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在る天使の墓場  作者: ピカイア
第1章
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5話 制圧

「…まったく、こんなひよっこたちをいじめて何が楽しいのかしらね。」


「…福慧隊長?!」



「隊長?茂はあの人知ってるの?」


「勿論。あの人が来ればもう安心だ。オレたちはあの子連れて離れるぞ!」






「福慧翠華…どうしてこんなところに……」


頬を冷たい汗か伝う感触を感じる。

こんな感覚、いつ振りだ…?



「どうしてって…いちゃ悪いの?」


「いやー、大問題だね。お前がいてはこちらの目的が果たせないからね。」


息が張り詰めそうなこの緊張感。加えてさっきのガキのせいで身体が思うように動かない。


ここから逃げおおせるには………


「おら!くたばれや!」



     ドドドドドッッ!!



僕はなりふり構わず、残りの銃弾を発砲する。

今のうちにこの場から脱出を……


「……私の相手をするのに、"その程度の"武器じゃあ、心許ないわね。」



「マジか……」


くそっ、生身で弾きやがった…

有り得んのかよ、こんな事…!


「さて、捕まる覚悟はできたかしら?五体満足でいたいならこれ以上抵抗しないことをお勧めするけど。」


一歩一歩、ゆっくりと迫る福慧。


「へへ…それで「はいそうですか」と言うようでは悪役は務まら…ふぐっ?!」


「それは残念。じゃあ、少し痛い目見てもらおうかしら。」


「が…っ、はっ…!」


おも…っ……!

何だよコレ…ただの打撃じゃない…!

いき、息が…続かない…


だが……


「くくっ、間一髪ってところか……」


「これは……鏡?」


福慧の眼前には、底なし沼にはまっていくかのように鏡に吸い込まれていく、ゲシュの姿があった。


「させるか!」


即座に鏡を叩き割る福慧。


「ちっ…逃した。」


一歩遅く、ゲシュは鏡の中へと姿を消していた。

そこにはただ、散らばった鏡の破片だけが、夕日を反射してまばゆく輝いている。


「ひとまず、茂たちと合流しましょうか。」







「福慧隊長!さっきはありがとうございます!」



「まったく、情けないわね。NDFの隊員ともあろうものがあんなのにのされちゃうなんて。」


「やっぱり能力の使い方がまだまだね。こりゃあまた私との特訓コースね。」


「げっ!またあれですか……」


茂の背中をバシバシとぶっ叩く福慧さん。あんな勢いで叩いて、背中壊れないのかな…


「っと、話が逸れたわね。」


「それで、連絡にあった被害者2名の容態は?」



「はい、どちらも傷こそありますが重症ではありません。」



「そうか、大事に至らなくて本当に良かった。」



「そしてもう一人、私が感謝しなければならない人がいるわね。」


そういうと、福慧さんは振り向きざまに僕の顔を見る。


「あなたでしょう、さっきの雷は。」



「は、はい…!といっても、自分でもよく分からなかったのですが…」



「ありがとう。あなたがその勇気を出してくれなかったら、私は間に合わなかったかもしれないわ。」


「いえ、とんでもないです…」



「いや、とんでもないことよ。あなたは今、3人の命を救ったの。」


「守るってとても難しいことなのよ。ただ力があればいいってものじゃないからね。」




「しかしあなた、話を聞くに能力に目覚めたのは最近の話かしら?」



「最近というか、ついさっきですね。僕もまさか自分に能力があるなんて知りませんでした…」



「能力を発現したての頃はみんなそんなものよ。どれだけ強い能力だって、使う機会がなければないも同然だからね。」




「…しかし、そうなると異能力部の手続きをしなきゃね。通ってる高校は茂と同じ?」



「高校ですか?確かに茂と同じですけど……そもそも異能力部というのは一体」


「まあまあ、それは入ってみてのお楽しみってやつね!」


「安心しなさい、事務的なことは私がしておくから。あなたは思いっきり青春を楽しみなさい!」


「そういえばあなた、彼女とかいるの?いないなら今のうちに恋愛しておきなさいよ、私みたいな年齢だと結婚なんて「ちょっと、隊長!」」


なにやら恋愛事情について熱弁を振るう福慧さん。僕が戸惑っていると、茂が静止に入る。


「エルは隊員じゃないんですよ。いつものうざ絡みはやめてください。エルがテンパってるじゃないですか?!」



「…あらそう?それは失礼。ついアツくなっちゃったわ。」


「それじゃあおばさんはここら辺で失礼するわ。異能力部の活動頑張ってね~」

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