これからの世界を考える
怖くない? ヤバくない?
自分の脳みそ巨大化させてエンジンの中に入れるってなに?
脳みそが入ってるのに、あのエネルギー出力とかもどうなってんの?
「つまり結論から言って——ギア・フィーネは造れるのか?」
「簡単ではない。特に中身」
「脳か」
「それと、プログラム。王苑寺ギアンが自分の脳を使って登録者とギア・フィーネを操作していると思うと、登録者の脳波に影響するのを取り除くとおそらくギア上げができなくなる。新たに組み直すにしても、誰の脳を使うかでプログラムの難易度が桁違いになるだろう。ギアンと同等の脳っていうとお前だけどな」
「そんな怖いことに加担したくない」
ちらり、と脳細胞の提供をディアスに打診して振られるファントム。
いやでもこれはほんとにディアスがそれはそうだと思うよ。
脳細胞を一部でも取られて培養し、肥大化させるとか聞いただけで吐き気がするよ。
「あと単純に時間がかかるんだよなぁ。二機か三機造るって簡単に言ってくれるけど、そもそも中身に関しては俺の推測の域を出ない。中身確認したわけじゃねぇし」
「む、むう」
「それに脳細胞を採取して培養するのに数年かかる。さらにそれを肥大化って、設備も相当維持費も研究費もバカにならない。誰が負担するんだよ、場所は研究塔を使うにしても」
「うっ」
ファントムのど正論が耳に痛すぎる。
でも、それが世界を救うのに必要なら……!
「俺がお金を出すよ」
「ヒューバート!?」
「ヒューバート様!?」
ラウトとレナに驚いた声を出されたが、「世界のためなら仕方ないよ」と頷いてみせる。
このままでは、世界が滅びるのだ。完全に。
他に方法が思いつかないなら、可能性が高い方に賭けるのは当然じゃないか。
「ただ、脳みそはちょっと……。俺そんなに頭よくないし」
「お前はそもそも脳細胞候補に入ってねーわ」
辛辣!
「…………。脳だったら私が用意できるよ」
「ナルミさん!?」
「地下にある残り三体を使えばいい。元々可動式人型量子演算処理システムとして完成させたヒューマノイドだ。加工済みだから多少の調整で済むだろうし、脳波波形はパイロットに合わせられる。ギア上げはお前が調整すればできるようになるだろう」
「他にもあったのか。……ふむ、とりあえずモノを見てからだな」
「「え」」
これにドン引きしたのは俺とディアスだけではない。
ナルミさんとファントム以外、デュレオとシズフさんまでもドン引き。
特にラウトとデュレオの表情よ。
隠すそぶりもない。
「あとはシズフ・エフォロンが吐く結晶魔石を三十個ほど集めて使えば……いや、大きさにもよるな。人間一人が吐く大きさってことはもっと必要になるか?」
「ッッッ」
シズフさんがドン引きしてる……!!
あのシズフさんが!
「ご先祖様〜! シズフさんの結晶魔石は石晶巨兵にも使いたいで〜す!」
「試作機作るからしばらくこっちに回せ。つーか、ジェラルド、テメェはしばらく俺を手伝え。メンテナンスのやり方を徹底的に教え込む」
「ヒェ」
ああ……ジェラルドは整備が適当でダメ出しされてたもんなぁ。
でも、これから石晶巨兵は数を増やしていかなければいけない。
でも、そうなると世界のエネルギー生産力とのバランスが難しいんだよなぁ。
クレアと密に連絡を取り合えたらいいんだけど、あの場所に行けるのはギア4に到達した時の一度だけ。
デュレオとクレアってテレパシー的なの使えない?
使えたらデュレオがクレアを探してほしいなんて言わんか。そうか。
「あと鉄! 鉄もっと持ってこい。加工して整備用ドローン増やすわ」
「お手数をおかけいたします……」
エアーフリートの中にいたやつらかぁ。
めちゃくちゃ頭抱えられてしまった。
ファントムにはしばらくギア・フィーネの製造より、ギア・フィーネと石晶巨兵のメンテナンスをお願いいたします。
「——あの、ヒューバート殿下」
「ん? なんだ? ランディ」
「先日ディアス様とラウトに相談になっていただいた件なのですが、本日殿下に見ていただこうと思って持ってきたのです。ここで見ていただいてもよろしいですか?」
「え? あ、ああ。そういえばなんかお土産があるって言ってたよな。どれ?」
「これです」
と、ランディが出してきたのはSFっぽいゴーグル。
おや? どこかで見たことがあるゴーグルにとてもよく似ておりますね?
思わずディアスとラウトを見たら、こくりと頷かれた。
マジか!
「バァッ——!? そ、それは薄葉甲兵装!? しかも千年前に製造された現物……うおおおおお!? しかもスヴィーリオ・イオ専用機じゃねぇかあああぁ!」
「うわぁ!?」
俺を押し退けて真っ先にランディの手元の“遺物”に食いついたのはファントム。
え? な、なんて?
めちゃくちゃ大興奮している?
「やばい、なんだこれ、超スゲェ!」
「……兵器オタクが丸出しだよ」
「そういえば兵器オタクだったな」
「こんなにはしゃいでるところは初めて見た。……スヴィーリオ・イオ専用機だったのか」
「ヤバい」
ナルミさんの冷たい眼差しと、納得しているシズフさん。
事前にモノを見ていたディアスとラウトも心なしか顔色が悪い。
スヴィーリオ・イオといえば、カネス・ヴィナティキ帝国で『薄葉甲兵装の鬼才』やら『残影の万人殺し』の通り名を持つカネス・ヴィナティキ最強。
その人の薄葉甲兵装!
……それにしてはファントムがめちゃくちゃ大興奮なんだが。
「ハニュレオの遺跡で見つかったのですが、用途がわからず相談されまして」
「そうだったのか」
「なぁ、これオーバーホールして補修していいか?」
「で、できるのですか!? でしたらぜひ!」
「よっしゃー! 早速のバラすぜー!」
「…………」
困惑の空気がやばい。








