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仕事解禁

 

「えー、という感じで本日から復帰ということで」

「もっと休んでもよかったんだぞ?」

「まだ早いのではない?」

「兄上はすぐ無理をするので、あと一ヶ月くらいセーブなさった方がよろしいのでは?」

「あーぶ!」

「ぐっ」


 家族からの引き留めが激しい。


「レナ、くれぐれもヒューバートをよろしくお願いね」

「ヒューバート、お前毎週日曜日は絶対一日休みだからな。レナ嬢、くれぐれもこの働きたがりが働かないように見張っていてくれ」

「はい!」

「ううう……! 働くなと言われる日が来るなんて……!」


 しかも週休一日を確実に守らせようとしてくる。

 なんだこれこんなことある?


「まあいい! 早速研究塔に行ってきます」

「レナ嬢! くれぐれヒューバートを頼むぞ!」

「ヒューバート、レナとの結婚式の話もあるのですから早めに切り上げて帰ってきなさい!」

「は、はい!」


 それは早く切り上げて帰る必要があるな。

 すべての準備はさすがに終わっていないようだが、スケジュールの組み立てや来賓の選出やら会場の確保やら飾りつけやらドレスやタキシード、お色直し、お披露目会、その後の夜会の準備などなど……怒涛のあれそれをレナは母上と決めていったのだ。

 その努力をしかと見せていただかねばな。

 でもまあ、その前に研究塔で宇宙のことや今回の件を詳しく聞かねばならない。

 あと、石晶巨兵(クォーツドール)の新型試作機。

 あの『神の手を持つ悪魔』が手を加えた運動性能や、魔樹の皮以外の新素材を用いた機体の様子とか気になることは山のよう。

 魔樹の皮はマジで追いつかなくなっていると聞いているけど、いったいなにを代用品として使ったのだろう?

 レナに「なにか聞いてる?」と聞いても首を傾けるのみ。

 まあ、レナはあんまり興味ないもんねぇ。


「ヒューバート殿下!」

「おつ〜」

「ランディ! ジェラルド! えーと……二人とももう大丈夫なのか?」


 研究塔へ向かうべく城から出たところでランディとジェラルドが待っていた。

 ジェラルドはともかく、ランディは俺の質問の意図を察して見る見る肩が下がっていく。

 まあ、だよなぁ。


「……シャルロット嬢……いえ、シャルロット様がよもや他国の姫君だとは思いませんでした……」

「そうだよね」

「でも実家のお許しはもらったんでしょ〜?」

「貰うにはもらったが、まさか王配として婿入り……国を出ることになるとは思わんだろ……」


 だよね。


「しかも、ヒューバート殿下もそれには賛成とか」

「うん。うちの国内でランディより俺に近く優秀な人材はいないからね」

「ぐぅ! ……信頼していただくのは非常にありがたいですが、自分は生涯ヒューバート殿下のお側にお仕えしたく思っておりました……」

「俺も正直ランディを手放したいわけではないんだけど……他に適任者はいないんだよなぁ。それに、ランディもシャルロット様のことはまんざらでもないんだろう?」

「それはもう! あれほどの美女は見たことがありません!」


 めちゃくちゃ強めに力強く宣言されて、俺も頷いてしまう。

 シャルロット様はまさしく絶世の美少女だろう。

 ランディにとって、俺がレナに初めて出会った時のような衝撃が走ったに違いない。

 賞賛の言葉が止まらなくなるのは女性向け異世界あるあるってことにして、それでもあんな美人を前になにも感じない男は相当枯れてる。

 能力的にもランディなら支えられるはずだし、なによりシャルロット様もランディのことはかなり気に入っていた。


「すぐに婿に来いと言っているわけでもないし、宇宙の件もあるからひとまず婚約だけ先にして、ゆっくり考えていけばいいんじゃないか? 状況によっては早めに結婚してもらって、同盟の強化とかしなきゃならないかもしれないけど」

「ヒューバート殿下」

「うん? なに?」

「本当に自分があのこの世の美という言語の権化のようなシャルロット姫と結婚してよいのでしょうか?」

「うん。いいんだよ」


 そう言いたくなる気持ちはわかる。

 あの絶対的美貌の隣に立つの、結構な覚悟がいるよね。

 でもランディは十分イケメンだからなんにも問題ないよ。

 お前は十分イケメン枠だよ。俺と違ってな!


「我が国との架け橋になってくれたら助かる。ランディが西にいてくれると思うと、安心するし」

「ヒューバート殿下……」

「問題はファントムだと思うし」

「そうなんですよね」


 迫真の返事。

 本当にマジでそれな。

 そう、まあ、案の定ファントムは「シャルロットと結婚するのならまず俺を倒してもらおうか! ジェラルドは免除するけどな!」と言い放ったそうだ。

 つまりファントムとランディは決闘しなければならない。

 正直、ギア・フィーネもなくギア・イニーツィオも乗ったことのないランディは不利すぎると思っているんだが。


「でもランディは“アレ”があるし、なんとかなるんじゃないかなぁ」

「そんな簡単に言うな。“アレ”はまだ殿下にも見せていないのだぞ」

「ああ、ハニュレオからもらってきたお土産?」

「はい」


 ハニュレオで発見された“遺物”らしい。

 使い方がまるでわからず、研究塔で調べてほしいと持たされたそうだ。

 ラウトとディアスに見てもらって、兵器の類であるということは間違いない、と言われたそうなのだが……。


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