表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
324/386

ルーファス・カナタ(1)

 

 特に俺の推し進めていた事業には魔法が必要なものが多いから、彼らは多大な貢献をしてくれているそうだ。

 城の中にも優秀な平民が一気に増えたらしく、文官武官に限らず土地が増えたことによる仕事の倍増にも対応。

 父上は城で働く平民には官僚として爵位を与えて、少しずつ貴族も増やしていく方針らしい。

 さらに学院には俺の卒業後も貴族が平民に対して、お茶会で給仕のアルバイトをさせるのが当たり前となっており、貴族は労力、平民は給金を得られるとWin-Win関係が完成。

 さっぱり貢献した記憶のない学院生徒会では、平民に杖の素材を提供するのが権威の証となっているらしい。


「ヒューバート様が学院に残した偉業ですよ!」

「エ、ア……ソ、ソウナンダァ……」


 俺の知らないところで俺の偉業になっている件。


「そ、それなら土地も増えるし、学校を増やしてもいいかもね。そんなに優秀な平民が増えたなら、東西南北の主要都市から、平民限定の学園を国立運営で建てようか。そうすればもっとたくさん優秀な平民が、仕事を手伝ってくれると思うし」


 そもそも貴族が圧倒的に足りない。

 ミドレ公国がルオートニスに吸収されたところで、そもそもミドレは首都しか残っていなかった状況だ。

 ミドレはミドレで土地を納める貴族不足が超深刻。

 ハニュレオも同じだろう。

 平民から貴族に召し上げるのなら、貴族と同等の教養を持つ平民を増やさなければ。

 そして、それならば学校を増やせばよくない?

 義務教育は、俺が前世で「勉強嫌い。義務教育うぜー」と思ってたからどうかと思うけど、平民で学びたいという人は、結構多いんじゃないんだろうか。

 子どもを労力として頼っているところは大きいが、宇宙の技術を取り入れられれば労働力をドローンなどに頼れるかもしれない。

 手始めに主要都市だけに国立学校を建てて、様子を見てみれば——。


「天才か?」

「す、素晴らしいお考えです、ヒューバート様!」


 ディアスとレナは俺を持ち上げすぎではなかろうか?


「いや、千年前は普通だったんじゃない!?」

「軍学校が普通だった」

「平民が勉学だけ学ぶような学校、共和主義連合国軍の田舎にしか残ってなかったよ」

「ヒェ……」


 ラウトとデュレオの援護がえげつなさすぎん?

 じ、時代というやつかぁ?


「うんうん、いい考えですね。帰ったら企画書作りましょう。わたくしめも手伝いますよ」

「ひぃ、リーンズ先輩!?」


 まだいたのかこの人。


「殿下のお考え、とても素晴らしいです。それで、いかがでしょう? 植物専門科……などの学科を設立してみては」

「学科……専攻を作るってこと? あ、いいかもしれませんね」

「そうでしょうそうでしょう! やはり専門家の母体数は大いに越したことはありません! わたくしめも、植物の有用性を語りあえる友がほしい……!」

「……そ、そうですね……」


 リーンズ先輩が孤独に耐えられなくなっている……!

 そうだよね、石晶巨兵(クォーツドール)のことも、なんだかんだ専門外だもんね……。

 果たしてリーンズ先輩に友達ができないのはそれだけが理由なのかな?って思わんでもないけど。


「では医学部と薬学部も!」

「機械科学部! プログラミング部! 兵器開発部!」

「ハードル爆上げしすぎでしょう!? 検討する時間をください色々! ファントムのは後半不穏だから却下!」


 専門科設置は人気が出そうだから細分化してもいいかもしれない。

 でもまあ、父上や母上にも相談してからだな。

 レオナルドは在学しているし、学生の声も聞いてみたい。

 魔法専攻や剣術専攻——あるいは魔法師、騎士専攻という名称にしてもいいか。

 そういうファンタジーっぽいのもいいよなぁ。


「おい、そろそろ拘束を解いていいか?」


 ラウトが呆れたようにギア・マレディツィオーネのパイロットの拘束についてディアスに聞く。

 そういえば固めたままだった。


「ところでこの人、名前名乗った?」


 ギア・マレディツィオーネのパイロット、と呼んでいたがいちいち長い。

 ファントムならパイロット情報とか引き出せてる?


「パイロット情報として引き出せているものとして、名前はルーファス・カナタ。歳は18。宇宙連合国大和(タイワ)国出身。ギア・マレディツィオーネ四号機『ゼッカイ』のパイロット。血液型はA型で身長は170センチ、体重57キロ。大和(タイワ)水星コロニー第八エリア軍事学園首席で卒業。宇宙連合軍地上制圧作戦部隊『ストーリー』のリーダー。……だったかな」

「っ……なぜ、そこまで……!」


 ゆっくり沈み消えていく拘束用の結晶。

 ラウトは相変わらず不服そうな表情。

 ファントムが暗記していた内容は、ギア・マレディツィオーネのパイロットの個人情報。

 怖すぎる。


「ルーファス・カナタか。で、どう? 本物の神を間近で見て、その力をその身で経験してみた感想は」


 神なんていない、と豪語していたが、ラウトの力は経験してしまっただろう。

 若干俺としても思いも寄らない形で経験させてしまったが。


「……どうせ地上人のわけのわからない力……魔法の一種だろう!」

「最初に言っておくけどラウトは荒神だ。俺の提案は聞いてくれることもあるけど、絶対ってわけじゃない。怒りっぽいし、容赦もない。君の同僚をPTSDで精神病棟に入れちゃったのもコイツ」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【宣伝】

4g5a9fe526wsehtkgbrpk416aw51_vdb_c4_hs_3ekb.jpg
『転生大聖女の強くてニューゲーム ~私だけがレベルカンストしていたので、自由気ままな異世界旅を満喫します~』
詳しくはホームページへ。

ml4i5ot67d3mbxtk41qirpk5j5a_18lu_62_8w_15mn.jpg
『竜の聖女の刻印が現れたので、浮気性の殿下とは婚約破棄させていただきます!』発売中!
詳しくはホームページへ。

gjgmcpjmd12z7ignh8p1f541lwo0_f33_65_8w_12b0.jpg
8ld6cbz5da1l32s3kldlf1cjin4u_40g_65_8w_11p2.jpg
エンジェライト文庫様より電子書籍配信中!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ