打ち上げ花火
声劇用の台本です。
男女比は、0:2となります。
花火大会での一コマ。
打ち上げ花火を見上げる女の子同士の会話です。
どうぞ遠慮なく使ってください。
優衣 「花火はどーんっていう、あの音がなんかいいよね」
葉月 「ああ、うん。わかるかも、それ」
優衣 「キレイだよね」
葉月 「うん……でもキレイなのって、どこか悲しい気もする」
優衣 「悲しい? なんでキレイだと悲しいの?」
葉月 「なんでだろ……まぶしいから、かな。まぶしくてきらきらしてるものって、もとからあまり好きじゃないかもしれない。自分とは違うから……」
優衣 「そんなこと……」
葉月 「あと、昔を思い出しちゃうってのも、ひょっとしたらあるのかも」
優衣 「思い出したくないの? 昔のこと」
葉月 「そういうわけじゃないんだけど」
優衣 「…………」
葉月 「ごめんね。変なこと、言っちゃって」
優衣 「ううん、大丈夫。思ってること、そのまま口にしてくれたほうが、そのほうが私は嬉しいから」
葉月 「そっか……ありがとうね」
優衣 「ううん」
葉月 「…………」
優衣 「どっかーーんっ!」
葉月 「(微笑んで)どっかーんだと花火っていうよりも、まるで何かが爆発したみたいだね」
優衣 「あはは。それもそっか」
葉月 「うん」
優衣 「……そういや、まだ会ってるの?」
葉月 「え?」
優衣 「吉田くんと」
葉月 「ああ……ううん。あれからもう一度も会ってないよ。多分、もう会わないと思う。吉田くんとは」
優衣 「……そっか」
葉月 「ごめんね。なんか、いろいろ心配かけちゃって」
優衣 「ううん、私のほうこそごめんね。こんなときに」
葉月 「大丈夫。私も優衣が思ってること、ちゃんと言ってほしいから。全部とは言わないけど、なるべく言ってほしいって思ってるから……」
優衣 「ありがとう……じゃあ、私もそうさせてもらうね」
葉月 「うん」
優衣 「なんか、あっという間だよね」
葉月 「え、何が?」
優衣 「……夏が終わったらさ」
葉月 「うん?」
優衣 「夏が終わったら、二人でどこか出かけない? こう、パーッとさ」
葉月 「出かけるってどこに?」
優衣 「うーん……京都……とか?」
葉月 「(微笑んで)それだと旅行になるね」
優衣 「ああ、そっか。京都だとそうなっちゃうよね」
葉月 「でも、たまにはいいかも。二人で遠出するのも」
優衣 「観光しない京都とかね」
葉月 「観光しない京都?」
優衣 「そう。いかにもって場所には立ち寄らないで、地元の人しか知らないような町家カフェにぶらっと寄ってお茶したり、ただ何となく、古都の町並みを散策してみたり」
葉月 「あ、いいかも、そういうのも。楽しそう」
優衣 「でしょ? きっと、楽しいと思うよ」
葉月 「楽しみがまたひとつ増えたな……ありがとうね、いつも」
優衣 「ん?」
葉月 「私にいつも、楽しいことをプレゼントしてくれて。今日もそうだし」
優衣 「ううん。私も楽しいから。おあいこだよ」
葉月 「おあいこか」
優衣 「うん」
葉月 「…………」
優衣 「どっかーーん」
葉月 「(微笑んで)だからそれじゃ花火じゃなくて、爆発物だって」
優衣 「ふふふ」