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未来の宇宙と地上の現在(2)

 

「接触……? は、わからないですが……」

『ではなぜ?』

「……ギア4になった時に、変な場所に入って……そこで……聞いたというか……」

『王苑寺ギアンに会ったのか』


 あ、ということはディアスもやっぱりあの場所に行ったんだ。

 そしてなにか聞いたんだ、ディアスも。


『……宇宙は、千年前から開発が進み……宇宙市民コロニーを各国が複数持っている状況だった。戦禍も当然宇宙にまで及んでいる』

「っ」

『戦後、我々は地上で結晶病の厄災に見舞われた。今、宇宙の者たちは地上からの物資を完全に絶たれている状況だろう。もちろん、宇宙コロニーには物資がなくとも自給自足していけるようなシステムが構成されて運用されていた。それでも、故郷の星がどんどん結晶化に侵されいつからか通信も届かなくなり、滅び、独自の文化文明が築かれていったのを宇宙は見ているはずだ』


 祖国が消え、国が滅び、文化文明が衰退し、新たな魔法という未知の新文明が育つ様を……宇宙の人たちは見ていた?

 それはそれで、えげつないな。


『おそらく、宇宙の科学力は千年前よりも進んでいる。そうしなければ生き延びられるわけがない』

「は、はい」

『火星か月か金星か……移住も進んでいるだろう。この星は間違いなく捨てられている。それでも、もし、まだ監視船のような役割を持つものが宇宙に残り、地上を監視していれば——いつか、土の大地の面積が増えていけば……』

「……接触してくる……」


 そうだ、とディアスが頷く。

 なるほど……。

 そして、宇宙で千年過ごしてきた人々にとって、現代の永遠に祝福された地球(ブレス・トワ・アース)はもう未知の新人類。

 魔法なんて、前世の俺なら「マジかよー!」って代物。

 ディアスがこの世界にもたらした『魔法』の恩恵を受けていない宇宙の人々は、俺たちをどう扱うつもりなのだろう?

 王苑寺ギアンの言葉通りなら、友好的な関係を築くのは難しそうなんだけど。


「ディアスたちも、うっすら気づいていたんですね」

『俺たちは宇宙に行ったりするのは、旅行感覚だったからな』

「できれば、友好的にいきたいものですね」

『そうだな。……だが、どうだろう。俺は正直、宇宙は宇宙でこの千年間、戦争の続きをしているのではないかと思っている』

「え」


 かなり衝撃的なことを言ってません?

 どうしてそんなことを?

 ディアス曰く、上は地上のような問題で強制終了、手を取り合い、困難を乗り越えよう、なーんて建前もないので引き続きやりたい放題できただろう、ということ。

 そして、今回結晶化津波の中からディアスたちでも見覚えのない二足歩行兵器の進化系のような機体が回収された、ということが根拠の一つとなった。

 おぇ……。


『地上の文明度の低下は宇宙からも見える。おそらく原始人を手玉に取ることなど、わけもないと思うだろう』

「うーん、それは悪意……」

『現段階で宇宙と戦うことになれば、物量と地の利を考えて地上は圧倒的に不利。いっそ無謀だ。しかし、ギア・フィーネの登録者が五人揃い、俺とヒューバートはギア4まで上がった。勝ち目がないわけではないが、犠牲は多大なものとなるだろう』

「……」


 ああ、ろくでもない。

 本当にろくでもねぇや、この世界。

 そんなことしている場合じゃないのに……。


『しかし、今はあまり考えなくてもいい。まだコルテレの方も片づいていないし、セドルコ帝国も控えている。お前には目の前にやるべき問題が山積みだ。宇宙もまだ様子見の段階のはず。それに、もし接触してくるのなら間違いなく、ギア・フィーネを所有するルオートニスだ。その時に先手を取れるように、陰で準備を進めておけばいい』

「……はい……そうですね」


 千年前からギア・フィーネはオーバーテクノロジーだった。

 そんなギア・フィーネが、一ヶ所に集まっていれば無視はできないか。

 なんなら二号機と五号機は千年前より強くなってるもんね。

 帰ってからやることが増えた。

 いや、さらに増えたと言うべきか。

 エネルギー問題や、結晶化津波、晶魔獣のこと……相談すべきことは多いのに、さらにプラスアルファで宇宙かよ。

 ああ〜、本当やめてほしい〜。

 俺の体はひとつしかないのよー。

 しかも、そのひとつしかない体はズタボロ状態。

 食事できるようになれば体力も戻ってくるし、体力が戻れば治癒魔法も受けられるようになる。

 聖女の治癒魔法、体力を少し削るからね。

 今みたいな状況だと疲労が上回る。

 それは結構危ない。

 自分の力で呼吸も難しいのだから。


 ……でも、まあ……生きている。


 レナとデュレオがタイミングよく歌ってくれていたおかげ、なのかな。

 どうしてあのタイミングで歌ってくれたのかは、わからないけど……おかげで助かった。

 “歌い手”の歌にブースター以外の——同調率を安定させる効果があったのはちょっと驚きだけど。

 なにはともあれ、レナたちのおかげで俺は生き延びた。

 本当に、あの二人のおかげだ。

 なんの脚色も、揶揄でもなく。

 帰ったらお礼をしなくちゃ。

 ……デュレオには、クレアのことも話さないといけないしね。


「レナ……早く会いたい」



小ネタ


ヒューバート「でもちょっと車椅子たのしい!」

ジェラルド「ぼくもヒューバートの車椅子押すのたのしい〜!」

ディアス「遊ぶな」

ヒューバート&ジェラルド「「!?」」

ディアス「ヒューバート、お前、自分の状態を理解しているのか? ジェラルド、すぐにヒューバートをベッドに戻してきなさい」

ジェラルド「は、はいぃ〜! ごめんなさい〜!」

ヒューバート「ご、ごめんなさい〜」


ラウト「ここは男子校か?」

ファントム「ディアス・ロスはマジで怒らせねー方がいいなアレ」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 車椅子で遊んでるw ほんと男子って馬鹿よねw
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