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真佐江(40)の最後の秘密~闇の力が目覚めてしまったので、こうなったらてっぺん取ってみようと思います。さあ、俺のタマをとりたいヤツからかかってこいや! 返り討ちにしてやんぜ!~  作者: イトウ モリ
2章 美緒(13)の誰にも言えない秘密~自分の中に眠る悪女の血が目覚めてしまいました。どんな手段を使ってでも推しをゲットするつもりです~
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美緒 2-6



 AIアナウンサーが原稿を読んでいるニュースを見たことはあるが、そのうちAI声優とかも出てきそうな気配がする。


 ミーシャが機械音声の演技力に感心していると、聖女の親玉であるセーラがカツカツとヒールを鳴らして目の前に立った。そしてミーシャを威圧的に睨んだ。


「随分と品格の低そうな方が混ざり込んでいたものね。それでも貴女(あなた)、女性のはしくれ?

 その言葉遣い、品格の欠片も感じないわ。恥ずかしいと思わないのですか?」


 しかしミーシャは、その鋭い視線を負けじと睨み返す。

 こんな女の睨んだ顔なんか、母に比べれば幼稚園児の膨れっ面と同レベルだ。1ミリも怖くない。


 わざとおどけてバカっぽい喋り方をして(あお)ってやった。


「えー! ごめんなさーい♪

 正直ー、私が男だったらー、こんなお高くとまった女ってー、ちょっと無理かなーって思っちゃってー。いまどきこんな女の子絶対モテないしー。時代に合ってないっていうかー。

 そもそもセーラさんもー、全然聖女が似合ってなくてー。絶対に悪役令嬢向きな気がするー!

 もうみんなで聖女コースやめて悪役令嬢やりましょうよー。そっちのほうが楽しいですよー」


 セーラが冷たい表情でミーシャへ言い返した。


「私はこの世に生を受けたその時より、聖女としての責務を授かりました。

 (みな)が私を大切に思い、そして支えてくれます。私は自分の欲望で役割を放棄するつもりはありません。それは民に対する裏切りです」


(わー……すごーい。この人、超キャラ作りこみすぎじゃなーい? 引くわー……)


 心に浮かんだ言葉はひとまず飲み込んで、美緒は素朴な疑問を投げかけてみた。


「でも別にそれってー、セーラさんだから大切に思われてるわけじゃなくてー、『聖女』だから大切に思われてるってことですよねー?

 じゃあこんなに聖女増やしちゃったらー、セーラさん、必要とされなくなっちゃうじゃないですかー?」


 目に見えてセーラが動揺したのが分かった。

 ミーシャはたたみかけた。


「あ、わかった! 実は彼氏ができたから聖女辞めたい的なやつだ! あるある展開だよねー、それ。

 だよねだよねー、聖女って絶対キャラ的に恋愛禁止っぽいもんねー。

 あれでしょー? もうその他大勢の聖女としてじゃなくてー、好きな彼氏だけの聖女でいたいんでしょー? それわっかるー! 聖女だとか聖女じゃないとか関係なくてー、そのまんまが好きだよって言ってくれる彼氏がいいよねー!

 でも心配だよねー、聖女辞めたとたん、聖女って肩書きに近づいてきた男だった場合、関係が終わっちゃう可能性もあるわけでしょ? 

 その点、悪役令嬢だったら悪役って最初からフラグもついてるし、もし途中で実は悪役じゃなかったとしても……」


 セーラが低い声でミーシャの言葉を遮った。


「……黙りなさい。聖女を増やす必要があるのは、悪との戦いが目前に迫っているからです」


「戦い? 聖女がバトルに参加するの?」


 聖女が先陣切って戦いに出撃するラノベなんかあっただろうか。

 だとしたら自分よりも母の方が食いつきそうだ。


 ミーシャは屍の山の上で勝鬨(かちどき)をあげる聖女な母を想像してみて……吹き出しそうになった。

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