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在る天使の墓場  作者: ピカイア
第1章
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6話 強制入部、異能力部

「はあ?強制入部?」


翌日の昼下がり。

茂から放たれた突拍子もない言葉に対して、僕は珍しく声を張り上げていた。


「そうだよ、福慧隊長もそういってたじゃんか。」



「言ってたっけ…正直あの時はそれどころじゃなかったからなあ。」



「まあ、確かに。場慣れしてるオレならともかく、能力が目覚めたばかりのエルなら、それもしょうがないか。」


何だか妙に先輩風を吹かせている気がする。

ふう、と一呼吸をつくと、後輩を諭すような口調で言葉を紡ぎ始めた。


「いいか?異能力部ってのは、能力者の生徒たちが、自身の能力を制御・研鑽する目的で作られた部活だ。」


「そして、異能力部は国が公認している部活なんだよ。能力者が必ず入部しなければならないのもそういう事情がある…って福慧さんから聞いたぞ!」


ここぞとばかりにふんぞり返って教えてくれる茂。

でも確かに、能力を制御できない能力者が社会にのさばるようになったら大変だ。たがが部活動と思っていたけど、こういう事情があるなら入部必須というのも頷ける。


「なるほどなぁ…」


「それで、僕はいつから異能力部に入部するの?」



「さすがに昨日の今日とはいかないと思うが……福慧さんも動いているらしいし、もうじきじゃないか?」



「大雑把だなあ…」


いまいち頼りにならない情報に煮え切らないでいると、耳慣れた機械音が割って入ってくる。



         ピンポンパンポン~♪



”2年1組和泉エル君、和泉エル君、放課後生徒会室までくるように。繰り返します、2年1組和泉エル君……”


「おっ。噂をすればなんとやら、だな。」


「えっ、昨日の今日はないって言ってたじゃん!まだ心の準備が…」


「まあまあ、怒られるわけじゃないんだからさ。気楽にいけば大丈夫だって。」


「そうかなあ…」






「確かここだったはず…」


放課後を知らせるチャイムが鳴ると、すぐさまに二階の右奥へと足を運んだ。

普段から東階段で上り下りをしていると自然と生徒会室が見えるので、たどり着くのに苦労はしなかった。


心臓が高鳴るのを感じる。

勿論、高揚ではなく緊張からくるものだ。

一瞬ノックをするのをためらったが、茂の言葉を反芻する。


「気楽にいけば、大丈夫…」


  コンコン


意を決しての扉を2回ノックする。

程なくして、奥から「どうぞー」と柔らかい声が聞こえる。

その声色に少し安心した僕は、ゆっくりと扉を開けた。


「失礼します…」



足を踏み入れてみると、すらりと背の伸びた女性が目に入る。

机が邪魔で全貌は見えなかったが、水色のロングヘアーがよく映えていた。


「おっ、来ましたね。」


書類から目を離すと、こちらの方へと歩み寄ってくる。

…そうだ。この立ち姿、見覚えがある。


「もしかして生徒会長……ですか?」



「はい、そうですよ。ご存知のようで、嬉しい限りです。」


やっぱりそうだ。この人、学校全体でのイベントがある時に前で挨拶してる、あの人だ!


「改めて、自己紹介しておきましょうか。3年2組の冬波瑆帆と申します。以後お見知りおきを。」


その落ち着き払った所作はとても高校生とは思えず、余計彼女が大人に見えた。

こういう人のことをしっかりしてるって言うんだろうな…そう思いながらも、僕は口を開く。


「あの…放送で僕を呼び出したのって、冬波さんですよね。」



「はい、確かにその通りです。」


「そして和泉くんを呼び出した理由……これは、心当たりありますよね。」



「異能力部関連、ですよね。」


「うーん。それもありますが、一番は昨日の事件について、ですかね。」


そう言うと、ぐっとこちらに顔を近づけてくる。

急な距離の詰め方に対し、こちらも反射的に後ずさりをする。


「福慧さんから聞きましたよ。土壇場で能力を発現させ、天から雷を落としたと。」


「たいへん興味深いですっ!!」


「後天的な能力の発現は珍しくないですが、こうして発現した時の状況を、本人の口から聞ける機会は滅多にないんです!是非ともお話を聞かせてください!」


先ほどの落ち着きはどこへやら、興奮した口調でまくし立ててくる冬波さん。

全校集会では、一度もこんな様子してなかったのに…


「あの、それはいいんですけど、異能力部の手続きとかは…」


なんとか落ち着かせようと、話を戻してみたけれど……


「そんなこと、この機会に比べたら些事に過ぎませんよ。後で部長の私が名簿にちょちょいと加えておきます。」


「それよりも、能力が発現した時のことを聞かせてください!当時の体調は?心境は?そもそもどんな能力なんですか?」


この人、能力オタクだったのか……

気づいたときには時すでに遅し、学校が閉まるまで冬波さんの話に付き合うことになってしまった。




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