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サフィーレ大森林

今回は長めです


 魔法書に書かれていることを読み上げる。えーと、なになに?

――――――――まずは、体内のマナを感知すべし・・・・


 俺はゆっくりと深呼吸して、意識を深く沈める。すると、何やら体内を巡る血の他に流れているものを感じ取った。

ん?なんだこれ。これがマナなのか?


――――――――マナを感知した後は、それを体外に放出するのだ・・・・


 意識を集中して、マナを手のひらへもっていく。そして、解き放つ。

「出でよ、我がマナ」それっぽいことを言うと、宿屋の一室にマナが充満する。


――――――――その感覚で自身の属性を意識し、魔法を行使せよ・・・・


 俺の属性は・・・・風!そう意識すると、頭の中に詠唱する言葉が浮かんだ。

「”風よ吹け ウインド”」


サア――とそよ風が吹いた。


おお!しょぼいけど、魔法だー


高一にもなって大はしゃぎする優夜は、それからも魔法書を読み進めていった。


*◈* *◈*


その後、色々と試して気づいた。

これは・・・・風というよりも空気を操っているな


 俺は、意識を風から空気に変えて魔法を行使する。

「”空気よ我が願いに応じろ エア・コントロール”」

 

 二酸化炭素のみを口にもってくるイメージ・・・苦しくなってきたので解除する。

 どうやら空気の成分も操作可能のようだ。がしかし、生憎俺は窒素、酸素、二酸化炭素の三つしか知らない。



 「よしこれなら・・・・」

 俺はもう一度魔法を使おうとしてぶっ倒れる。所謂魔力切れだ。

夢中になりすぎるあまり、マナを使いきると行動不能になるのを忘れていた。



 数分後マナが少し回復したらしく、意識が戻り起き上がる。

ふう・・・マナの管理は肝に銘じておこう。外へ行く前に思い出せて良かった


 

 ふと窓の外をみると、辺りはすっかり暗くなっていた。

 明日は魔法の練習がてら外へ行ってみるか

 

 優夜は、借りている魔物モンスターなどの図鑑を読みながら眠りにつく。

 ――――――――意識が闇の中に沈んでいった。




*◈* *◈*



 次の日の()、優夜は店で色々と買い物をし、その時に購入したバックパックの中に荷物を入れ外に出た。

 時刻は午後3時だ・・・また寝坊したんだよ!

 

 外には、草原が広がっていた。町の人から、西にサフィーレ大森林という森があると聞いたのでそこへ向かう。その道中、魔物(モンスター)が現れた。


「こ、コイツは!」


 そこにいたのは、スライムであった。但し、某大人気RPGのような可愛い見た目ではなく、ドロドロとしているが。


「キモッ・・・攻撃魔法の練習台にしてやる」


「”我が敵を貫け エア・アロー”」


 空気で出来た矢を放つ・・・命中。スライムは即死した。

スライムの魔石とジェルみたいなものを剥ぎ取りバックパックに入れた。


「よしっ。ちゃんと攻撃は通るな、この調子でどんどんいこう」


 優夜は、魔法を改良しつつ、弱そうな魔物(モンスター)を次々と倒していった。



*◈* *◈* 



《サフィーレ大森林》

・ダンジョン同様、古から存在する広大な森で魔物(モンスター)の巣窟

・浅部、中部、深部の三つに分かれていて、適正ランクは、浅部がF・E・D、中部がC・B・A、深部がS・SSとなっている。

・深部には世界樹と呼ばれる巨大な樹があり、それを守護する大森林の主が居る




 バックパックがパンパンになってきた頃、サフィーレ大森林についた。少し進むと開けた場所に出たので、マナポーションを飲みながら休憩する。


「ふぅ・・・・危ない危ない、もう少しで魔力切れするところだった・・・・・・ステータスはどうなってるかな?」


 カードを見ると、(ジョブ):15⇒23、風魔法Ⅰ⇒Ⅲ、MPⅡ⇒Ⅲ、MNDⅡ⇒Ⅲ、が変化していた。

(・・・魔法関係しか上がっていない。戦闘スタイルを考えなければ)



 そんな事を考えていると、森の奥の方から声が聞こえてきた。

「ちょっと、何なのよアンタら」


あれ?この声どっかで聞いたことが・・・・


「へっへっへ、嬢ちゃん金持ってんだろ。俺たちゃ知っているぜ。なあ、バーカル、チョーカス」


「ああ、そうだなアホーレ」


「ついでに言えば、親の為に集めてるってこともなぁ」


この声も・・・気になるな、近づいてみるか。

ゆっくりと近づき、木の陰から様子を窺う・・・全員見覚えがある。


マジであの三人のオッサン、(アホーレ(バーカル(チョーカスだったとは・・・名前酷いな。それとあの女の子は確か・・・


「なっ!なんでそれを知って・・・」


伝手(ツテ)があるのさ。それより、俺たちが言いたいことは分かるよな?」


「・・・あたしのお金が欲しいんでしょ?」


「それはついでだ」


「ついでって・・・まさか!体が目的なの?」


「やっと気づいたのか。まあ、もう遅いがな」


「嫌、こっちに来ないでよ。だ、誰か助けて!」


「わざわざ助けに来る奴なんている訳ないだろ。冒険者は自分が一番大切なんだよ」


「ああ、それにこの辺りを狩場にしているのは下級冒険者ぐらいだ。FやEランク程度じゃ俺達Dランク冒険者パーティー【猪を狩る者達フォレストボアハンターズ】の相手にならねえよ」


「さあて、お楽しみの時間だ。うひひっ、獣人は初めてだけど楽しみだなあ」

  

ふむ、パーティー名は割と普通だな・・・結構ヤバそうなので介入するか。

「あー、ゴホンゴホン、その辺でやめておいた方がいいですよ。ABCトリオ」

 茂みから飛び出し、昨日宿屋で戦ったオッサンABCに声をかける。


「誰だ!ってお前は昨日の・・・」


「てめえ、何しに来やがった」


「お前は・・・」


「どうも。また会いましたね、オッサン達。またバカなことをしてるんですか?」

 襲われかけていた女の子――――――――昨日ギルドの前でぶつかった、獣人(猫)の女の子をかばいながら言う。


「なめやがって、今度こそぶちのめしてやる」


「あんときとは違うことを思い知らせてやるぜ」


「調子に乗ってんじゃねぞ、ガキのくせに」


 一瞬即発の雰囲気の中、オッサン達を警戒しながら背中越しに彼女と話す。

「お、おい。大丈夫か?」


「べ、別にあいつらなんか、アンタに助けてもらわなくても何とかなったわよ」


「嘘つけ。めちゃくちゃビビッてたじゃねえ」


「うぐっ・・・そんなことより、なんでこんなところに?」


「魔法の練習をしに来てて、休憩してたら声が聞こえ・・・どうかしたか?」


「・・・ねえ、あいつら何かこっちを見て震えてない?」


「確かに・・・どちらかと言えば俺達の後ろを見ているような」



 俺とその子は、恐る恐る振り返る。

 薄暗い森の中、目測で20メートルほど後ろにソイツはいた。

――――――――――――――――3メートルを超える巨躯に群青色の皮膚。額には漆黒の角。そして、禍々しく光る魔物(モンスター)特有の紅き眼を持つ。日本では、妖怪として知られている鬼が立っていたのだ。その魔物(モンスター)は大きく息を吸い込み、 

 『グオオオオオオオオオオオ!!!』

と咆哮を放った。それにつられて魔物(モンスター)達がゾロゾロとやって来る。


「あ、アイツはまさか・・・」


「ここは浅部だろ。なんであんな中部の魔物(モンスター)が!」


「いいから逃げるぞ二人とも」

 オッサン達が駆け出す。


「お、俺達も逃げるぞ」


「ええ」



俺は、走りながら昨晩読んだ図鑑を思い出す。

個体名:(オーガ)、適正ランク:Bの化け物だ。

・・・コイツはヤバいな。Fランクの俺では相手にならない。取り敢えず逃げよう。



俺達は無我夢中で走った。



 

*◈* *◈*




 幸い(オーガ)は足がそこまで速くなかった為、なんとか逃げ切ることができた。取り敢えず茂みの裏へ隠れる。

「ハア、ハア、ハア・・・危なかったな」


「ハア、ハア、そうね」


 しばらく黙り、息を落ち着けてから尋ねる。

「・・・ここがどの辺か分かるか?」


「いいえ、さっきいた場所の方向すら分からないわ。まあ、浅部では無いでしょうね・・・」


「そうか・・・しかし、さっきのオッサン(バーカルが言ってたように、どうして中部の魔物(モンスター)が浅部にいたんだ?」


「・・・偶々フラッと来たんじゃないの」


「俺達はアイツの気まぐれで殺されかけたのか・・・」


「そんな事を一々気にしてたら冒険者なんてやってらんないわよ」


 などと話していると、『グォオオオ』という叫び声が聞こえてくる。かなり近い!


「ッ!」


「キャ、ムグッ!」


 隣にいる彼女が悲鳴を上げそうだったので、咄嗟に口を押さえつける。


〈な、何すんのよ〉


〈仕方ないだろ、声を上げると見つかっちまうんだから〉


 小声で会話し、茂みから様子を窺う・・・どうやら気付かれなかったようだ。5メートル程先に、(オーガ)がいる。


 

 少しでも離れようと屈みながら移動していると、


ぺキリッ!


と、地面に落ちている木の枝を踏み砕いてしまう。そして、その音は森の中で盛大に鳴り響いた。

 

「や、やらかしたー!」


「ばかー!」


 俺達は全力で逃げ出した。

 後ろから、音に気づいた魔物(モンスター)達が(オーガ)を筆頭に追いかけて来る。


「ねえ、どうするの?」


「少し、考えさせてくれ」 

 

このままじゃ二人とも死ぬ。そう思った俺の脳内に選択肢が浮かぶ。

1:自分が囮になって彼女に逃げてもらう

2:彼女を囮にして自分だけ逃げる

 

 2は駄目だ。女の子を犠牲にして生き延びるようなクズにはなりたくない。となると1か・・・アレを使えばどうにかなるかもしれない。



「俺が囮になる!だから君は逃げろ」


「で、でもアンタは—――」


「大丈夫だ。こう見えて運はいい方なんだ、俺」

彼女の言葉を遮って言う。まだ少し言いたそうだが、俺の真剣な顔を見て諦めてくれた。


「分かったわ・・・死なないでね」


「もちろんだ。俺はまだ、死ぬわけにはいかない」

この世界を満喫できていないからな・・・それにこれくらいの窮地、乗り切ってこその冒険だろ


「・・・カルラよ」


「え、何だって?」


「カルラ・キャシーユ!あたしの名前」


「カルラ、ね。俺は—――」


ベキッ!


 自分の名前を教えようとしたとき、ついさっき走り抜いた木がへし折られた。

不味い、もうこんな近くにまで迫られている。


「俺の名は、再会した時に教える!だから、死ぬな。お互い何があろうと絶対に生き延びるぞ」


「あたしはこれでもDランク冒険者。その辺の魔物(モンスター)にやられたりしないわ。そっちこそ、死んだら許さないわよ」


人殺しと呼ばれるようになって、初めて私に優しくしてくれた人なんだもの。それに、まだ助けてもらったお礼も言ってないしね。


「ああ、そん時はこの間言ってたことを詳しく教えてくれ」

本当はある程度知っているが、詳しい情報が知りたい


「ふふ、考えておくわ。またね」

 彼女はそう言い、尻尾で俺の顔を撫でると脇道に逸れていった。


 

び、びっくりした。妙に色気があるよなカルラは・・・尻尾フワフワだったな。っとまずは、コイツをどうにかしないと

俺は振り返りかえって(オーガ)と対峙し、とっておきの魔法を使う。

喰らえ!

「”我が敵を撃ち抜け エア・ガン”」 


グシャッ!

 

空気の弾丸が(オーガの右目を破壊した。



『ガァアアアア。』と目を抑えて地面を転がる(オーガ)。しかし、数秒後何事も無かったかのように立ち上がると、閉じていた目を開く。すると、確かに潰した筈の右目が再生(・・していた。



「なっ!なんだよそれ、そんなのありかよ」

 俺は呆然と立ち尽くした。(オーガ)の自然治癒力が高いことは知っているが、あんな瞬時に再生できるわけがない。

 ふと、魔物(モンスター)について調べた時に書かれていたことを思い出した。



魔物(モンスター)には、稀少種(レア)と呼ばれる、突然変異した個体がいる

・彼らは総じて能力が途轍もなく高いため、適正ランクが元のランクから二段階上昇する

・見分け方は、体の一部が変異しているので見れば直ぐに分かる

※百年前までは存在していたが、それ以来確認されていない



・・・・まさか・・・稀少種(レア)・・・なのか?

恐る恐る(オーガ)を観察する・・・右手の指が左手の指より半分ぐらい細い! 


ははは、適正ランク:BではなくSだったとは・・・アイツからすれば俺は道端の小石程度の存在なんだろうな・・・クソッ、()()()()ってこういう意味で言ったんじゃねえよ。



稀少種(レア)(オーガ)は、格下と見ていた俺に傷をつけられたことでブチ切れており、文字通り鬼の形相で襲い掛かってきた。

『グオオッ!』


はっ、と我に返った俺は稀少種(レア)(オーガ)に背を向けると駆け出した。


無意識のうちに、カルラが逃げていった方とは反対の方向。つまり、サフィーレ大森林の深部に向かっているとは知らずに。




こうして、相手はガチの(オーガ)!捕まれば殺される!などの余計な特典付きの命を懸けた鬼ごっこが始まった。




やっと、プロローグと繋がりました!


次回はその続きです


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