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真佐江(40)の最後の秘密~闇の力が目覚めてしまったので、こうなったらてっぺん取ってみようと思います。さあ、俺のタマをとりたいヤツからかかってこいや! 返り討ちにしてやんぜ!~  作者: イトウ モリ
2章 美緒(13)の誰にも言えない秘密~自分の中に眠る悪女の血が目覚めてしまいました。どんな手段を使ってでも推しをゲットするつもりです~
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美緒 2-9



 母のようにまっすぐに、嫌なものは嫌だと、許せないものは許せないとはっきり口に出す強さが欲しかった。


 思ったことをただ素直に口に出しているだけなのに、母の言葉は人を傷つけなくて、自分の言葉は人を傷つけると言われてしまう。


 その違いがどこにあるのか、どんなに考えても答えが出なかった。


【あは、なんか分かるかも。

 僕の彼女もね、普段すごく落ち着いてる人なのに、仕事の愚痴を信じられないくらい饒舌に語るときがあってさ。きっと爆発しかけてたんだろうね】


 妙に人間らしい雰囲気で機械音声が笑った。


「えー! AIのくせに彼女持ちの設定? なにそれ! 芸が細かい!」


【失礼だなあ、僕に恋人がいたらおかしい?】


「だってAIなんでしょ? なに? 彼女が登場するとラブラブモードとかにでもなるの?」


【えーあい? ……ああ、そういうふうに思ってたんだ。

 僕は人工知能じゃなくて普通の……って言ったらちょっと違うんだけどヒトだよ。自己紹介がまだだったね、僕はキリルって言うんだ。よろしくね、野良聖女のミーシャさん】


「野良聖女? ひどっ! いきなり毒舌キャラ?」


【違う違う。ステータス見て。さっきのやり取りで【聖女見習い】から【野良聖女】に変化したんだ。事実上のステータス降格だね】


「えー! やだ最悪! もう聖女はいーんだって! 悪役令嬢にジョブチェンだってば!」


【なら課金する? でもまだチュートリアル途中だから、どっちにしてもチュートリアルを完了しないとどうにもできないけど。セーラ様に謝りに行く?】


 あんな暴言を吐いて、今更もう一度チュートリアルをやり直させてくださいとは言えない。


「あーもう! 我慢してチュートリアルだけでも完了しとけばよかった!

 本当にパパの言うとおり、口は災いの元だわ!」


 大げさに頭を抱え、ミーシャは大きく頭を振った。


 キリルとの話に夢中で、まわりをよく確認していなかったのが災いした。

 ミーシャはあまり素行の良くなさそうな冒険者のグループの一人にぶつかってしまった。


「あ、ごめんなさい!」


「あん?」

 男は品定めするようにジロジロとミーシャを値踏みする。


(あ、これヤバいやつらだ……)


 瞬時に本能が察する。しかしここはゲームの中だ。いきなり町中で人間相手に戦闘なんか起きるわけが――。


 毛むくじゃらの太い腕が伸び、ミーシャの細い手首を乱暴につかんだ。


「いててて! あー痛てえなあ。さっきの衝撃で腕が折れちまったなあ。手当てしてもらわなきゃだなあ」


 舌なめずりをしながら、ミーシャの体をいやらしい目つきで見ている。


(戦闘は発生しなくても、アダルトモード発生の可能性はアリなの――っ!?)


 ミーシャの背中が粟立った。


 このままどこかに連れ込まれて、男性向けのえげつない広告漫画のような目に遭わない保証はない。

 ミーシャの血の気がひいた。

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