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“歓迎”パーティー(3)


 

 えぐ。

 それはちょっとエグすぎるんじゃないでしょうか?

 オルドンス氏が見る見る顔を真っ赤にして怒っていく。

 こればかりはオルドンス氏を応援したくなっちゃう。

 

「化け物め……!」

 

 ぐにゃりと元の姿に戻ったデュレオがクスクス笑う。

 俺から見えないだけで、さそや邪悪な顔で見下して嘲笑ってるんだろうな。

 

「まあ、そもそもお前らが生きてここから出られるかわからなくなってるけどね。傲慢な人間の心が折れるところを見るのは楽しいから、俺はどっちでもいいけど」

「っ! こ、殺せ!」

 

 ついに号令を出したオーガスタに、引き金を引く兵たち。

 この人たち……宇宙連邦の偉い人たちは戦闘記録とか見てないんだろうか?

 銃声は聞こえるが、一瞬で兵たちが結晶化してしまったのに驚愕している。

 俺の横にいた者たちもだ。

 さらさら崩れて地面に消えてしまった彼らは、あまりにも無駄死にで可哀想でならない。

 せめて世界の礎になってほしい。

 

「ラウト、他の者も拘束して」

「了解した」

 

 俺が頼むと左手の人差し指を天井に向けてクイっと上げる。

 それだけで招待客の合間に点在していた()()()()()()()()()()()()()兵たちも、鉱石結晶の中に閉じ込められた。

 近くにいた兵に気づかなかった貴族は驚いていたが、気づいていた貴族はほっと胸を撫で下ろしている。

 

「くっ! なんだこれは!」

「どうなっている!」

「わ、我々にもわかりかねますが……魔法、か?」

「いや、加護だよ。ルオートニス王家の者には戦神の加護がついている。攻撃した者は瞬く間に結晶病に全身を侵されて、世界の礎になるんだ」

「なっ」

 

 ルーファスたちに八つ当たりしているけれど、ルーファスたちだって王家に付与された戦神の加護のことは知るまいて。

 

「とても残念です。惑星連邦の方々は平和を望んでおられるようですが——」

 

 と、隣室に残ったままの宇宙連邦各惑星勢力の代表たちを見る。

 十二の勢力中、八つの勢力といわれた火星、水星、木星、金星に二つずつあるコロニーの代表たちらしく、彼らは自分たちの生活で手一杯なので宇宙連邦に加盟はしているが興味は薄いらしい。

 ただ、寿命やエネルギーの問題は他人事ではないため、代表者を派遣した、という感じなんだろう。

 それなのに中央の奴らがこんな勝手な真似をして、迷惑だろうなぁ。

 ルーファスたちもなにも聞いてなかったんだろう、同じくあわあわとしている。

 

「ルーファスたちはどうしたらいいと思う?」

 

 一応俺からルーファスたちに希望を聞いておこう。

 この落とし前どうつける? って、いうのはさすがにルーファスたちに聞くには重すぎるけど。

 

「っ……わ、我々は宇宙連邦の人間だ。宇宙連邦の意思に従う。だが……」

「まあ、そうだよね。ごめんね、答えづらいこと言わせて。では一応ルーファスたちも拘束させてもらうね? いい?」

「ああ」

 

 近くの警護兵に手をあげて、ルーファスたちのことも拘束させてもらう。

 隣室にいた惑星コロニー代表者たちも。

 

「多分彼らはなにも知らなかっただろうから、丁重に扱って。ルーファスたちは彼らの護衛含めて一緒にいてくれる?」

「わ、わかった」

「で、オーガスタ様方はアレかな? 本当に本物かな? 影武者を派遣したとかそういうのではない?」

「え?」

 

 偉い人間のやることなので、そのくらいするかと思ったのだが、ルーファスたちは驚いた顔をしている。

 そういうのはないのかな?

 

「じゃあすぐ殺していいか?」

「ちょっと慎重になろうか?」

 

 もう殺る気満々だろうな、とは思ってたけどラウトさん、殺すのは待ってほしい。

 全然赤の他人の化けた姿だったら、やはり本人に責任をとってもらわねばならないので彼らは“証拠品”になるのだ。

 剣を抜いた騎士たちが囲み、すっかり立場の逆転したお偉方の睨みは小物すぎて可哀想。

 

「くうっ……た、タダで捕まるものか!」

 

 そう言ってオーガスタ氏が懐から拳銃を取り出した。

 やめときゃいいのに、デュレオに向かって引き金を引く。

 いや、引こうとした。

 本人は引いたと思っただろう。

 ボキッと小気味良い骨の折れる音と、それなりの質量の男が地面に叩きつけられる音がしてオーガスタ氏はシズフさんに制圧される。

 痛そう。

 

「ぐぁぁぁっ!」

「シズフ〜、拳銃程度じゃ俺は死なないって」

「知っている」

「……」

 

 まんざらでもな表情じゃん、デュレオ。

 よかったね。

 

「人の肉の感触がしなかったな」

「サイボーグかなにかみたいだな。ヒューマノイドの技術が使われてるんだろう。興味深いな。一体くらい俺に寄越せよ、王太子」

「えー、証拠保全が終わってからでいいですかぁ?」

「仕方ないからそれでいい」

「サイボーグは医療技術分野も注目していた技術だな。俺もほしい」

「わ、わかりました」

 

 ファントムの見立てだとサイボーグらしい。

 えー、全然わからんねぇ。

 やっぱり千年後の宇宙の技術はすごいなぁ。

 それがほしいファントムとディアスに言われたので、このうちの二体は引取先が決定してしまった。

 まあ、おっさんのサイボーグとか持っててもねぇ。



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