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異世界でクラブ経営

作者: 時任雪緒
掲載日:2025/11/11

異世界でクラブ経営


私はあらゆるゲームをやりこみ、ラノベを読みまくった元オタクの日本人。

この世界に転生した時は、大喜びではしゃぎまくったわ。

そんな私は平民の商人の娘で、私の知る限りモブですらない。

でも我が家はそれなりに大商人で、流石に王室御用達とまではいかないけど、前世的に言うなら東証一部上場企業レベル。

幼い頃から勉強を頑張って、お小遣い(かなり高額)も貯めて、未来への投資のために頑張ってきた。

それが開花するのだ。私が13歳になるこの歳に、ものすごく重大なイベントが起きるのを知っているから。

店もスタッフも準備万端。あとはキャストを迎えるだけだ。


知らせを受けて、私はすぐさま馬車を走らせた。まずは騎士団長の屋敷へ。

向かった先では想定通り、門前で若いイケメンが絶望したように立ちすくんでいた。私は馬車から降りるとすぐに声をかけた。


「初めまして。私はこういう者です」


名刺を渡す。名刺は私の発明ということになっている。商人は交友が広い。広すぎて覚えてられない。だから名刺を使えばいいやんけと思いついたらバズった。

今や貴族もあたりまえに名刺交換する。


「あ、ありがとう。話には聞いたことがある」

「光栄ですわ。ランバート元伯爵令息」


途端に彼は顔を歪めた。将来有望な騎士で、次期騎士団長も夢じゃない。そんな風に言われていたのに、今は放逐されて平民ですものね?


「ジャクソン様とお呼びしても?」

「……ああ」

「ありがとうございます。実はジャクソン様を、スカウトしたく参りましたの」

「スカウト?俺を?」

「ええ。貴方だからこそですわ」


私はこの調子で、数人の青少年をスカウトし、私の経営する店で働いてもらう事ができた。


「いらっしゃいませ」

「お荷物は俺が」

「ようこそ、お嬢様」


ホストクラブ「楽園」の開店である。

キャストの彼らは不祥事を起こした貴族令息。不祥事こそ起こしたものの、元々貴族らしいイケメンであり、貴族らしい教育を受けている。

これを活用しないなんて勿体ない。ではどうするか?彼らは政治的な頭が足りないが、それ以外なら有用なのだから、男としての魅力を存分に奮って貰おうというわけ。


最初は耳慣れないホストクラブに閑古鳥がないていたけど、お金持ちの婦人や貴族に知られてからは大盛況。

キラキラの元王子、爽やかな元騎士、やや影のある魔術師、腹黒な元貴公子、大人しめな童顔元文官、大人の色気垂れ流しの元教師。

それぞれの魅力でお客様は大満足。一応枕営業はしないよう言いつけていたけど、彼らも理解しているようで安心。

下手に彼らが血脈を残せば、どんな禍根が残るかわかったものではないからね。

好きな人と巡り会って、細々と生きる分には良いのかもしれないけど、世の中そんなに甘くはない。


なにしろ、私の事業支援者の1人が王太子妃様だ。王太子妃様は、彼らには恨み骨髄のはずで、だから私は「馬車馬のように女に媚びる仕事をさせてます」と報告している。まぁ間違ってはいない。

とにかくホストクラブは順調だ。


それでは次に行こう。もう時間が無い。


馬車を走らせて、隣国との国境の森に行く。そこには打ち捨てられたかのように、座り込むご令嬢がいた。

私はいつもの如く挨拶する。


「初めまして。私はこういう者です」


差し出した名刺をご令嬢が受け取る。

さぁ、次はキャバクラ経営だ。ぶっちゃけホストクラブより儲かるのは目に見えている。

私はニヤニヤするのを抑え込みながら、追放されたご令嬢の手を取った。


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