異世界でクラブ経営
異世界でクラブ経営
私はあらゆるゲームをやりこみ、ラノベを読みまくった元オタクの日本人。
この世界に転生した時は、大喜びではしゃぎまくったわ。
そんな私は平民の商人の娘で、私の知る限りモブですらない。
でも我が家はそれなりに大商人で、流石に王室御用達とまではいかないけど、前世的に言うなら東証一部上場企業レベル。
幼い頃から勉強を頑張って、お小遣い(かなり高額)も貯めて、未来への投資のために頑張ってきた。
それが開花するのだ。私が13歳になるこの歳に、ものすごく重大なイベントが起きるのを知っているから。
店もスタッフも準備万端。あとはキャストを迎えるだけだ。
知らせを受けて、私はすぐさま馬車を走らせた。まずは騎士団長の屋敷へ。
向かった先では想定通り、門前で若いイケメンが絶望したように立ちすくんでいた。私は馬車から降りるとすぐに声をかけた。
「初めまして。私はこういう者です」
名刺を渡す。名刺は私の発明ということになっている。商人は交友が広い。広すぎて覚えてられない。だから名刺を使えばいいやんけと思いついたらバズった。
今や貴族もあたりまえに名刺交換する。
「あ、ありがとう。話には聞いたことがある」
「光栄ですわ。ランバート元伯爵令息」
途端に彼は顔を歪めた。将来有望な騎士で、次期騎士団長も夢じゃない。そんな風に言われていたのに、今は放逐されて平民ですものね?
「ジャクソン様とお呼びしても?」
「……ああ」
「ありがとうございます。実はジャクソン様を、スカウトしたく参りましたの」
「スカウト?俺を?」
「ええ。貴方だからこそですわ」
私はこの調子で、数人の青少年をスカウトし、私の経営する店で働いてもらう事ができた。
「いらっしゃいませ」
「お荷物は俺が」
「ようこそ、お嬢様」
ホストクラブ「楽園」の開店である。
キャストの彼らは不祥事を起こした貴族令息。不祥事こそ起こしたものの、元々貴族らしいイケメンであり、貴族らしい教育を受けている。
これを活用しないなんて勿体ない。ではどうするか?彼らは政治的な頭が足りないが、それ以外なら有用なのだから、男としての魅力を存分に奮って貰おうというわけ。
最初は耳慣れないホストクラブに閑古鳥がないていたけど、お金持ちの婦人や貴族に知られてからは大盛況。
キラキラの元王子、爽やかな元騎士、やや影のある魔術師、腹黒な元貴公子、大人しめな童顔元文官、大人の色気垂れ流しの元教師。
それぞれの魅力でお客様は大満足。一応枕営業はしないよう言いつけていたけど、彼らも理解しているようで安心。
下手に彼らが血脈を残せば、どんな禍根が残るかわかったものではないからね。
好きな人と巡り会って、細々と生きる分には良いのかもしれないけど、世の中そんなに甘くはない。
なにしろ、私の事業支援者の1人が王太子妃様だ。王太子妃様は、彼らには恨み骨髄のはずで、だから私は「馬車馬のように女に媚びる仕事をさせてます」と報告している。まぁ間違ってはいない。
とにかくホストクラブは順調だ。
それでは次に行こう。もう時間が無い。
馬車を走らせて、隣国との国境の森に行く。そこには打ち捨てられたかのように、座り込むご令嬢がいた。
私はいつもの如く挨拶する。
「初めまして。私はこういう者です」
差し出した名刺をご令嬢が受け取る。
さぁ、次はキャバクラ経営だ。ぶっちゃけホストクラブより儲かるのは目に見えている。
私はニヤニヤするのを抑え込みながら、追放されたご令嬢の手を取った。




