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ルオートニスの朝食会(1)

 

「ヒューバート殿下!」

「え! ランディ〜! 久しぶりじゃんお前〜! お帰り!?」

「はい! それよりも大怪我で運び込まれたとお聞きしました!」

「だ、大丈夫。昨日ルレーン国のシャルロット様とミレルダ嬢とレナに治してもらえたから」


 俺の治療が行われた翌日、思いも寄らない男が現れた。

 ハニュレオに置いてきていたランディだ。

 聞けば俺が大怪我で帰国した、みたいな話が国中どころかミドレやハニュレオにまで噂されていたらしい。

 この件でミドレとハニュレオのソードリオ王が怒り浸透気味で、もしソーフトレスやコルテレが俺に対して害意を示していたのだとしたら「戦争だ!」と準備まで始める勢いだったそうな。

 めちゃくちゃやべーーー!


「ソ、ソードリオ王には俺の理想を話しておいたはずなんだが!」

「西方諸国への殺意がやたらと高かったですね」


 ソーフトレスとコルテレが元アスメジスア基国で、ハニュレオが元カネス・ヴィナティキ帝国だったことに関係があるんだろうか……?

 もはや遺伝子レベルで嫌い?

 怖すぎるんですけど。


「おはよう〜、ヒューバート〜。面会OKになったから会いにきたよ〜。あ! ランディだ! ランディ〜!」

「ぐえええ!」


 ジェラルドが俺の部屋に現れた。

 そうか、今日から面会解禁になったのか。

 でも多分仕事しようとしたら怒られるんだろうな……。

 仕事しちゃダメって結構しんどいな。

 いやいや、仕事よりもリハビリを優先させなければ。

 それが俺の今の仕事だ!

 …………ヤバい! 頭がすべてイコール仕事になっている!

 俺はいつからこんな勤勉な人間になってしまったんだぁ!

 早く来い来い土日祝日という学生だっただろうが、俺は!


「でもランディに会えたの普通に嬉しいなぁ〜」

「うんうん! やっぱり寂しかったよぉ〜!」


 俺よりジェラルドの方がガチガチに寂しがってて不安になってくる。

 あれ、俺って結構冷たい人間だったの?


「自分だって寂しかった!」

「俺も寂しかったからね!?」

「で、殿下!」


 ランディまでそんなこと言うし!

 なんか俺だけ寂しがってないみたいじゃん。

 俺だってランディに抱きつくぞ!


「…………なにしている?」

「ランディが帰ってきたから」

「ラウトも混ざる〜?」

「混ざらない」


 で、扉が開いたらラウトがスン……と目を細める。

 三人で抱きつき合っていたので、そんな顔をされるのも仕方ないのかもしれない。

 仕方ないかもしれないけど、相変わらずクールすぎる。


「それより朝食はルレーン国とハニュレオの姫と一緒に摂るのだろう?」

「はあ!? マロヌ姫も来ているのか!?」

「ヒューバート様の体調の話を聞いたらデュレオ・ビドロに会う口実として同行を申し出られまして」

「ぐぅ……」


 マロヌ姫、ランディの教育が行き届いておられる……!


「それに、殿下と陛下にお渡ししなければならないものもありまして」

「ん? 俺と父上に? お土産?」

「ある意味? いえ、しかしかなり厄介な代物でして。ラウトやディアスにも相談したく……」

「じゃあ先にラウト、相談に乗ってあげてくれないかな?」

「構わん」

「じゃあぼくもランディと一緒に行く〜。またあとでね〜、ヒューバート」

「う、うん」


 あれ、なんだ? この疎外感。

 せっかく会いに来てくれたのに、三分もしないうちにみんないなくなったんですけど。




 と、いう割と悲しいできごとのあと、父上、母上、レオナルド、レナと、シャルロット様、ミレルダ嬢、マロヌ姫、マロヌ姫の保護者のスヴィア嬢、ミドレ公国のソニア姫と朝食会。

 やばい、朝食なのに吐きそう……オェ……。


「あ、マロヌ姫もお久しぶりです」

「はい、おひさしぶりでございます。ぶじのごかいふく、あんどいたしました」


 偉い、偉いぞ、マロヌ姫。

 デュレオを探すことなく、キョロキョロすることもなく、ちゃんと噛まずに言えたね!


「マロヌ姫はハニュレオのお姫様なのですよね。今は五歳、でしたか?」

「はい!」

「かわいらしいわね〜。ライモンドがもう少し大きくなったら、ぜひお友達になってくださいませね」

「はい!」


 母上が俺よりメロメロになっている。

 まあ、四歳差はアリ寄りのアリ。

 あとはライモンド次第だろう。

 でもマロヌ姫はデュレオ一筋みたいだけど、どうするんだろう。

 いや、今考える必要はないけど。


「スヴィア嬢もお久しぶりです」

「ええ、お久しぶりですわ」

「ハニュレオの聖女様なんだっけ?」

「え! え、ええ」

「そうなんだ、聖女同士仲良くしようね〜」

「っぐ……」


 ちゃんと体面を取り繕ったスヴィア嬢に、まるで繕うことのないミレルダ嬢が話しかける。

 いかん、早くも地獄の様相。

 ミレルダ嬢とスヴィア嬢って絶妙に相性悪そうなんだよなぁ……!


「しかし、各国の聖女がこうも揃うと壮観ですらあるな」

「マロヌ姫様も聖女の素養があるとお聞きしましたわ」

「は、はい。さいきんランディにうたってきかせるとよろこんでくれるので、“じだいちちゆ”にもでかけられるようになってまいりました」

「治癒……というのは石晶巨兵(クォーツドール)の、ですか?」

「はい」


 へえ、そうなんだ。

 ハニュレオはスヴィア嬢中心に大陸の治癒が進められているらしい。

 しかし、最近はマロヌ姫もそれに参加しているそうだ。



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