【プロットタイプ】退屈させない
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
上手い回答が出来ない人間なので、感想欄閉じてます。
これは読者様の問題ではなく、私の問題。
詳しく知りたい方は代表作の『作品と作者の注意点』に書いてあります。
注意事項2
瑠衣なりの義理と言うか、責任と言うか、まぁそんなのだと思います。
鏡花と瑠衣の関係は、見掛け通りにいくならば、極めて歪で、複雑な関係をしている。じゃれつく鏡花に対して、容赦なく暴力を行うその様は、決して健全とは言い難い。
本日も鏡花の体を座布団にしながら、平然と物を書く瑠衣に向かって忠告を一つ。
「鏡花がDVで訴えたら、鏡花が勝てると思うよ」
「あ、ゆらりぃもそう思う〜? 鏡花ちゃんもそう思う。だから退いて」
瑠衣は其れで聞く耳を持つタイプでは無いので、何時もの様に無視を決め込んでいる。ただ少しの間が過ぎた頃に、わさわさと鏡花の髪を掻き乱してこう言った。
「訴えたければ訴えれば良い。俺は止めない」
鏡花の性格を一言で表すのは非常に難しい。持っている人格が一つでは無い上に、深淵に至って本人さえも知り得ない。だから賽子の出目の様にコロコロと変わる。
だが敢えて言うならば、対照。正反対の二つの物がその身に詰まってると言って良い。禁欲的でありながら快楽的。理性的でありながら衝動的。何方に傾くかは本人のみぞ知る。
そんな鏡花は俺に対して一途な様でありながら、非常に奔放である。無邪気に甘えていながらも、心の奥では他の誰かに目が向いている事も少なくない。
そんな鏡花の一面を端的に表した言葉が本人から出た。
「そのまま留まってるのも良いんだけどさぁ、やっぱ追っ掛けてるのが一番楽しーわ」
狩猟民族の様な言葉。常日頃、放浪を繰り返す此奴らしい言葉。口調や内容的に、かなり深淵に近い側の言葉であった。
これを恋愛にでも置き換えると、その場に縛り付けて『愛してる』だの『お前が一番好き』だのと言われるよりも、追い掛けて、捕まえて、それを言う側でありたいという事だろう。
中身が本人でも分からない。もしかしたら伽藍なのかも知れない。それに気が付くと崩壊してしまう為、無になる事を恐れている節がある。だからこそ追い掛ける事で何もかも忘れたいのだろう。
ならば、それに生涯付き合い続けるのが、俺の義務であろう。どれだけ面倒臭かろうと、鬱陶しかろうと。最初にお前から俺の人生に付き合わせたとはいえ、結婚を切り出したのは此方の方なのだから。
ソファで執筆を行っていると、上から声が降ってきた。
「ねぇねぇ瑠衣たーん、膝の上乗せてよ」
今忙しい。
「ねぇー聞いてる? 愛しい嫁ちゃんが話しかけてるんだけどー」
物書いてんのが分かんないか?
「何時も座布団にしてるんだからさー。良いでしょ?」
「ん」
膝上にあった両手を離すと、嬉々として膝上に乗り上げて来た。そうして体を伸ばしながら、ゴロンとうつ伏せになった。
「今日は素直だねー。偉いぞ。撫で撫でしちゃうっ」
「俺が立ち上がったら、そのままお前は床に転がり落ちると言う事だ」
「ねぇー!! ドSー」
結婚するつもりは無かったが、結婚したら平和で穏やかな毎日が待っていると思っていた。意外とそうでは無かった。が。
ここで良く出てくる『深淵』について。
平たく言うならば『本能』に近い部分。
でも人間って、本能的なものには比較的自覚的じゃないですか。腹減りとか、寝たいとか、子孫残したいとか。
でも鏡花って、そんな本能的な部分に無自覚な気がします。自分でも分かってない。ある時突然、ボロっと出る。
だから『深淵』。自分で覗いて見ても分からないから。
瑠衣の鏡花に対する行い、訴えたら勝てそうな気がして書いた話。まぁ訴えないと思いますけど。
じゃあなんでこんなに塩なの?
瑠衣って身内とか認めた相手には、それなりに優しくない? 諭羅とか、麗衣とか、両親とか、人形とか。
鏡花だけやたらドS対応だよね。
その答えがこの小説。
他の身内にした様にしたら、多分飽きてしまうから。
鏡花は飽き性なんですよ。物凄く。
ずっと同じ様な穏やかな生活を続けていたら、深淵に侵食される。ある日突然、ドッカンする。
だから餌をチラつかせながら、走らせる側の人間が好き。
相手が素っ気なかったら、表面の一途さで何とかなる。たまに飴が与えられるから、深淵の奔放性も満たせる。
という理論。
瑠衣も瑠衣で形振り構わずな人間が好きなので、性に合っているんですよ。
自分が壁や障害になるの好き。それでも追掛けてくる相手が好き。
あと面倒見も良い。
趣味と実益を兼ねたらこんな関係になったという話。
鏡花以外の、瑠衣にとっての『人間』にはとても優しいです。