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転生したら霧の精霊でした〜最弱体なのに吸収進化で気づけば世界最強〜  作者: 妙原奇天


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第2話 古代竜レイガルとの出会い

 霧としての生活にも、だんだんと慣れてきた。

 どれくらい時間が経ったのかは分からない。太陽も時計もない洞窟の中で、俺の「数日」という感覚はかなり適当だ。でも、少なくともぼーっとしているだけの日々ではなかった。

 俺は、ひたすら狩って、試して、失敗して、また試していた。

 小型のスライムみたいな魔物。コウモリっぽい翼の生えた生き物。岩陰に潜んでいた、目だけギョロっとしたトカゲもどき。そいつらを見つけては【吸収】し、体組織や能力を【解析】で分解し、自分の霧ボディに組み込めそうなものを選んでいく。

「微少飛行因子を吸収。簡易滑空能力を獲得可能です」

「微弱筋繊維を解析。局所的な霧の凝固が可能になります」

 そんなメッセージが、ゲームのログみたいに頭の中を流れていく。

 最初のうちは、自分が霧であることを呪った。物は掴めないし、声も出せないし、パンチもキックもできない。戦闘なんてどうするんだ、って話だ。

 けど、何度か魔物とのやり合いを繰り返すうちに分かってきた。

 俺は「殴る」のではなく、「絡め取る」タイプだ。

 スライム相手なら、霧を一気に濃くして包み込み、内側からじわじわと吸収していく。素早いトカゲには、天井から霧を垂らして視界を奪い、足元を滑りやすくして転ばせる。その隙に本体部分を絡め取る。

 直接攻撃はできないが、罠と状態異常でじわじわ追い詰める。そんな戦い方が、だんだんと板についてきた。

 その過程で、いくつかの新しいスキルも生まれた。

「新スキル、霧形変換ミストフォームを獲得しました」

「新スキル、小動物模倣を獲得しました」

 ミストフォームは、霧の濃さや形を大きく変えるスキルだ。人型のシルエットを作ったり、細い糸みたいに伸ばしたりできる。小動物模倣は、その名の通り、吸収した小動物の形を簡易的に再現できる能力だ。精度はまだまだだけど。

 とはいえ、人型と言っても透明な霧の塊だし、小動物になってもふよふよしているだけだ。物に触れようとすると指がすり抜ける。

「うーん、あと一歩なんだよなあ……」

 俺は洞窟の壁際にある石をターゲットにして、何度も何度もミストフォームを発動していた。

 まず霧を濃くし、片側だけを固めるイメージで集中する。すると、霧の一部が少しだけ硬くなり、もやっとした「手」のような形が浮かぶ。

 その手を、恐る恐る石に押し当てる。

 ぐにゃり。

 押し当てた感触はある。あるのだが、石を掴もうと指を動かした瞬間、形が崩れて霧に戻ってしまう。

「……おしい! あとグリップ力がほしいな、グリップ力!」

 自分で自分にツッコミを入れながら、また霧を集め直す。

 何度か失敗を繰り返した末に、ようやく「押す」くらいならできるようになった。軽い石なら、ごろっと転がせるし、地面に簡単な線も引ける。

 ためしに、地面に自分の名前を書いてみた。

 ユ

 ウ

 ト

 雑な字だが、ちゃんと読める。

「おお、ちょっと文明っぽい」

 感動している姿は、たぶん他人から見れば、床の上で揺れている濃い霧の塊にしか見えないんだろうけど。

 それでも、こうして「できること」が少しずつ増えていくのは嬉しかった。前世では残業と理不尽に追い詰められて、自分の成長なんて実感する暇もなかったから。

「さて、と。今日も訓練と探索、頑張りますか」

 俺は霧全体に意識を行き渡らせると、洞窟の奥へとゆっくり拡散していった。

     ◆

 洞窟は思っていた以上に広かった。最初に目覚めた空間が「入口に近い安全地帯」だとしたら、奥に行くほど魔力の濃度が高くなっていくのが分かる。

 壁の隙間からはところどころ、淡い光を放つ鉱石が顔を出していた。地面には複雑な亀裂が走り、魔力の流れが川のように流れている。霧として存在している俺には、それがまるで鮮やかな色のラインに見えた。

 ちょっとしたファンタジー観光だ。……まあ、ここを出られればだけど。

 そんなふうに余裕ぶっていた時だ。

 異常に強い魔力の塊が、視界の端——いや、感知範囲の彼方に現れた。

「なにこれ……桁、違くない?」

 今まで感じてきた魔物の魔力は、小さな火花みたいなものだった。それが、今感じているこれは、巨大な焚き火、いや、山火事レベルだ。

 あまりの差に、本能的な恐怖が霧全体を震わせる。それと同時に、好奇心という名の無謀も顔を出す。

「行くな、って言われたら行きたくなるのが人間なんだよなあ……いや、人間じゃなくて霧だけど」

 自分で自分にツッコミを入れつつ、俺は慎重に、極力存在感を薄めながら近付いていく。

 意識を集中して【拡散】と【解析】を同時に使うと、暗い洞窟の奥に、巨大な影の輪郭が浮かび上がった。

 岩盤に刻まれた巨大な魔法陣。その中心で、黒い鎖に身体を縛られた巨体——四本の足。分厚い鱗。折りたたまれた翼。長く伸びた首と角。わずかに開いた口からは、熱を帯びた息が漏れている。

 どう見ても、ドラゴンだ。

 しかもただのドラゴンじゃない。周囲の空間そのものが、そいつの存在に押しつぶされているような圧を放っている。

「……え、ラスボス?」

 思わず心の中でそう呟いた瞬間、その巨体がわずかに動いた。

 ぎ……ぎぎ、と鎖が軋む音が洞窟に響く。

 次の瞬間、低く重い声が空気——いや、魔力を震わせて届いた。

「そこにいる、未熟な霊よ」

 俺の霧全体がビクリと震える。

「……は、はい?」

 声を出したつもりはないが、霧が揺れた反応を拾ってくれたのか、その声はさらに続いた。

「姿を見せよ。風とも水ともつかぬ、おぼろげな気配よ」

 どうやら、俺の存在に気付いているらしい。

 逃げる、という選択肢も頭をよぎった。だが、ここまで来て何も聞かずに引き返すのも惜しい。

 なにより——

(ここで逃げてたら、一生モブのままだろ。せっかく異世界に来たんだし、多少は無茶しないと)

 自分に言い聞かせるように意識を固め、俺は魔法陣の周囲に霧を集めた。

 薄暗い洞窟に、白い霧の塊がふわりと現れる。俺の「体」が、古代竜の前に姿を見せた。

「俺は……霧の精霊、みたいなものらしいです」

 テレパシーみたいな魔力通信を意識して、言葉を組み立てる。

 古代竜は、巨大な片目をうっすらと開いた。深い赤の瞳が、俺の霧をじっと見つめる。その視線だけで、身体が——いや霧が、じりじりと焼かれているような錯覚を覚えた。

「霧の精霊、か。珍しい器体だ。しかも人の言葉を解するときた」

 低く響く声は、洞窟全体に重く広がる。

 医者に脈を取られている患者みたいに、俺の存在を上から下までじろじろと測っているのが伝わってくる。

「ここは……何なんですか? あなたは、一体」

 恐る恐る尋ねると、竜はほどけない鎖をわずかに鳴らし、長い首をほんの少しだけ持ち上げた。

「この場所は、かつて王国が造った封印施設だ。かの王は、我を“災厄”と呼び、ここに縛り付けた」

「災厄……?」

「そう呼ばれたことが、ないと言えば嘘になるがな」

 竜は、くぐもった笑い声を漏らした。自嘲とも、諦めともつかない響きだった。

「我はレイガル。古代竜の一柱だ。数百年前、人族の王に求められた。『その力を、我が国のために貸してくれ』とな」

 レイガルの言葉に合わせて、過去の光景が薄くイメージとして伝わってくる。天を覆う翼。炎の嵐。巨大な軍勢。歓声と悲鳴。

「だが、我は拒んだ。竜は、ただ生きるがままに生きるだけ。人の戦に加担する理由はない。そう告げると、彼らは一転して我を“危険な存在”と見なし、封印術式をもってこの地へと追いやった」

「……それは」

 ひどい、と言いかけて、言葉を飲み込む。前の世界でも似たような話はいくらでもあった。利用価値があるうちは笑顔で近づき、都合が悪くなった途端に切り捨てる。会社でも、どこでも。

 レイガルの巨大な瞳が、俺の霧の揺れを見て、わずかに細まった。

「どうやら、お前にも似たような経験があると見える」

「まあ……人間界も、いろいろありますからね」

 俺は苦く笑うように、霧を小さく波打たせた。

 それでも、だ。

「でも、あんたは理不尽だと思う。戦争に巻き込まれたくない、ってだけでここに縛り付けられたなんて」

 そう口にすると、レイガルの瞳にわずかな驚きが宿った。

「見返りも求めず、我に同情するか。妙な霊だな」

「別に、見返りを求めてるわけじゃない。ただ——」

 俺は、洞窟の天井近くまで霧を広げて、封印の全体像を見渡した。岩盤に刻まれた複雑な魔法陣。幾重にも重なった鎖。そこから漏れ出る、濃密な魔力。

「もし、この封印に“解く条件”みたいなものがあるなら、俺にできる範囲で手伝ってみたい。ここに縛り付けられたままって、単純にしんどそうだし」

 せめて、話し相手くらいにはなれる。そんな軽い気持ちもあった。

 だが、レイガルはしばし沈黙し、やがて、くつくつと小さく笑い始めた。

「お前というやつは……。この世界の理もろくに知らぬ未熟な霊が、古代竜を解放しようというのか」

「ダメ、ですか?」

「いや。面白い。実に面白い」

 鎖がかすかにきしむ。レイガルの巨体が、わずかに嬉しそうに揺れた。

「問うぞ、霧の精霊よ。見返りも求めず、我を解放すると申し出る理由は何だ」

 問われて、少しだけ考える。

 俺が欲しいもの。前の世界では手に入らなかったもの。ここでなら、もしかしたら手に入るかもしれないもの。

「この世界のことを、教えてほしい」

 自然と、答えは口からこぼれていた。

「俺はよそから来た。こっちの常識も、地理も、ルールも何も知らない。だけど、生きていく以上は、ちゃんと知っておきたいんです。さっきの話だって、人間と竜の関係も、俺一人じゃ一生わからなかったかもしれない」

 だから、と続ける。

「あんたが知ってることを教えてくれるなら、それで十分見返りになります」

 レイガルは、しばらくじっと俺を見つめていた。

 その視線の重さに耐えかねて、霧がふわふわと落ち着かない揺れ方をする。長い沈黙ののち、ようやく古代竜は深く息を吐いた。

「……気に入ったぞ、異界の霊よ」

 その声には、先ほどまでの自嘲はなかった。

「我も長くここに縛られ、話し相手もおらなんだ。お前のような変わり者は、退屈しのぎには丁度良い」

「変わり者扱いは心外なんだけどな」

 思わずぼやくと、レイガルは喉を鳴らして笑う。

「名を問おう。異界から漂着した霧の魂よ。お前の名は」

「……三上悠斗。前の世界では、そう呼ばれてました」

「ミカミユウト、か」

 レイガルはゆっくりと、その名を噛みしめるように繰り返した。

「少し長いな。この世界の識別名としては、『ユウト』と呼ばせてもらおう。それで構わぬか」

 ユウト——。

 前世の名前を、異世界の音に合わせて呼ばれた気がした。

「いいですよ。その方が呼びやすいですし」

「ではユウトよ。お前は我の名を、どう認識した」

「レイガル。古代竜レイガル」

 その名を、意識の中心で強く、はっきりと刻み込む。

 その瞬間だった。

「霧の精霊ユウトと古代竜レイガルの間に、霧の盟約が成立しました」

 頭の中に、機械的な声が響いた。

「互いに情報共有と魔力供与が可能となります」

 同時に、レイガルの魔力の流れが、うっすらと俺の中に染み込んでくる。まるで、巨大な海の一部と自分が繋がったような感覚。

「な、なんだ今の……?」

「名の交換だ。魂に刻まれた名は、力と繋がりを持つ。我らは今、お互いの存在をはっきりと“世界に認識させた”のだ」

 レイガルの説明と同時に、俺の意識内に半透明のウィンドウが現れる。

 レイガル・ステータス(簡易閲覧)

 種族:古代竜

 レベル:???

 称号:災厄級存在/封印対象/天空の支配者

 魔力量:測定不能

 状態:多重封印/魔力制限中

「いやいやいやいや」

 思わず、洞窟の空気を震わせる勢いで霧が揺れた。

「これ、完全にラスボスクラスでしょ!? “災厄級存在”ってなに、その中二ワード!」

「知らぬ。勝手に人族が刻んだものだ」

 レイガルは本当にどうでもよさそうに言う。

「だが、味方となれば心強いことだけは理解できたであろう?」

「そりゃまあ……この魔力量を敵に回すとか、考えたくもないですし」

 震えながらも、俺は心のどこかで安堵していた。

 味方になってくれれば、これほど頼もしい存在はいない。霧の精霊なんてマイナー職、きっとこの先いろいろと苦労するに決まっている。その横に古代竜がいてくれたら、それだけでかなりの保険になる。

「では、約束通りだ」

 レイガルの瞳が、わずかに優しく揺れた。

「ユウトよ。お前にこの世界のことを伝えよう」

 そこからの時間は、濃かった。

 この世界には、人族だけでなく、獣人族、エルフのような長命な種族、そして魔族が存在すること。かつて大陸は一つの巨大な帝国に統一されかけたが、今は複数の国家が互いに牽制し合う時代であること。

 魔族を束ねる魔王と呼ばれる存在がいること。だが、本当に世界を歪めているのは、誰か一人の王ではなく、世界全体に満ちる「魔素」のバランスが崩れつつあることだということ。

「魔素が濃くなりすぎた場所では、魔物が増え、土地そのものが狂い始める。逆に薄くなりすぎれば、生命は枯れる。今の世界は、そのどちらもが広がりつつあるのだ」

「……つまり、世界が静かに壊れかけてるってことですか」

「そうだ。人族の国々は、魔王を討てば全てが解決すると信じたがっている。だが、それは半分の真実でしかない」

 淡々と語られる言葉の中に、ときおり深い疲れが混じる。

 長い年月を生きてきた存在にしか見えない景色が、断片的にイメージとして伝わってきた。

「いずれ、お前が外へ出る日が来るだろう。その時——」

 レイガルは、静かに言葉を続けた。

「お前には、“居場所”が必要だ」

「居場所、か……」

 その単語が、やけに胸に引っかかった。

 前の世界での自分を思い出す。会社では、数字と効率しか見ていない上司。トラブルを起こした後輩を庇って、矢面に立って、結局、俺だけが処理に追われた夜。

 俺が守ろうとした後輩は、その後どうなっただろう。生きているのか。心を壊していないか。あの時、もっと違う選択ができていれば——。

 考えかけて、首を振る。首はないけど、霧を大きく揺らして思考を振り払った。

「今さら考えても仕方ないか。あっちはもう、戻れないんだし」

 でも。

 だからこそ、だ。

「今度こそ、ちゃんと守りたい」

 誰にも聞こえないくらい小さな声で、俺は呟いた。

「守れなかったものとか、守れなかった誰かとか。そういうのを、そのままにして終わりたくない。今度は——誰かの居場所を守れる存在になりたい」

 その決意が、霧の粒子一つ一つに染み込んでいくような気がした。

 レイガルは何も言わなかった。ただ、ほんの少しだけ、その瞳が柔らかくなった気がした。

「封印を解くには、いくつか条件がある」

 しばらくして、レイガルが再び口を開く。

「一つは、我を“信頼する霊的存在”の魔力。もう一つは、外界にある“鍵”だ。この封印は、内と外から同時に働きかけなければ解けぬようになっている」

「信頼する霊的存在って……俺みたいな?」

「そうだ。お前との盟約は、その条件の一端を満たしている。だが、まだ足りぬ。お前自身がもっと強くなり、お前を信じるものを増やさねばならぬ」

 お前を信じるもの——その言葉は、どこか温かかった。

「外界の鍵は、どこにあるか分かるんですか?」

「位置までは特定できぬが、この洞窟の外、かつての王国領にあるはずだ。封印術式に用いられた紋章の一部が、外の“鍵”として残されている」

「つまり、その鍵を探しながら、俺自身も強くなって、信頼を集めろ、と」

「そういうことだ」

 レイガルはゆっくりと頷いた。

「ユウトよ。お前はまだ生まれたばかりの霧の精霊だ。だが、異界から来た魂は、時として常識を覆す力を持つ。お前がどんな選択をし、どんな居場所を作るのか……我は見てみたい」

 その言葉は、不思議と心地よかった。

 誰かに期待されるのは、嫌いじゃない。前の世界では、「期待」と「責任」と「都合のいい駒」がごっちゃにされていたけれど。

 ここでは、少なくともレイガルは、俺を“ひとつの存在”として見てくれている気がした。

「分かりました。じゃあ、近いうちに外に出てみます」

 霧を引き締めるようにして宣言する。

「この洞窟の出入口を探して、外の様子を見てくる。そのついでに、鍵の手がかりも探します」

「ふっ……期待しているぞ、我が契約霊よ」

 レイガルの笑い声が洞窟に響く。鎖に縛られたままの巨体だが、その声には、どこか自由な風が宿っていた。

「その前に、もう少しここでレベル上げさせてもらいますけどね。正直、今のままだと、外界の現場に出た途端に雑魚敵にやられそうだし」

「それが良かろう。外には、我のような存在は少ないが、人の狡猾さは竜にも劣らぬからな」

「それ、すごい説得力ありますね……」

 俺は苦笑しながらも、霧をふわりと揺らす。

 こうして、俺は古代竜レイガルと「霧の盟約」を結び、この世界の大まかな事情を知った。

 次の目標は、洞窟の外へ出ること。そして、レイガルの封印を解くための鍵を探すこと。

 霧として生まれた俺の、最初の大きな一歩だ。

「よし……やってやるか、ユウト」

 自分で自分の名前を呼んでみる。前の世界の俺とも、今の霧の精霊としての俺とも繋がる、短いけれど大切な名前。

 霧が、洞窟の天井近くまで一気に広がっていく。

 その先にある外の世界は、きっと厄介で、きっと眩しい。

 でも、今度こそ——。

「今度こそ、俺は俺の選んだ居場所を守る」

 そう心に刻みながら、俺は洞窟の出口を求めて、静かに動き出した。

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