生涯の約束
生涯の約束
その話しをした後サジィールは真剣な顔をしキィールの顔を見つめて
「キィール殿、おり言ってお願いがあるのだが、貴方も私もこれからどうしようかと考えている」
「ええ、だから私も貴方にお願いがあるです、私の仇打ちの助けをして貰いたいんです」
と言って、少し間を置いて、決心したように話を続けた。
「しかし私1人じゃ何も出来ないと思うのです。だから良かったら、私を助けて貰えませんか?御礼は、十分に出しますから」
と言って、サジィールの顔を見た。
サジィール、じっと目を瞑って、目を開いた後、ゆっくりと話しだした。
「その話し、出来ない訳でもない、もし私の願いを聞いてくれるのであればだが…」
「それでどの様な願いなんです?仇を打つ為なら何でもします、例え命をかけてもいい!」
強くキィールが言うと
「ならば言います、貴方が若に成り済ましてくれませんか?私は臣下として一生ついて行きます」
「ええっーそんなー皇帝の…バレますよ」
キィールはこればっかりは無理だと思った。
しかしサジィールは
「貴方も話しを聞くと、もう誰も貴方のことを知る者も居ないようだし、若は赤子の頃より私以外に顔を知られて居ないのだから、別に困ることはないでしょう、分からないことは私が教えます。でも、若は赤子の頃より私しか知らないので教えることなど殆んどないですよ。
あるとしたら家系図と短剣と剣のいい伝えぐらいでして、これも神のお道引きと思われるので、何とぞお聞き入れ願いたい」
そうゆうなりサジィールは深々と頭を下げて動かなかった。
「しかしそうなると私の仇はどうやって取るのです」
「それは考えてます、私も若の願いを叶えなければなりません。
それでまずはキィール殿の仇を討ってからと言うことでは?
それはこの国を取ると言うことだから、この国を取った後に私との約束を果たしていたたけば」
と言ってサジィールは外を見ながら続けた
「この国を基盤に、天下を狙い、モーゼスを倒すのです。
どうですか?」
キィールはずっと考えて、サジィールに
「なら貴方の考えを言って下さい、納得したら若様になりましょう」
サジィールは一瞬ニッコリとしたが、直ぐ真剣な顔で静かに話した。
「まず、貴方には若になって貰いますが、普段はキィール殿で結構です、仇を討つ為にです、皇帝の血筋が何でかかわるかって言われるより、一族の仇って言った方が話しが早いですから、しかし側近の生死を供にすると誓った人物と重要な人物には、貴方は皇帝の血筋であると名乗り、一族の仇を狙っていたキィールが自分の為に死に、その最後の願いの為にキィールを名乗ってると教えるんです。
早い話し、今の逆をするのです。
なーにこれでも皇帝の明かしさえあれば、必ず信じますし、有力な豪族にはかなり効果がありますよ。
皆血筋には弱いですからね。
私が知ってるだけで、イオンとなのる輩は100人は居ますから、それが皇帝の明かしまで持って要ればね」
話しを聞いてキィールが
「つまり、表向きは今と同じで、いざとなったら若君になれってことですか?
生死を誓った人までも騙すのですか?」
そうゆうとサジィールは
「違います。
今より貴方が本物の若になるんです。
貴方が若で、若として考え行動するのです」
キィールは目を閉じて、もう一度良く考えてから、目をカッと開いて
「一つ約束してくれますか?」
「なんなりと」
「必ず私の一族の仇を取ると約束出来ますか?」
「必ずなしとげましよう、天下を取るより何十倍も容易です」
とサジィールは強く言って
「私にも約束してくださいますか?
若になって必ず天下を取って仇を討つと!」
サジィールはキィールを強く見つめた。
一瞬の沈黙の後
「分かりましたこれも神の道引きですかね。
私はイオン=ザ=ダカール17世になりましよう。
そして亡きキィールの為に彼の一族の仇を討つと言うことに、サジィール殿これからはなんと呼べはよいのかな?」
「サジで!」
そうゆうなり、サジィールは剣を抜き、キィールに差し出した。
「私、モーラ聖騎士サジィール=ジ=ナーゼルは貴方様に生涯の忠誠を誓います」
キィールは剣を取り
「たとえ何があろうとそなたの忠誠を疑わず生涯ともに戦うことを誓う」
剣で親指を斬って血を付け誓いの儀式をした。
この2人の約束は生涯まもられて、キィールは…いやイオンはここを去る時より二度と口に出すこともなかった。
完全にイオンになりきる決心をしたのだ。
これはモーラ歴1251年秋、そろそろ冬が訪れようとしていた。
旅立ち
次の朝、起きるとサジが朝食を作っていた。
「若起きられましか?」
(そう言えばザックがいつもそう言ってたなー)
キィールはそう懐かしい感じかしていた。
「サジ、今日から何をすればいいかな?」
笑って料理を器に入れながら
「そうですね、まずは剣術の特訓ですね」
「剣術?サジは知らないだろうが、俺はまだ負けたことがないんだぜ」
「そうですか?なら朝食の前に、一汗かきますか?」
と言うなり、いつのまに作ったのか、木刀を投げてよこしたので、キィールはそのまま外に出た。
サジも続き
「朝食が冷めますので、直ぐ降参させますからね」
と言うなりキィールと立ち会ったが、二三度打ちあっただけでキィールは首元に木刀をあてられた
「へー聖騎士って、伊達じゃないんだね」
キィールはびっくりして、悔しまじりに言った。
「私に三度に一回勝つまでは、本物の若にはなれませんよ」
「ちょっと怪我して腕が鈍っただけだよ」
と言って飛びかかった、
(若様はサジに3回に1回は勝ってたのか、早く強くならないと)
結局朝食は冷めてしまったが、お腹が空いてたので直ぐにたいらげて、真剣な顔でサジに話し掛けた。
「サジに話してないことがある」
そうゆうなり小屋の後ろの薪小屋にサジを連れて行った。
「これを見てくれるか?」
そう言っていくもある箱を開けた
「これは凄い!どうしたのです?
カルイの財宝でも堀当てたたのですか?
これは…」
カルイと言うのは、太古の昔にあったと言われる伝説の帝国で、滅亡間近の時に再起を図る為、隠したと言われる財宝のことである。
サジが驚くのもうなずける、そこには小さな国が一国買えるほどの金銀財宝があったのだ。
「実は、万が一の時の物とザックに言われたのだが、どうしたかは分からないのだ。
ザックが死に際に何か言おうとしたが…いくら何でも多すぎと思うのだが、今となって知る者がいなくて…」
「何か曰く付きがありそうですな。
まーお金はいくらあっても足りなくなりますよ」
と言って少し考えサジィールが
「まーさしあたって、何処かに隠しましょう、いざと言う時と安全の為にね」
それに頷いてキィールがあきれた感じで
「まーそうだね、、2人じゃとても持ち歩けないからな」
直ぐに金銀を隠すことにした。
色々考えた結果、井戸に隠すことにした。井戸に下ろすと2人は井戸を土や石でふさいで土をかけて分からなくした。
2人は残した3つの箱の金銀を少し使って、旅立ちの準備をした。
そしてついにその日が来た朝に小屋を焼くことにした。
火は良く燃えてキィールの思い出は全て灰になるのを見届けて、キィールとサジは馬に乗ったが
「サジ、骨壺は?」
「ここに埋めました、キィール殿ですから」
サジはザックの埋めた場所を指し真面目に言った。
「そうか、ザックの側かーまずは彼の仇を討たねば」
「それには、まずは同士を集めないと」
「そうだな、先は長い、今度ここに来る時は、この国の心臓を攻める為に軍資金を取りに来るくらいだろうな」
そう言ってキィールは金銀を埋めた方でなく、若様の骨壺を埋め方に顔を向けた。
サジも向けていた。
「今この一瞬だけ、キィールに戻る!」
言うと馬を降りた。
「若何を…」
サジが後に続いた
キィールはザックと若様を埋めた場所に膝ま付いて
(私は貴方になろう、そして貴方がサジィールに頼んだ願いを私も一緒に叶えることを約束しよう、天から我々を見ていてくれ、ザックお前も見ていてくれよ、私は必ずまた戻って来るから)
サジも膝ま付いて
(もう、貴方を若と呼びません、2人だけの秘密を持って一生新しいイオン様に着いていきます、また来ますが、もう若とは呼びません)
長い沈黙の後、
「サジ行くぞ!長い我等の旅立ちだ」
「はっ、まずは私に考えがあります、北に第二モールの元軍師がおりますので、その方に会おうと思います」
「えっまだ兵士が1人もおらぬのに軍師とは」
サジは笑って何も言わなかった
「まーサジに付いて行くと決めて以上、この国以外はしらないし、当分サジの言う通りにするよ、頼んだよ!」
「ははっ」
サジは短く答えた。
二人は馬を並べてゆっくりと北に向かって行った。
時にモール歴1252年の春。キィール18才、サジィール38才の時、これから、長い旅と戦いの日々が始まる。