流転[2]
俺が赤ちゃんとして転生して数ヶ月が経った。
俺はハイハイができるようになっており、家を自由に歩き回っている。
最近、観察していて気づいたことがある。
ここは日本じゃない。電気もなければ水道管もない。
今時、電気がない国なんてどこらへんだろう。アフリカ大陸あたりだろうか?
まあ、それは後々知っていけばいい。
大きくなったらもう一度日本に行きたいと思う。
そして、この家は結構裕福だ。若いメイドさんが2人いる。
今の時代にメイドがいるってのにびっくりだ。
まあでも、そもそもメイドは外国の文化らしいからな。
まだ残っていると考えれば不自然ではないのかもしれない。
メイドさんは2人とも美少女だ。
俺はラノベとかは結構読んでいた方だからメイドは嫌いではない。
むしろ結構好きな部類に入る。
数ヶ月経ってからはこの国の言語がある程度わかるようになってきた。
言語がわかるようになってきて、疑問に思ったことがある。
会話に出てくる地名が聞いたことないものばかりなのだ。
大学で地理を取っていた俺が知らない地名…
よほど田舎なのだろう。
あと、父は剣術をする趣味があるらしい。
庭で剣を持って素振りや肩の練習をしているのを見かけた。
もしかしたらここらへんの民族の文化なのかもしれないな。
それなら、少し楽しそうだ。
ある日、俺が家を探検していると、書斎を見つけた。
まあ、書斎といっても本は数冊しかないのだが。
その中に、魔法なんちゃらって書いてる本を見つけた。
中を見たら魔法陣が書いてあったり、色々呪文みたいなのが書いてたりする。
ここら辺の地域の人たちの文化ってこんな感じなのか…??
俺はここらへんの地域でうまく生活できるのだろうか。
伝統料理とか言われて生理的に無理な食材とか出されてきたら泣くぞ。
まあそれはさておき、俺はどうしようかと悩んだ。
仮に日本に生まれ変われていたとしよう。
今後のために真面目に勉強したり、色々やることはある。
しかし、勉強すべき内容が思いつかない。
ここら辺に参考書なんて売ってるわけないしな…
正直やることがない。
その時、父が剣を一生懸命振るっていたのを思い出した。
剣道家の俺が父の太刀筋を見る限り、あれはかなり洗礼されている太刀筋だった。
俺は普通に剣道が好きだからもっと強くなりたい。
日本とは違うここら辺の地域独自の流派とかも気になるな。
俺も基礎はしっかりできているはずだ。
ある程度喋ったり動いたりできるようになってきたら剣術の指導をお願いしよう。
書斎を漁っていると、他言語で書いてある本があった。
対してやることもないため、その本で他言語の学習に励むことにした。
もちろん、どこの国の言語かどうかはわからないが…
まあ、覚えてないよりマシだろ。
それに、小さい頃に頭を使えば将来地頭が良くなるらしい。
勉強する習慣をつけておいて悪いことはないだろう。
そうして、俺は書斎で本を読む生後5ヶ月の赤ちゃんと化したのであった。