月下
「記憶の欠片」
夜の帳が降りて
青白い月明かりの下
波間が揺れ、揺らめいて、
微かな光を水面が反射して
僕の顔を照らしていた
白い砂浜に点々と落ちる記憶が
星の欠片が波に攫われて
月光に飲まれて輝いていた
いつの日か見たあの泡沫の夢
光の泳ぐ空の雲が
流れていく風の声が
響き渡る世界で
君と笑いあった日々
散りばめられた星屑が
紺色の空に掛かった
金色の三日月が
君の微笑みのようだった
月光が砂浜を、海を包んでいた
何も声には出さず、
ただ砂浜を歩いていって
落とした記憶の欠片を
拾い集めて 微笑んだ
波に攫われた欠片は
夜空に散った星屑は
いつか声になって、
歌になって君に届くだろう。