俺がお前のことを起こしたから...失わなくて良かった命を1つ奪ってしまった。しばらくしたらお前は俺の血肉となる。俺は強くなって魔物と人間が争わなくてもいい世界を作ってみせる」
俺は昨日とは違って冷静になり、昨日したことを思い出していた。昨日は力を持ち魔物を殺めて、すっかりヒーローぶって興奮してた。
「亮一君は命の重さに初めて気付き、昨日自分がした惨いことを懺悔するのでした〜」
後ろから声が聞こえた。俺は後ろを振り返った。声をかけてきた正体はユナだった。
「起きてたのか...おはよ」
「うん、おはよう」
ユナはニッコリと笑いながら挨拶をした。
「結構メンタルに来るでしょ?」
「当たり前だ...昨日は興奮しててぶっ殺してやる、なんて思ってたけど今冷静に考えると奴にも家族がいるだろ?」
「いや、いないけど...」
は?
「居ないのかよ。じゃあいいや」
「いいんかい」
ユナは腹を抱えて笑った。それが俺にも移ったのか俺も笑った。安心したのだろう。ユナが優しく話しかけてくれて精神が安定したのだろうか。ユナの声がとても暖かく感じた。
俺達はウルドの家に戻った。
家に入るとウルドが朝ごはんを作ってた。
「お!おめぇらどこに行ってたんだ?」
「ちょっとそこら辺を散歩してた」
「そうかそうか。良かった〜おめぇら居なくなったかと思った」
ウルドは少しホッとしている様子だった。
「心配かけて悪いな」
「いいってことよ。朝飯作っておいたから好きなだけ食べてくれよな!」
「ありがとな」
ウルドが用意した朝飯はとても美味しそうだった。前世は毎日コンビニ飯だったからな...何だか泣けてきたよ...
ウルドが昨日の話の続きをした。
「ドラゴンを倒してくれたおかげで洞窟の中に行きやすくなったよ。ありがとなリョウイチ。洞窟にはな、希少な鉱物が沢山あるからこの村が発展すること間違いなしだね!」
「それは驚いた。あの洞窟に希少な鉱物が眠っていたなんて...」
「なぁに、お礼としてリョウイチに洞窟の採掘権の3割をくれてやるよ」
「ありがとな」
俺は短く感謝を伝えた。
「食べ終わったし、ドラゴンの死体でも漁りに行くか」
ウルドは腹をポリポリとかき欠伸をしながら提案した。
「そうだな」
俺らはウルドの家から出た。ドラゴンの死体までの道中、村の歴史や洞窟の秘密などをウルドから聞いた。この村が元々は街だったこと。皆が都会の方に行ったこと。チェイスドラゴンによって何10人もの人が殺されたこと。洞窟には伝説の剣があるということ。
そして死体の場に着いた。
「うひゃー、コレはひでぇな。おめぇらチェイスドラゴンの首をはねたのか、中々やるな」
「いや、俺らがはねたって言うよりドラゴンが自滅したって方が正しいな」
実際最後はドラゴンの自殺行為だった。改めて見ると、こんな綺麗に断裂したのかと俺は息を飲んだ。
「よし!剥ぎ取るか」
ウルドの合図とともに俺らは剥ぎ取りを始めた。
※
めちゃくちゃ疲れた。剥ぎ取りを始めて全部村に運ぶまでに5時間もかかった。
「いや〜お疲れさん」
俺がそう言うとユナは「うん!」と短く返事をして俺の隣に立った。
「いつこの村から出発する?」
不意に質問されて俺はビックリした。
そうか...いつまでもこの村にいても失礼だしな。
「明日には出るか」
俺がそう言うと、ユナは頷いた。どうやら同意したようだ。
俺らは剥ぎ取った肉や鱗を持ってウルドの家に向かった
今回は書き悩みましたが、何とか書き終わりました。中々ストーリーが進まなくてイライラするかもしれませんが、ご了承ください。
今回は剥ぎ取りだけでしたけど、次回は冒険に出ます!
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