出会いの気持ち
真っ先に603号室に連れていかれる。
まだ、何も会話をしていない。
部屋に連れこまれ、
「放送で聞いたよ・・・」
どうせ、お前も俺を化け物扱いか・・・
「すごいじゃんか。」
なっ?
「いやー、俺も特殊型だったんだけど、
ルーン量はあんまり変わってなくてよ。まぁそれでも平均より少し上なんだけどな。
ってことで、クラスも一緒だし、部屋も同じだ。とは、言っても本当は違う奴だったんだが、翔、お前と一緒にいるのが怖いって頼まれただけなんだけどな。災難だったなーまぁ、気にするな。」
ニカッとイタズラな笑みを浮かべられた。
今だに頭がついていけてないが、これだけは分かる。
こいつは、バカだ。普通怖がったりするだろう。だって、
ルーン量が一万超えなんて、化け物って言われてもしょうがないよ・・・
あぁ。でも、こいつのこういう所に何度も救われたんだっけ。
本当に変わらないな・・・
◇◇◇
両親が亡くなってすぐ、学校で俺が犯人じゃないかという噂が流れた。
「親殺し」「最低」「化け物」「悪魔」
そういう、言葉を毎日のように言われ続け正直、精神的に参っていた。
そんな時だ。こいつ、和樹に会ったのは・・・
「お前が親殺しって呼ばれてる化け物か?」
公園で一人でブランコに乗っていると、
いかにも生意気そうな少年が仁王立ちをして声を掛けてきた。
「それが、何だよ。」
随分とはっきり言ってくれるじゃねぇか。
あまり、覚えてないが俺はこの時多分、和樹を睨んでた。
俺に会う奴みんなそうだ。おそらくこいつも化け物退治とか言って暴力を振るうのか。
俺に暴力を振るう奴を殺してやろうかとも思った。俺にたて突くやつ全員。
「そっか。来いよ良いとこ連れてってやる!!」
予想外の反応に思考が停止する。
あの時も手を引っ張られるままに、ある場所に連れてかれた。
「どうだ?きれいだろ。」
そこは、山の上にある高台だった。そこは、近所の子供達のあいだでは、幽霊がでる場所とされていた。理由は毎年ここで自殺者がでてるから。
だとしても、
「きれいだ。」
街全体が見渡せ、夕日が沈もうとしていた。
その姿はまるで絵本に出てくるおとぎ話のような光景で
街がオレンジ色のきれいな海に沈んでるみたいな・・・
「だろ。最後にここの景色見られたら最高だよな。」
「何で、俺をここに・・・」
「泣きそうな顔してたから。」
へっ?何言ってんだ。俺を真っ直ぐに見つめて
「お前が前の俺と同じ顔してたから。
誰にも信じてもらえず、孤独に耐えてる顔してたから。
生きる希望を忘れんな。
俺は信じるよ、お前のこと。
どこの誰が悪く言っても俺はお前を信じるよ。約束な!!」
◇◇◇
「守ってくれたんだ・・・。」
思わず心の声がでた。
そんな和樹が不思議そうな顔で
「何、言ってるんだ?っておい泣くなよ。」
えっ、頬に手をあてると、水滴がついていた。
和樹は慌てながら多分拭くものを探しているのだろう。
最終的にキッチンに掛かっていた雑巾を手に取り一言
「拭け!!」
「拭けるかーー‼」
学園生活が始まる・・・