旅路[10]
もう一回、広範囲の魔力探知を使った。
すでに機械は使い物にならないくらい壊れているからもう気にせずバシバシ使っていいとのことだ。
不審な魔力反応を見つけては、千里眼を使って確かめる…というのを繰り返すこと2時間後。
それっぽいアジトを四つに絞り出すことに成功した。
俺がバシバシ広範囲の強力な魔力探知を使ったことにより、相手の通信網も途絶えてることだろう。
本来だったら、俺たちの存在が反乱軍の中で明るみになってしまうところを防ぐことができる。
俺たちは三つのアジトを順調に潰していき、四つ目のアジトへ向かった。
今回、国から出されてる指示は二つ。
1、反乱軍の勢力を壊滅させること。
2、反乱軍の首謀者を生捕にすること。
2番目に関しては出来なさそうならしなくていいとのことだった。
俺たち3人は変装魔法を使ってさっき潰したアジトにいたリーダーに変装して四つ目のアジトに向かうことにした。
通信網が途絶えてることによってできる戦法だ。
アジトに入ろうとすると、門番の人に名前を聞かれた。
もちろん、潰す前にあらかじめ反乱軍の名前と顔を覚えていたためすんなりと通してもらえた。
アジトの中を進んでいると、仮面を被った男に声をかけられた。
「おや、1番組、2番組、3番組のリーダーじゃないか。3人揃って何しにここに来たんだ。」
「俺たちは、ボスに話したいことがあってここまで来たんだ。だけど、さっき戦った奴が空間認識阻害魔法をかけてきたせいで、すっかり迷っちまって…すまない。案内してくれないか?」
「…なるほど。わかった。そういうことなら案内しよう。ついてこい」
こういう時のために一人称、口調までしっかりと把握している。
俺たちは仮面の男についていった。
道に迷わないため、空間認識魔法を広範囲に展開する。
空間認識魔法は、微量の魔力を広範囲に撒き散らし、跳ね返った場所から空間を認識する魔法だ。
まあ、コウモリの超音波の超強化版と思ってくれればいい。
生捕りにして、いざ帰る!ってなった時に道に迷ったらおしまいだからな。
それにしても広いな。このアジト。
反乱軍はここ最近に結成されたらしいのに、どうやってこんな広範囲の建物を作ったんだろう。
歩きながら展開した空間認識魔法で、地下3階まであることがわかった。
地下には数十人いることが確認できる。
俺らが向かっているのも地下だ。
ボスを守るために勢力を集めていると考えれば、なんら不思議ではない。
こいつらは広範囲の氷結系魔法で一旦固定することにしよう。
あと、念のため魔力探知を常に張っておこう。
そんなことを考えながら歩いていると、仮面の男が足を止めた。
「ついたぞ。ここだ。」
俺は空間認識と解いて辺りを見渡す。
ここが、ボスのいる場所??
ボスはどこだろう。薄暗すぎて見えない。
俺が状況を理解できないでいたその時。
魔力探知に反応。誰かがこっちに向かって魔法を放とうとしてる。
薄暗すぎて全く何も見えないから、空間認識魔法で周囲を確認する。
囲まれてる。やらかした。
「2人とも!警戒体制!俺らは包囲された!罠に嵌められたんだ!」




