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対策会議(1)

 

 頭を抱えた。

 場所は城の会議室。

 そこには俺と父上、宰相ルディエルとその息子、ランディ。

 ランディの兄で騎士団第一部隊隊長の長男ゲイルと、副隊長のエリンケ。

 ディアスとラウトとナルミさん。

 なお、シズフさんもいるにはいるけどソファーでデュレオと共に爆睡している。

 デュレオって寝るんだぁ……。

 っていうかなんでデュレオまで寝てるんだ?

 あの二人が仲良く寝てるとちょっと怖いな。

 そして、ジェラルドとミレルダ嬢もいる。

 ファントムのしごきであくびをするジェラルドを、ミレルダ嬢が「しゃんとしなさい」と叱っている。

 婚約後、どうなったかと思ったが結構仲良くやってるみたいだ。


「ヒューバート、ファントム殿は?」

「現在研究塔で鹵獲したギア・マレディツィオーネを解析中です。四肢を欠損した状態ですが、部品はほぼすべて回収しているので修繕も可能だろうとのことでした。ただ、コクピット……操縦席も破損しているというので、データをどこまで吸い出せるかは不明瞭とのことです」

「ふむ……機械科学の類は私にもよくわからん。お前にすべて任せよう」

「わかりました」


 父上も魔法には精通しているが、科学はこの時代だと旧文化……考古学の部類だ。

 書類をいくつか手渡され、それに目を通しながらまた頭を抱えてしまう。

 本当、ひどいタイミングだよ。

 五日後には俺とレナの結婚式である。

 が、セドルコ帝国帝都の帝城真上に件の衛星兵器が落下したという報が入った。

 被害は今も全容がわからず、皇帝候補たちの生存は絶望的ではないかと言われている。

 ただ、ディアスとナルミさん、ファントムは宇宙の者たちが落下を感知し、避難させている可能性も高いという見解。

 ただ、ラウトの権能を盛大に見せつけたことと帝都への直接攻撃でセドルコ帝国は立て直しに時間がかかるだろう。

 そもそも宣戦布告の正式な書状はこちらに届いていない。

 それでも正式に宣戦布告してきたことは間違いないので、セドルコ帝国の帝都を攻撃したのは一応こちらの正当性がある形となる。

 なにより正式なルオートニスへの宣戦布告に、ハニュレオとミドレ公国、西方諸国がアップを始めたと聞いて震えた。

 とりあえず宥めるメッセージは出したが、ハニュレオのブチギレ具合がヤバいらしい。

 一度訪ねて直接鎮静化させないとソードリオ王とマロヌ姫では抑えきれない、とスヴィア嬢が必死の形相で叫んでた。通信先で。怖すぎる。

 帝都が落ちてるのに、それはもう死体蹴りなんだよね!


「えーと……で、新しく捕虜にしたトリア・メッシュくん、16歳の様子はどうなのかな」

「怯え切って対話は無理だな、今は」

「ラウト〜」

「フン」


 ディアスに捕虜となったトリアの体調を聞くと、食事と睡眠も無理なほどのPTSDになっているらしい。鬼かな?

 一応戦神としているけど、荒神であることをまざまざ見せつけてきますね。

 本当に可哀想に……。

 せめてシズフさんが相手ならば、苦しむ間もなく名誉の戦死だっただろう。

 今更ながら、ラウトが味方でよかった。

 そして、千年前にこのラウトと敵対していたディアスが、記憶を失っていた若返ったラウトと初めて対峙した時の警戒っぷりの意味を、しみじみ納得してしまう。

 そりゃあこんな性格の敵がひょっこり現れたら一瞬で臨戦体制になりますわな。


「ぶっ壊しすぎなんだよなぁ、クソが」


 と、会議室に入ってきた長身の男に、室内を護衛していた騎士たちの表情が固くなる。

 顔の上半分に装着してある薄葉甲兵装(ウスハコウヘイソウ)のゴーグルが、この時代にはひどく異質なので仕方ない。


「ギア・マレディツィオーネだっけ? データの吸い出しはできた? ファントム」

「60%程だな。だがまあ、機体の全体的なデータは前に鹵獲した戦艦にあったものと照合できた。ブレイクナイトゼロから戦闘データも取れているし、ギア・フィーネとイニーツィオがマレディツィオーネってのに遅れをとることはないな」


 ああ、あえて今ギア・イニーツィオとギア・マレディツィオーネからギアを外して呼んだな。

 ファントム、謎のプライドである。

 しかし、やはりギア・マレディツィオーネはギア・フィーネほどの性能はなかったかぁ。

 ファントムに開発を頼んでいるギア・フィーネ六号機、七号機、八号機の代わりにならないか、少し期待したんだけどな。

 やはり難しいな。


「ただ面白いことがわかったぜ」

「面白いこと?」

「今回鹵獲したのはマレディツィオーネの五号機。で、この機体の搭載兵器がブレイクナイトゼロとほぼ同じなんだわ。模倣品だが、大した再現度だぜ。胸部電子融解砲までここまで再現できていると、宇宙の科学水準が俺が思っていたより進歩しているようで研究のし甲斐がありそうだ。単身で宇宙に乗り込むのも面白そうだな」

「え、やめてね?」

「作業がひと段落ついたら考えるわ」

「やめてね?」


 やりそうなんだよなぁ! この人ぉ!

 前科があるしぃー!


「だがパイロットの質は微妙だな。身体能力そのものが高くなければ乗れない反応速度なのに、これでギア2のブレイクナイトゼロにボコボコとは……実戦経験が乏しいだけじゃなくて、訓練方法にも問題がありすぎじゃねーの?」




小ネタ


ヒューバート「それにしてもディアスってファントムやナルミさんにも認められる天才だったんだなぁ」

ディアス「俺よりも頭のいい者はたくさんいると思うのだが、なにを以て天才などと決めるのだろうな?」

ファントム「少なくとも俺はお前と戦いたくないわ」

シズフ「俺も嫌だ」

ラウト「千年前、お前が登録者になったのが一番最後で本当によかったと思っている」

ディアス「散々な言われような気がする」

ヒューバート「他の登録者たちからの脅威度が高い」

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