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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

私の主は御嬢様、貴女だけで御座います

作者: 暁 月夜

女主人公の御話は、初めてですので御手柔らかにお願いします。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



始めまして。

私は、綾瀬あやせ 鹿波かなみ

高校生及び北条家のメイドをしております。

より正確に言えば、北条家の次女である御嬢様付きのメイドをしております。

御嬢様の名前は北条 可鈴かりん

頭のきれる可愛らしい御主人様です。

さて、それでは気紛れに書くこの日記を楽しむ人は要るのでしょうか?





まずは、この世界について説明しておきましょう。



私が暮らすこの世界は、誰しもが産まれながらに能力を持っています。

それは、お伽噺の魔法のようであったり計算による科学の延長線であったりします。



勿論、"力"であるそれらには優劣があります。

優劣を判断する"力"を構成する要素は、それぞれ"種"、"数"、"密"、"量"と呼ばれる四つです。

"種"は、各々の持つ能力の種類のこと。

これは、細かく分けると強化型と変化型と現象型の3つに別れています。

強化型は"Ⅰ"~"Ⅲ"、変化型は"Ⅰ"~"Ⅴ"、現象型は"Ⅰ"~"Ⅸ"の"力"を表します。

"数"は、各々の持つ能力の数のこと。

これは、単純に能力の持つ数で表されます。

一つ持っていれば"Ⅰ"となります。

"密"は、各々の持つ能力の密度のこと。

これは、能力をどれだけの効果で使えるのかを表します。

火で例えると、赤より白の方が"密"が高いということになります。

"量"は、各々の持つ能力の量のこと。

これは、能力をどれだけ使えるのかを表します。

簡単に言えば、魔法で言う魔力のようなものです。

優劣の判断は、それぞれの要素を足して出した"合力"と呼ばれる数値で表されます。

そして、これらの"力"の優劣はこの世界では最大で最高の影響力を持つのです。



例えば、火を操る人が二人居たとします。

片方は、密度も大きさも量も優れていて強力です。

もう片方は、密度も大きさも量も大した事はなくライターでも充分に起こせる程度です。

言わなくても分かるでしょうが、前者が"優"で後者が"劣"です。



ここで考えて貰いたいのですが、この二人が同じ学校で過ごしていき二年たったとします。

二人のどちらが多くの友達が出来たでしょうか。

答えは、貴方の予想の通りだといっておきましょう。



「………み!…なみ!鹿波!」

『ハッ!』

「もう。何してるの?今日から高校生なんだよ?」

『申し訳ございません』

「ほら、早くいこ?」

『はい』

「同じクラスになると良いね」

『そうですね』



御嬢様をお待たせしてしまったようですので次からは、時間に気を付けて書くとしましょう。





前回の話の続きを書きたいと思います。

"力"の優劣は、最大で最高の影響力を持つと言いましたが、それを最も顕著に表しているのが四大家しだいかです。

東城家とうじょうけ南條家なんじょうけ西掟家さいじょうけ、そして北条家ほうじょうけ

これらが、四大家と呼ばれる過去から現在まで永い繁栄の記録を持つ権力者達の代名詞です。



それでは、日記を書いていきましょう。

それにしても、入学式より一週間近く間が開いてしまいました。

これまでの事を纏めるとしましょう。

昨日さくじつより入学した高校は、"合力"の数値によりクラス1~9まで分ける完璧な実力主義です。

私の"合力"は、"ⅩⅡ"。

平均よりも上の程度です。

御嬢様の"合力"は、"ⅩⅦ"。

最高と言って良い程です。

しかし、この差は普通ではクラスが2つは違ってしまうのですがクラス(1)の人数が七人とあまりにも少ないという理由からクラス(2)と(3)での合同テストでの選出があり上位三位までの繰り上げが決定されました。

テストは、本番に四日と採決に一日と約一週間の間に行われました。

日記が書けなかったのは、このせいなのです。

そして、休日を挟んで発表された筆記と実技の2つのテスト結果で二位をとり無事にクラス(1)に入ることができました。

発表があった日に御嬢様がとても喜んでくださり私も嬉しかったです。





次の日、テストで急遽後回しにされた全校集会では、生徒会長の北条 りん様による挨拶が御座いました。

名字から察することが出来るでしょうが凜様は、御嬢様の御姉様で北条家の長女で御嬢様の二つ歳上でございます。

ちょうど良いので四大家の方々の学年を記したいと思います。



一年

御嬢様(北条 可鈴)

東城 神威かむい

西掟 なぎ

南條 誠也せいや

二年

西掟 じん

三年

北条 凜



東城家と南條家は、ご子息が一人のみです。

勿論、全員がクラス(1)に所属しております。

しかし、こう見ると一年に四大家全て集まっていて凄いですね。

同じクラスに入るのですから彼等の顔に泥を塗らないよう私もより精進して行きたいと思います。





やはり、"合力"が"Ⅴ"も違うと置いてかれないのやっとで御座いますね。



一年の最初の授業として担任の垣居かきい 多不太たずた先生は、私達十人の模擬戦を行われました。

なんでも、

「戦うことこそ、相手をもっともよく知る方法」

なのだそうです。

私には、よくわかりませんでしたが東城様は深く頷かれていました。



私は、御嬢様と組んでやろうと思っていたのですが、先生が四大家は四大家と模擬戦をしろと言われました。

ですので、どうしようかと思っていると私と同じ下クラスからの女子である峰岸みねぎし とうげ様が話し掛けて下さりました。

組まないかとのお話でしたので、喜んで組ませていただきました。



始めの模擬線は、東城様と南條様の組み合わせでした。

東城様の能力は、樹に関わる能力の様で土を貫いて現れた太い根が柔らかく動きながらも鋭く南條様を狙いました。

それに対し南條様は、体から炎を噴き出して根を焼いていきました。

そして、南條様はそのまま東城様に殴りかかりましたが軽く流され逆に殴り飛ばされました。

炎を噴き出している南條様を殴り飛ばした東城様の手。、一瞬だけ異形に見えましたがよくわかりませんでした。

そこで、垣居先生が東城様の勝利を言い渡し決着と為りました。

南條様が先生に食って掛かりましたが「時間がない」の一言で撃沈されていました。



次は、御嬢様と西掟様の模擬戦です。

御嬢様は、水を操り龍の首を真似た攻撃を西掟様に向かわせます。

西掟様は、地面から黒い何かを出してそれらを受け止めます。

後から、御嬢様に聞いたところ砂鉄を操っていたそうです。

暫く時間が過ぎ、辺りが湿っぽくなったところでいきなり西掟様が水の球体に閉じ込められ決着と為りました。

私は、とりあえず常備しているバスタオルを持ってきて西掟様の肩に掛けて、素早く男性陣から隠しました。

御嬢様の相手をすると、どうしても服が濡れますからね。

拭いてあげた西掟様の御体は、低身長でも出るところは出ていて、女性の私も少し興奮しました。

その間、御嬢様と峰岸様は前屈みになっている男子を言葉攻めしておられました。

あ、垣居先生は結婚しておられるしく興奮しておられませんでした。



他の四人ですが簡単に書いていきます。



朝日あさひ 弘輝こうき様と倉橋くらはし 刀夜とうや様の模擬戦。

朝日様の能力は光を操る能力で、倉橋様の能力は闇を操る能力でした。

真逆の性質の能力での勝負は、互いに打ち消し合うという"量"の勝負になり、結局は繰り上げでクラス(1)になった朝日様が敗北となりました。



風間かざま だん様と雷道寺らいどうじ 当銘とうめい様の模擬戦。

風間様の能力は風を操る能力で、雷道寺様の能力は雷を操る能力でした。

風間様は風を固めて弾丸の様に穿ちましたが、雷道寺様の雷を固めて作られた刀でその弾丸を切り裂かれ敗北していました。

この模擬戦は先程の模擬戦とは違い、"密"の勝負でした。



そして、最後は私と峰岸様の模擬戦です。

峰岸様は土を操る能力らしく、隆起させた土を私に向かわせます。

私は、それを避けて掌を前に突きだします。

峰岸様は、それに何の意味があるのかわからなかったのか首をかしげました。

そして、そのまま気絶しました。

いきなり、倒れた峰岸様に垣居先生が近付き気絶を確認されて私の勝利となりました。



何が起きたか分からない風体の皆様を置いて御嬢様がこちらに歩いて来ます。



「鹿波の能力は相変わらずだね」

『誉め言葉として受け止めます』

「皆に説明しても良い?」

『私は、御嬢様のメイドですので、御嬢様がしたいというのならどうぞご自由に』

「ありがとね」

『いえ』

「じゃあ、皆に鹿波の能力を説明するよ」

『……………………』



私の能力は二つあり、一つは伝播させる能力です。

対象に触れている何かに私が触れるとその何かに様々な者を伝播させることができるのです。

峰岸様にしたのは、空気に叩き込んだ力を伝播させ相手に当てる。

ただそれだけです。

しかし、この能力は伝播させる距離が遠ければ遠いほど弱まってしまいます。

それを補うのがもう一つの能力、増幅の能力です。

これは、能力を増幅して"密"と"量"を強制的に底上げ出来る能力です。

しかし、この能力にはデメリットがあります。

使っている間は良いのですが、切れた瞬間に莫大な疲労が体にかかり、虚脱感が全身にまわるのです。

その上、人に知られると些か面倒を呼ぶので普段は使っておりません。

というか、私以外に知っている人はおりません。

御嬢様に対する数少ない秘密の一つで御座います。



峰岸様が気絶から復帰したあと、垣居先生が最後に先生対クラス(1)で模擬戦をしようと言われました。

皆様は、模擬戦の後と言っても時間も経ち"量"も回復しておりましたので模擬戦を行う事となりました。

結果は、先生の一人勝ちで終わりました。

終わった後、先生は言われました。



「俺の"合力"は、"Ⅴ"しか無い。

だが俺は、経験と使い方でお前たちに勝った。

いいか?

見て、覚え、考え、学び、蓄え、使え。

そうすれば、どんなものでも武器になる。

それらは、全てが戦いだ。

だから、俺は"戦い"が"好き"だ」



・・・・・・。

この先生は、どんな努力をしてここにいるのでしょうか。

とても、深い言葉を私達は受け取りました。

一人一人が噛み締めるように目を閉じている光景に先生が頷いているような気がしました。



どうでもいいですけど、こうして文にして見ると垣居 多不太の性と名を逆にして一個飛ばしで読むと戦い好きになりますね。

模擬戦の時に危うそうな場面が一度ありましたがあのときの満面の笑みを見ると本当に戦いが好きそうです。

それ以前に自分で言ってましたね。

これは、明日にでも言ってみましょう。

受けるかもしれません。





無事、受けて皆様が笑ってくださり嬉しく思います。





お昼に御嬢様と西掟様と峰岸様が一緒に食べようと言ってくださいました。

明日のお弁当は、腕によりを掛けて作ろうと思います。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



『準備、出来ましたか?』

「うん。それより御免ね?」

『構いません懸命に。私は、』

「貴女のメイドですので?」

『はい』

「こんなときまで変わらないなぁ。鹿波は」



パタンと私は、読んでいた日記を閉じます。



この日記を書き始めて、半年。



現在、この学校は窮地に立たされています。



倒壊した校舎、隕石でも落ちたかのようなクレーターができた校庭、倒れ伏す先生達。



朝は、何時ものように何もなかったのです。



ですが、一本の放送でそれらが壊れてしまいました。



反逆軍インバースが攻めてくる」



反逆軍インバース

それは、大規模テロ組織として有名な犯罪者の集団のことでした。

能力が全てではないと豪語するその集団が、強力な能力者を残虐する事は、誰しもが知っていました。

この、学校の生徒達も。



それは、パニックの始まりでした。

そして、そのパニックの上に影を指した岩石はそれを大きくしました。

阿鼻叫喚の校舎となった中で岩石は、校舎を潰しながら校庭にクレーターを作りました。

しかし、一人の死者も出さずに私達は、校門に居ました。

生徒会長の凜様の転移能力で。

そして、パニックになっている生徒を凜様は、一声で落ち着かせました。

そこで、体力が尽きたのか凜様は倒れてしまいましたが西掟 迅様がそれを支えるのを見ました。



そんな、中で御嬢様は一人で校門から外に出ていきます。

私は、それに追従しました。



少し歩くと先生達が倒れていました。

ただ、獣の如く暴れる一人の担任を除いて。



「オオオオオオオオオ!!!!!」



垣居先生は、能力である部分獣化を使い一人で百人はくだらない反逆軍を押さえていました。

腕を振り、足を払い、体を捻り、殴り、蹴り、避けて、倒す。

血を振り撒きながらも、懸命に。



御嬢様は、なにも言わずに水で垣居先生を掴み、後ろの学校に投げました。

他の先生も次々と。

私は、その事を音を伝播させてクラス(1)に伝えました。

同時に、私たちがこれから何をするつもりでどうしてほしいのかも一方通行で伝えます。



樹木が先生達を捕まえるのを私は、見届けました。

私は、もう一度音を伝播させ峰岸様に岩壁を作るように言いました。



少しして、後ろで岩壁が建ちました。

同時に小さく声が聞こえます。



「垣居先生!無茶です!」

「無茶だろうがなんだろうが通せ!」

「駄目です!

先生の体は既にボロボロじゃないですか!」

「ふざけるなよ、峰岸!

それだけで、俺が下がる理由になるか!」



後ろで垣居先生と峰岸様の口論が聞こえます。



「垣居先生と峠ちゃんには、悪いことしたかなぁ」

『そうですね』



上空を通りすぎる岩石を闇と光が削りました。



「刀夜と弘輝は、此方を睨んでるかなぁ」

『ええ』



遠くで雷と風が巨大な岩石を粉砕しました。



「風雷弾刀コンビは、今頃泣いてるのかなぁ」

『意外とあの二人は、泣き虫ですからね』



木々と炎と砂鉄が粉砕されてできた石や岩を弾き燃やして刻んでそれらを塵に変えました。



「神威の奴は笑ってそうだね。

それを誠也の馬鹿が怒って、凪が諌めてそう」

『ありそうですね』



御嬢様は、一歩踏み出しました。

私は、それに追従します。



「間違ってないよね?」

『はい』



反逆軍が倒された味方を退けて押し寄せてきます。



「正しいんだよね?」

『はい』



黒い服を着た彼等の創る黒い波は、真っ直ぐ此方に向かってきます。



「じゃあ、付き合って?」

『はい』



球体の水が辺りを満たしました。

私は、そこに殴打を叩き込みます。

水は、強く波をたて伝播します。

そして、伝播された水は私の能力と御嬢様の能力で強力な力を内包して黒い波に当たり、彼等を吹き飛ばします。

しかし、一部が飛んでいったところで意味などないかのように波は進んできます。



「ここで、全部倒すよ!」

『はい!』



私は、御嬢様と肩を並べて声を張ります。









何分、もしくは何時間後。

黒い服の反逆者達が倒れ伏した中。

御嬢様が膝を着きました。

"量"が底をついたのでしょう。

しかし、底が見えたのは御嬢様だけでは無く私も同様です。

ですが、同時に黒い波の終わりは見えてきました。



私は、振り向いて後ろにいた御嬢様を抱き締めました。

そして、耳元に口を寄せ言います。



『御嬢様。

これは、自己満足であっても自己犠牲ではありません。

決して、御嬢様の為では無く、自分のためにやることなのです。

ようは、やれるからやる。

只、それだけのことなのです』

「鹿波?」



いきなりの行動と言われた言葉に御嬢様が固まります。

その間に、私は畳み掛けるように言葉を重ねます。



『覚えていて下さい。

私の主は、御嬢様。貴女だけで御座います』



御嬢様と目が合い、私が何をしようとしているのかを御嬢様が悟ります。



「待っ!」

『例え、ここで命が尽きようとも』



私の体を掴もうとする手を柔らかく抑えて、笑顔を浮かべて、私は、増幅の能力を使い"密"と"量"を強制的に底上げし、御嬢様を突き飛ばしました。

そして、伝播の能力で発生した波に御嬢様を乗せて学校へ飛ばしました。

増幅された伝播の能力による強引なやり方は、しかし御嬢様の体に何の不可もなく学校へ向かわせました。



『皆様、御嬢様をお願い致します』



音を伝播させクラス(1)の方々に伝えます。

後ろから黒い波の迫る音が聞こえますが気にしません。

御嬢様が飛ばされながらも此方に必死に手を伸ばしているのを見て、大切にされていることを実感しながら、



『申し訳ございません。

そして、ありがとうございました』



幼い頃から一緒で、母のようで、姉のようで、妹のようで、親友のようで、好敵手のようであった御嬢様に御辞儀をして、



可鈴かりん様』



私は、全力で勢いよく振り向き目前の反逆軍へ拳を振り抜きます。



行った打撃を増幅し伝播させ、発生した波を更に増幅させました。



伝播した力が、反逆軍の残りを纏めて吹き飛ばしていったのを全身の倦怠感と共に見ながら、私の視界は暗転しました。
















随分と長い時間が過ぎた気がします。



「ねぇ。鹿波」



私のなかで、止まっていた時がやっと動き出しました。



「あれから、もう三ヶ月だよ?」



真っ暗な世界のなかに光が指しました。



「学校がやっと直ったんだ」



頭を撫でてくれる感覚がします。



「お父さんもお母さんもお姉ちゃんもクラスの皆も貴女が目覚める前に直すって言ってたけど本当に直しちゃった」



頬を優しく滑る手を感じます。



「私は、貴女が目覚める前に直すって言ってたときに、それを笑ってやろうと思ってたんだよ?」



体が誰かに抱きつかれ、コツンと額に誰かの額が当たりました。



「《鹿波は、そんなにお寝坊さんじゃないですよー》ってね」



額から耳元へと誰かの頭は移動していきます。



「それに、日記も読んだんだ」



誰かは、首もとに顔を埋めました。



「色々なところがバラバラだったけどね?」



首に温かい息が掛かります。



「弾達、風使いと凪のお兄さんの探知能力で全部見つけて垣居先生の奥さんが元通りにしてくれたんだよ?」



誰かは、擦り付けるように首を振ります。



「私、増幅なんて能力があったなんて知らなかったよ」



ハム、と耳を甘噛みされました。



「秘密にしてた理由を知ってお父さん達、泣いてたよ?」



フー、と耳に息を吹きかけられました。



「後、《起きたら養子にしてやるー》って言ってた」



今度は、首を甘噛みされました。



「そうしたら、私は、お姉ちゃんかな?」



それを、誰かは何度も何度も繰り返します。



「それとも、妹かな?」



まるで、悪戯をして親を起こそうとする子供のように。



「出来れば、お姉ちゃんがいいなぁ」



強く強く抱き締められます。



「起きたら、いっぱいお話ししなきゃいけないね」



大切な声が、耳元で聞こえました。



「だから、」



でも、泣きそうです。



「だからぁ、」



だから、



「速く起きてよぉ。鹿波かなみぃ」



起きましょう



『はい。御嬢様』

















ーーーーーーーーーーーーーーーーーー【end】



【 The first, please enjoy only conversation from here 】

【 OK? 】

【 So, Enjoy 】



『ええっと?御嬢様?』

「なに?」

『なんで、服の中に手を差し込んで来るんですか?』

「何ででしょう」

『分からないのできいてるのですが』

「何ででしょう」

『ひゃあ!

え!?御嬢様!?』

「何ででしょう」

『お、怒ってるんでふあ!?』

「それは、当然だよ。

じゃあ、他には?」

『ふえ?他っんむ!?』

「んんんんんんん、プハァ」

『な、何して』

「感謝してるの」

『え?』

「だから、感謝してる分の御褒美と怒ってる分の罰を一緒にあげる」

『へ?え?あ、待っ!

ヒャアアアアアアアアアアアアァァァァァァン!』



『ハァハァ』(グッタリ)

「えへへ。

息を乱してる鹿波って新鮮だなぁ。

フゥー」

『ひん!』

「ふふふ。可愛い」



((((((((入り辛い!))))))))

「おや、君達は妹のクラスのお?」

「(し、静かにしてください!)」

「(後、そこの男子六人!

前屈みになってないでトイレにでもいって時間潰してこい!)」

「(わ、わかった)」

「(た、助かる)」

「んんん?」

「(すみません。生徒会長。

でも、状況的に大きい音をたてられると困るので)」

「(ん、どうしたの?)」

「(見てもらえばわかります)」



「(あの子、やっぱり同性愛者だったのかしら?)」

「(えええ!?

やっぱりってどういうことですか!?)」

「(そ、その前兆みたいなことがあったんですか?)」

「(だってあの子、私の部屋にあるGL小説読んでたもの)」

「(・・・・・・)」

「(今、幻聴が聞こえなかった?)」

「(にしても、実妹×義妹か。

いいわね)」

「(私の中の生徒会長像が崩れていきました)」

「(あら、私のこれは貴女のお兄様の影響よ)」

「(・・・こんなところで兄の性癖なんて知りたくなかったァァァァァァァァァァ!!!)」パヒュン

「(落ち着いてェェェ!!!)」パヒュン

「(あら?

五月蝿いから飛ばしたけど変なところに飛ばしちゃったわね。

名残惜しいけど行かなくちゃ)」

「それじゃあ、鹿波。

いい夢、見なさいね」



『助けてくれたって良かったんじゃないですかァァァァァァァァァァ!!!』

「逃がさないよ?」

『ンム!』



ーーーーーーーーーーーーーーーー【true end】

どうでしたでしょうか?

誤字、脱字、なんでも御待ちしております。


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