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真佐江(40)の最後の秘密~闇の力が目覚めてしまったので、こうなったらてっぺん取ってみようと思います。さあ、俺のタマをとりたいヤツからかかってこいや! 返り討ちにしてやんぜ!~  作者: イトウ モリ
2章 美緒(13)の誰にも言えない秘密~自分の中に眠る悪女の血が目覚めてしまいました。どんな手段を使ってでも推しをゲットするつもりです~
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美緒 2-3



 某日、土曜日。AM 10:18


 異世界体験~for Ladies~に入った美緒たちは、ラグジュアリーな内装にはしゃいだ。


 店内は『~for Ladies~』なだけあって、外見上は女性に見える客しか見当たらない。


 ひやかし目的や、「心は女性だ」などと心にもない嘘を公言するような、ただの出会い厨がいる可能性も考えて少し緊張していた美緒だったが、今のところはそんな雰囲気もない。


 受付ロビーの雰囲気だけで、美緒たち一行は大はしゃぎだった。


「ヤバくない? めっちゃいい匂いする! アロマかな?」


「内装めちゃかわ! インスタあげよインスタ!」


「あ、待って。店内撮影禁止って貼ってある。違反者は永久出禁っぽいよ」


「は? うっそ! いまどきインスタで宣伝しないなんてありえなくない? なにそれ!」


「予約時間すぎるとキャンセルされちゃうよ。早く手続きしよ」


 慌ただしく受付端末の前に並ぶ。


 スマホの予約コードを受付端末にスキャンすると、部屋番号の印刷された紙が出てきた。


 完全に無人対応だ。


(回る寿司屋みたい……)


 美緒はそんなことを思いながら、友人たちと該当の番号のボックスに向かった。


 ボックスは1人用なので、友人たちとは別の部屋になってしまう。

 個室にはちゃんと鍵がかけられるのを確認して、ほっと安心する。


 VRゴーグルやヘッドホンをつけている間に、誰かが個室に侵入してきたら気づけない。


 クラスの男子がネットカフェを利用していたら、ブースを間違えた酔っぱらいが乱入してきて怖かったと話していたのを聞いたばかりだ。


 念のためドアに貴重品を抜いたバッグを置き、すぐにドアが開かないようにする。

 さらに隣には日傘を立てかけておき、ドアが開いたら倒れるようにしておく。


 これならもしドアを開けられたときでも、きっと気づけるはずだ。


 美緒は別に、自分のことをとりたてて美人だとか可愛いとは思っていない。

 しかし犯罪を未然に防ぐ習慣は両親からみっちりと叩き込まれている。


 誰かを襲うタイプの犯罪者で、相手に特定の恨みがない場合――、

 手間をかけずに襲えるか。

 自分が容易に犯行を行えるか。

 そういうことがターゲットの判断基準になるらしい。


 だからひと手間もふた手間もかけて、自分を選択肢から除外してもらう。

 誰でもいいのであれば、そこに自分は入れてもらわなくて結構だ。

 というより、絶対に断固として入りたくない。


 ざっと身の回りの設備を確認する。


 白やピンク、レースなどを基調としたいかにもプリンセス仕様の個室だ。


 バッグから抜いた貴重品は自分の膝の上にのせる。

 VR体験用のゴーグルやヘッドホンを装着すると、美緒は眠りに落ちる時のような感覚と共に真っ白な世界に誘われた――。



(わ、すご。VRってこんな感じなんだ! 超リアル!)


【名前を決めてください】


 落ち着いた低めの機械音声が聞こえた。


(んっふっふ~、もう決めてきたんだ〜)


 美緒はアーニャと入力し、確定をしたがエラーになった。


【申し訳ございません。ただいまその名前は利用が集中し、現在使用することができません】


「がーん!」


 ショックのあまり効果音を口から発する美緒。

 仕方なく第二希望を入力する。一文字変えてミーニャだ。しかし再度エラーになる。


「ががーん!」


【申し訳ございません。現在〇-ニャという名前の利用が集中し、混乱を避けるため現在利用を制限しております】


「……チツ、流行に乗っかることしかできない思考を停止した愚か者どもの群れが……」


 小さく毒づいた美緒の声をしっかり拾って、機械音声が反応した。


【それはブーメラン発言と呼ばれるものですね】


「うわ! まさかのツッコミきた! ここのAIすごっ!」


【おそれいります】


 チャットAIの技術革新の話は父から聞いていたし、自分でも友達とAIに質問して遊んだこともあったが、実際に会話してみると感動する。


 本当に人間と会話してるみたいだった。

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